ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

八尾ダム

2016-09-26 00:19:14 | 富山県
2016年9月17日 八尾ダム
 
八尾(やつお)ダムは富山県富山市八尾町の神通川水系室牧川にある富山県企業局が運営する発電用重力式コンクリートダムです。
富山県では戦前から各主要河川で電力開発が進められてきましたが、神通川水系井田川左支流の室牧川では戦後富山県が電力開発を進め、1961年(昭和36年)の室牧ダムに続いて1963年(昭和38年)に竣工したのが八尾ダムです。
八尾ダムで取水された水は約2500メートルの導水路を経て下流の八尾発電所に送られ最大7600キロワットの発電を行うほか、室牧発電所の逆調整池の機能も持っています。

八尾市街から県道230号を南下し、柚木バス停で左岸の細い道に入ると左手に八尾ダムが見えてきます。
 
右岸に取水口があります。

対岸の県道からダムへ下りる管理道路は入り口でゲートアウト。
下流からも見えるスポットがありましたが激しい雨のため断念。
この場所からの撮影のみとなりました。
本来なら上流の室牧ダムとセットで回るのが常道ですが、土砂降りの雨となり別々の日の訪問となりました。

0849 八尾ダム(0565)
富山県富山市八尾町柚木
神通川水系井田川
21メートル
82メートル
富山県
1963年

新猪谷ダム

2016-09-26 00:13:18 | 岐阜県
2016年9月17日 新猪谷ダム
 
新猪谷ダムは左岸が岐阜県飛騨市神岡町西茂住、右岸が同町東茂住の一級河川神通川水系高原川にある北陸電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
神通川上流の高原川では神岡鉱山を所有する三井鉱山と5大電力の一つ大同電力の合弁による神岡水力により大正時代から電力開発が進められました。
これらの発電設備は日本発送電の接収ののち1951年(昭和26年)の電気事業再編成により北陸電力が事業を継承します。
高度成長による電力需要増大に対処するため、同社は新規電源開発や既設発電施設の再開発に邁進し1963年(昭和38年)に竣工したのが新猪谷ダムです。
当地には神岡水力が1929年(昭和4年)に建設された猪谷発電所(最大出力2万2900キロワット)がありましたが、新猪谷ダムに合わせて新たに新猪谷発電所(最大出力3万5400キロワット)が稼働し発電能力はを2.5倍に増強されました。

富山から国道41号を南下し国道360号を分け岐阜県に入ると右手に新猪谷ダムが見えてきます。
管理事務所脇に駐車スペースがあるのでここに車を止めて見学をします。
3門のラジアルゲート
北陸電力ですがブラックゲートです。

豪雪地帯ですがゲートビアは被覆されていません。


天端のゲートは開いており、たぶん地元の住民の生活道路として開放されているようです。
ただ立入禁止の表記があったので中に入るのは自重します。

ダム湖。
ダム湖右岸に国道41号のスノーシェルターが続きます。

左岸から。

下流からも遠望できました。

ちょうどこのタイミングで雨が降ってきたので、ちょっと煙ったような写真になりました。

(追記)
新猪谷ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1101 新猪谷ダム(0564)
左岸 岐阜県飛騨市神岡町西茂住
右岸        同町東茂住
神通川水系高原川
56メートル
164メートル
1608千㎥/1203千㎥
北陸電力(株)
1963年
◎治水協定が締結されたダム

熊野川ダム(再)

2016-09-26 00:02:40 | 富山県
2016年9月17日 熊野川ダム(再)
 
熊野川ダムは富山市の神通川右支流の熊野川にある富山県営の多目的重力式コンクリートダムです。
常願寺川と神通川の間を縫って富山市街南部を貫流して神通川に合流する熊野川は古くから灌漑用の水源として利用される一方で、たびたび流域に洪水被害をもたらしてきました。
これに対処するために富山県は建設省(現国交省)の補助を受け多目的ダム建設に着手、1984年(昭和59年)に熊野川の洪水調節のほか、既得取水権への補給と河川流量の維持、上水道用水の供給、北陸電力子会社の日本海発電(株)熊野川発電所(最大出力7000キロワット)の発電を目的として熊野川ダムが竣工しました。
しかし、その後の利水需要の低迷を受け上水道用水容量は一度も使われることなく推移、これに対処するために常用洪水吐の位置を下げ上水道用水容量を多尿量に転用する再開発が2017年(平成29年)に竣工しました。
これによりダムの有効貯水容量は7600万立米から6600万立米に減じ、目的は洪水調節、不特定利水、発電以変更されました。
 
熊野川に沿って県道184号線を南下すると熊野川ダムが見えてきます。
常用洪水吐の越流高を2.9メートル下げる再開発が行われたため、オリフィスゲートの周りだけコンクリートが白くなっています。
 
 
 
上流面
堤体中央に発電所への取水設備、右岸にインクラインがあります。
こちらもオリフィス周りだけ、コンクリートが白くなっています。
 
左岸から俯瞰
手前は管理事務所、対岸にプラント跡が見えます。
 
減勢工。
 
ダム右岸には砂防堰堤がつくられ山留が行われています。
 
ダム湖
上流の山は北アルプス立山連峰へ続きます。
 
右岸から俯瞰。
 
◎追記
熊野川ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0865 熊野川ダム(元)
左岸 富山県富山市手出
右岸     同市赤倉
神通川水系熊野川
FNWP
89メートル
220メートル
9100千㎥/7600千㎥
富山県土木部
1984年
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3699 熊野川ダム(再)(0563)
左岸 富山県富山市手出
右岸     同市赤倉
神通川水系熊野川
FNP
89メートル
220メートル
9100千㎥/6600千㎥
富山県土木部
2017年再開発竣工
◎治水協定が締結されたダム