ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

栗原ダム(門田貯水池堰堤)

2017-05-10 19:06:30 | 広島県
2017年5月5日 栗原ダム(門田貯水池堰堤)
 
栗原ダムは広島県尾道市の栗原川にあるコンクリートダムで、大正年間に建設された石張の砂防ダムを1950年(昭和25年)に改修して上水道水源としました。
その後尾道市水道局が沼田川水道用水供給事業からの供給を受けることになったため、栗原ダムは上水道水源としての役目を終えました。
現在も尾道市水道局が管理を行っていますが、水道水の供給は行われておらず再び砂防ダムとして機能しています。
 
国道2号線尾道バイパスから市道を北に折れ、門田トンネルを抜けるとすぐに右折すると右手に栗原ダムが見えてきます。
ダム便覧の写真で見られるクレスト部分の水通しは撤去されコンクリート製の越流面になっています。
手前の空き地にはかつて浄水場があったんでしょうが、今は炭焼きの里という施設になっています。
 
もともとが砂防ダムだった影響でしょうが、下流面はほぼ垂直の直線状でちょっと他の石積堰堤とは全く異なった表情です。
直下には減勢工があり、副ダムももちろん石積です。
 
下から見上げると絶壁!
オリンピックに正式採用されたフリークライミングの練習場にいかが?
 
手前のコンクリートの出っ張りには取水用のスピンドルが並びます。
 
各種ダム訪問記では『薄い』と表現されていますが、木が茂り薄さは実感できません。
 
コンクリート製の越流面に改修されたことで堤体の断面を見ることができます。
 
地元では栗原ダムという呼び方はせず、門田貯水池と呼ぶのが一般的のようです。
栗原川のすぐ上流には今も現役で稼働している同じく石張堰堤の久山田ダムがあります。
 
1949 栗原ダム(門田貯水池堰堤)(0964)
広島県尾道市栗原町
栗原川水系栗原川
19メートル
90メートル
尾道市
1950年

昭和池

2017-05-10 17:36:45 | 岡山県
2017年5月5日 昭和池
 
岡山県井原市吉井町には堤高15メートルの灌漑用溜池が4基並んでいますが、そのうち一番南にあるのが昭和池です。
泉谷池、大正池、天神山池については昨年12月に訪問した際に見学することができましたが、昭和池についてはアプローチが分からず断念、今回無事に到着することができました。
昭和の名が示すように1938年(昭和13年)に竣工し、他の3基の溜池ともども西吉井水利組合が管理を行っています。
 
芳井町吉井のフジモト工業の工場わきから山に登って行く市道を西進、三叉路手前右手の林道を進むと昭和池に到着します。
今回は三叉路の先にある路肩に車を止め、ダートの林道を約800メートル歩いて昭和池に至りました。
 
下流面 堤高15メートルあるかな?
ちょうど地元の男性が山菜採りされており、昭和池や周辺の農業についていろいろ話を伺うことができました。
 
天端
天端と下流面は毎年秋の収穫後に刈り払いを行うそうです。
 
上流面は石組で補強されています。
 
左岸にある竣工記念碑と水神の祠。
毎年田植え前に受益者が集まり水神様を祭るそうで、今年はつい先日その行事があったばかりとのこと。
 
左岸の斜樋の機械室。
 
斜樋
ちょうど田植え時期ということで毎日朝夕水番の方がバブルの開閉を行うそうです。
 
貯水量1万9000立米と小さなため池ですが、受益者にとってはいまだに貴重な水源です。
 
水路は近年改修されたばかり。
取水設備からの導水路がここで地上に出ます。
 
全国で9基の『昭和池』が堤高15メートル以上のダムとしてダム便覧に掲載され、うち3基が岡山県に存在します。
新見市と津山市の昭和池は4月に訪問済みで今回で岡山県の昭和池はすべて訪問しました。
この日はこの後広島県東広島市にある昭和池にも行く予定です。
 
3516 昭和池(0963)
ため池コード
岡山県井原市芳井町天神山
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
高梁川水系小田川
15メートル
46メートル
千㎥/千㎥
西吉井水利組合
1938年


鬼ヶ岳ダム

2017-05-10 16:04:01 | 岡山県
2017年5月5日 鬼ヶ岳ダム
 
鬼ヶ岳ダムは岡山県小田郡矢掛町の高梁川水系小田川左支流美山川源流部にある防災・灌漑目的の重力式コンクリートダムで1969年(昭和44年)に竣工しました。
運用開始後は矢掛町が受託管理を行っています。
美山川沿いの渓谷は紅葉の名所でダムの直下の鬼ヶ嶽は国指定の名勝にもなっており紅葉シーズンにはそこそこの人出があるようです。
また鬼という地名から桃太郎伝説の鬼が島とされることもあるようです。
 
矢掛町中心部から県道35号をひたすら北上すると鬼ヶ岳ダムに到着します。
まずはダム直下へ。
クレストには3門のローラーゲート、コンジットが2門あります。
 
田植えシーズンということでちょっと多めに放流が行われています。
 
右岸の管理事務所。
 
天端は車両通行可能
ピアには管理橋が設置されています。
 
天端から減勢工。
 
上から見ると角が2本生えた赤鬼みたい!
 
ゲート部分だけクランクになっています。
 
貯水容量141万4000立米と見た目よりも大きな貯水池。
 
インクラインはなく左岸に浮き桟橋とボート。
 
上流から
赤いゲートが目立ちます。
 
(追記)
鬼ヶ岳ダムには農地防災容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1883 鬼ヶ岳ダム(0962)
岡山県小田郡矢掛町上高末
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
高梁川水系美山川
FA
39メートル
96メートル
千㎥/千㎥
矢掛町
1969年
◎治水協定が締結されたダム


大正池

2017-05-10 14:53:53 | 岡山県
2017年5月5日 大正池
 
大正池は岡山県総社市山田にある灌漑および防災目的のアースダムです。
1924年(大正13年)に竣工し、その後2002年(平成14年)にかけて岡山県の農地防災事業で改修が行われ現在の姿になりました。
現在は総社市が管理を行っています。
 
大正池は県道54号沿いにありアプローチは簡単、池の左岸にスペースがあるのでここに車を止めて見学します。
下流面は犬走りを挟んで3段になっています。
 
大正池の概要図
2002年(平成14年)の整備によるものです。
 
整備によって撤去された設備の一部が展示されています
手前は水止めの角落し 奥は石樋と鋼管。
 
天端。
 
上流面
写真ではよくわかりませんが表面は石で補強されています。
 
左岸の斜樋。
 
右岸の洪水吐。
 
総貯水容量27万1000立米の貯水池。
 
下流面も表面は石が葺かれています。
 
洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
全国には9基の大正池が堤高15メートル以上のダムとしてダム便覧に掲載され、うち3基が岡山県にあります。
今回の総社市の大正池訪問により岡山県の大正池はすべて訪問したことになります。
 
1843 大正池(0961)
ため池コード
岡山県総社市山田
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
高梁川水系山田川
FA
24メートル
120メートル
千㎥/千㎥
総社市
1924年


陶奥池

2017-05-10 13:51:00 | 岡山県
2017年5月5日 陶奥池
 
陶奥で『すえおく』と読みます。
陶奥池は岡山県倉敷市玉島陶にある灌漑および防災目的のアースダムです。
もともとここには上池、下池という2基の重ね池がありましたが、1993年(平成5年)に農水省の補助を受けた岡山県の防災ダム事業により竣工したのが陶奥池です。
 
玉島インターから県道54号を北上し、大規模農道『備南街道』を左折、さらに陶奥地区を示す標識に従って右折して集落を抜けると正面に陶奥池の堤体が見えてきます。
 
左岸の洪水吐導流部
手前の建物は利水放流設備でしょうか?
 
取水設備からの底樋吐口。
 
天端は車道
とんがり帽子のおしゃれな管理所が目立ちます。
 
総貯水容量21万8000立米
もともと2基あった重ね池を統合してできた貯水池です。
 
陶奥の集落。
 
左岸の洪水吐。
 
 
洪水吐導流部。
 
上流面はコンクリートで補強
早朝から釣り糸を垂れる方2名。
 
周辺の丘陵地には岡山名物のブドウ畑が広がりますが、こちらは高梁川から農業用水の供給を受けているようです。
 
3174 陶奥池(0960)
ため池コード
岡山県倉敷市玉島陶
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
高梁川水系小田川
FA
22.5メートル
136.2メートル
千㎥/千㎥
管理者未確認
1993年


小原池

2017-05-10 13:02:47 | 岡山県
2017年5月5日 小原池
 
小原池は岡山県倉敷市児島町にある灌漑用溜池でダム便覧によれば1934年(昭和9年)、農水省の資料では1935年(昭和10年)に竣工しました。
ダム便覧ではダム事業者は土地改良区となっていますが、戦前に土地改良区はありませんのでこれは戦後の改修時の事業者ではないかと思われます。
農水省の資料では現在は倉敷市が管理を行っています。
 
水島インターから県道21号を南下し、稗田南交差点をそのまま直進、柳田西側口交差点を右折し狭い県道を進むと小原池に到着します。
倉敷市児島町といえばジーンズで有名な町ですが、下流面は何となくビンテージもののデニムのように見えないこともないような・・・。
 
天端
集落が近いせいか貯水池側には転落防止用の柵が設けられています。
 
貯水容量4万7000立米の小さな貯水池。
 
溜池の直下には小さな田畑が数面、その下流はすぐに集落となります。
 
上流面中央部にある池栓。
 
上流面はコンクリートで補強されています。
 
右岸の洪水吐。
 
 
洪水吐に架かる管理橋
これは右岸の山上に立つ電源開発の送電線鉄塔への巡視路用の橋です。
 
天端左岸にある石仏2体。
 
1859 小原池(0959)
ため池コード
岡山県倉敷市児島柳田町
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
倉敷川水系小田川
15メートル
74メートル
千㎥/千㎥
管理者未確認
1934年