ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

朝里ダム

2018-09-27 15:46:59 | 北海道
2018年9月20日 朝里ダム
 
朝里ダムは北海道小樽市朝里川温泉1丁目の朝里川水系朝里川本流にある北海道建設部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、朝里川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、小樽市への上水道用水の供給を目的として1993年(平成5年)に竣工しました。
上水道については小樽市上水道全体の6割の水を朝里ダムが賄っており、文字通り小樽の水がめとなっています。
 
朝里ダム建設に合わせ道道1号線は小樽スカイループと呼ばれるループ橋に付け替えられ、橋の上から朝里ダムを一望することができます。
堤高73.9メートルは決して低いダムではありませんが、堤頂長が390メートルもあることから横長のダムに見えてしまいます。
クレストには19門の自由越流式洪水吐が並び、右岸寄り(向かって左手)にオリフィスゲートがあります。
 
ダム直下から。
 
堤体に並ぶクレストゲートに合わせて減勢工も横長。
減勢工右手は放流設備
 
ループ橋は道道1号線の朝里大橋、通称小樽スカイループ
橋の彼方には海が見えます。
ダムの真下は公園になっていますが、遊具の老朽化により立ち入り禁止。
 
海をズームアップ。
 
ダム湖はオタルナイ湖、総貯水容量は880万立米。
 
天端中央にはベンチが置かれ高覧には壁画、足元にはダムを中心に主要都市の方向が描かれています。
 
左岸から下流面
ここから見ても横長ダム、そして減勢工も横長。
 
右岸の管理事務所とインクライン・艇庫。
 
上流から遠望
オリフィスゲート右手に取水設備があります。
 
とにかく横長、そしてダム下のループ橋と天端から海が見えるダム。
ループと海の組み合わせは全国でもここだけでしょう。

0157 朝里ダム(1363)
北海道小樽市朝里川温泉1丁目
朝里川水系朝里川
FNW
73.9メートル
390メートル
8800千㎥/7700千㎥
北海道建設部
1993年

定山渓ダム

2018-09-27 12:17:37 | 北海道
2018年9月20日 定山渓ダム 
 
定山渓ダムは北海道札幌市南区定山渓の石狩川水系豊平川左支流小樽内川にある国交省北海道開発局建設部が直轄管理する多目的重力式コンクリートダムです。
豊平川の治水と札幌市の上水道水源確保を目的として1972年(昭和47年)に豊平峡ダムが建設されました。
しかし、その後も札幌への人口集中は続き市街地拡大に伴ってさらなる治水対策と水源確保に迫られることになります。
1974年(昭和49年)に豊平川左支流の小樽内川への多目的ダム建設事業が着手され1989年(平成元年)に竣工したのが定山渓ダムです。
定山渓ダムは国交省が直轄管理する特定多目的ダムで、豊平峡ダムと連携した豊平川および石狩川下流域の洪水調節、札幌市への上水道用水の供給、北海道電力小樽内発電所での最大出力7000キロワットの水力発電を目的としています。
豊平峡ダムともども日本100ダムに選ばれています。
 
ダム下は定山渓ダム下流園地として整備されており園地駐車場手前の橋からダムと正対できます。
非常用洪水吐としてクレストにラジアルゲート2門、常用洪水吐としてコンジットに高圧ラジアルゲート1門を備えています。
また左岸(向かって右手)導流壁先端に利水放流設備としてホロージェットバルブがあります。
 
コンジットゲート上のデフレクター
 
ダム直下のモニュメントとともに。
 
左岸堤体から飛び出した小樽内発電所への水圧鉄管
こちらにもデフレクターがついています。
 
ダム内見学通廊とあるので進んでみると、100メートルほどで行きどまり・・・・
てっきり滝沢ダム浦山ダムのようにエレベーターも開放されていると思ったので残念。
 
下流園地はきれいに整備され、いろんなアングルでダムを愛でることができます。
 
園地にある資料館そばにはいくつもの展示物が並んでいます。
こちらは建設工事で使用されたクレーンのマスト(柱)の一部。
 
資料館裏手から遊歩道があり標高差100メートル弱を歩いて天端まで登りました。
天端は道道1号が通っており、交通量はさほど多くはありませんが時折通る車はかなりのスピードを出しています。
 
天端からのダム下流園地と減勢工。
 
右岸のインクラインと艇庫、浮桟橋。
 
豊平峡ダムとともに札幌を支える定山渓ダムです。
ダム下流園地は非常によく整備されていますが、豊平峡ダムのように外国人観光客の人気スポットではないため、静かにダムを見ることができます。
 
(追記)
定山渓ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0124 定山渓ダム(1363)
北海道札幌市南区定山渓
石狩川水系小樽内川
FWP
117.5メートル
410メートル
82300千㎥/78600千㎥
国交省北海道開発局
1989年
◎治水協定の締結されたダム

豊平峡ダム

2018-09-27 00:44:20 | 北海道
2018年9月20日 豊平峡ダム 
 
豊平峡ダムは北海道札幌市南区定山渓の石狩川水系豊平川上流部にある国交省北海道開発局建設部が直轄管理する多目的アーチ式コンクリートダムです。
札幌市街は豊平川が形成した扇状地に広がっており、豊平川はアイヌ語ではサッ・ポロ・ベツ(乾いた大きな川)と呼ばれこれが『さっぽろ』の語源となったとされており、文字通り『札幌の母なる川』です。
北海道の中心として百万都市に発展した札幌の治水と、急増する上水道用水源の確保が急務となり1972年(昭和47年)に竣工したのが豊平川ダムです。
国交省が直轄管理する特定多目的ダムで、豊平川および石狩川下流部の洪水調節、札幌市への上水道用水の供給、北海道電力豊平峡発電所での最大5万キロワットの水力発電を目的としています。
その後1989年(平成2年)に豊平川支流小樽内川に定山渓ダムが竣工し豊平川水系の治水能力や札幌の上水道事情は一段と改善しました。
現在は国交省北海道開発局札幌開発建設部豊平川ダム統合管理事務所によって両ダムの一体管理が行われています。
豊平峡ダムは日本を代表するダムとして日本100ダムに選定されているほか、ダム湖の定山湖はダム湖百選に選ばれています。
 
定山渓温泉から国道230号を南下すると豊平峡ダムの案内板があり、これに従って左手の道を進むと冷水駐車場に到着します。ここでダムと駐車場を結ぶハイブリッド電気バスに乗り換え10分ほどで豊平峡ダムに到着します。
 
まずは右岸展望台に登りアーチを俯瞰。
豊平峡ダムは北海道電力新冠ダムに次ぐ北海道2基目のアーチダムとして竣工、現在も北海道内にはアーチダムはこの2基しか存在していません。
ダム湖は定山湖と命名され総貯水容量は4710万立米となっています。
 
豊平峡ダムでは毎年6月から10月までの期間、観光放流が実施されます。
 
 
ダムサイトと堤体を結ぶ『カムイニセイ橋』
元あった管理通路が落石のため通行できなくなり2008年(平成20年)に架橋されました。
後付けの橋のため堤体に荷重を掛けることができず、対岸のダムサイト側で橋を支える片持ち構造という非常に珍しい構造の橋となっています。
 
ダム両岸は安山岩質の火山角礫岩で形成された断崖・絶壁がつづき、北海道有数の景勝地となっています。
 
常用洪水吐として2条、観光放流用として1条、計3条のハウエルバンガーバルブを装備。
6月~10月一杯は毎日観光放流を行っています。
 
減勢工とエンドシル
エンドシルもアーチです。
 
左岸から。
 
右岸にエレベーターがあります。
 
上流から
右手は豊平峡発電所の取水塔。
 
クレストには非常用洪水吐としてローラーゲートが5門あります。
 
札幌の奥座敷定山渓温泉に近く、中国南画のような断崖・絶壁がつづく景勝地ということで、最近はとくにアジアからの観光客の間では人気スポットとなっています。
今回は直前に胆振東部地震が発生したことから観光客もまばら、おかげでのんびりダムの見学ができました。
いずれ海外からの旅行者も戻ってくるでしょうから、その時にはまたにぎやかな豊平峡ダムになっているかと思います。
 
(追記)
豊平峡ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。

0087 豊平峡ダム(1362)
北海道札幌市南区定山渓
石狩川水系豊平川
FWP
102.5メートル
305メートル
47100千㎥/37100千㎥
国交省北海道開発局
1972年
◎治水協定を締結したダム