ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

周布川ダム

2021-06-04 22:56:31 | 島根県
2021年5月23日 周布川ダム
 
周布川(すふがわ)ダムは島根県浜田市弥栄町小坂の周布川水系周布川本流上流部にある中国電力が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令で誕生した中国電力(株)は戦後の復興を受けた電力需要拡大に対処するため各所で電源開発を進めます。
島根県では江の川本流で1953年(昭和28年)に浜原ダムと明塚発電所、1956年(昭和31年)に神戸川に来島ダムと潮発電所の運用が開始されます。 
これに続いて1961年(昭和36年)に完成したのが周布川ダムでここで取水された水は約4.2キロの導水路で周布川第1発電所に送られ最大9800キロワットのダム水路式発電を行っています。
同時に第1発電所下流に長見ダムと周布川第2発電所が建設され最大4700キロワットの発電を行います。つまり周布川ダムは合わせて1万4500キロワットの発電用水源となっているわけです。
 
周布川ダムは県道52号弥栄旭インター線沿いにあり、下流に架かる橋からダムと正対できます。
 
堤高58メートルのダムとしては珍しい全面越流式。
ジャンプ台式洪水吐になっておりジャンプ台の下には排水管として高圧フライドバルブおよびスルースバルブ各1条を備えています。
 
ジャンプ台とバルブをズームアップ
洗堀を防ぐためか、ジャンプ台両端が高くなっています。
 
下流面。
 
越流部をズームアップ
越流部両側には作業用の梯子が架かっています。
 
天端は立ち禁。
 
上流から越流部
ズームアップすると越流部には多数のフックがついています。
作業時ここにハーネスをかけて安全を確保するんでしょう。
頭上のワイヤーも電線ではなく安全ベルトのようにも見えます。
 
上流から
左岸上流側に巡視艇がありこの下がインクラインになっているようです。
 
さらに上流の県道から周布川第1発電所への取水口が見えます。
貯水池は細長く1017万3000立米もあります。
 
中国電力周布川第1発電所建屋。
 
発電所は島根県営大長見ダム直下にあり、有効落差146メートルを利用して9800キロワットの発電を行います。
 
(追記)
周布川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1741 周布川ダム(1641)
島根県浜田市弥栄町小坂
周布川水系周布川
58メートル
147メートル
10173千㎥/7143千㎥
中国電力(株)
1961年
◎治水協定が締結されたダム

木都賀ダム

2021-06-04 22:25:17 | 島根県
2021年5月23日 木都賀ダム
 
木都賀ダムは島根県浜田市弥栄町木都賀の三隅川水系三隅川本流上流部にある島根県企業局が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令により、新たに中国電力が誕生します。
同社は戦後の電力不足を補うために積極的な電源開発を進めますが、送電網末端部にあたる島根県では中国電力だけでは電力需要を賄いきれず公営発電である県企業局による電源開発が併せて進められました。
三隅川水上流域の融雪による豊かな水量と急流に着目し1961年(昭和36年)に三隅川春米発電所の取水ダムとして建設されたのが木都賀ダムです。
ここで取水された水は約5.7キロの導水路で三隅川発電所に送られ最大7400キロワットのダム水路式発電を行っています。
 
木都賀ダムは県道浜田美都線沿いにあり、今回は御部ダムから県道を北上して木都賀ダムに至りました。
ダム手前200メートルほどで樹間からダムと正対できます。
訪問時は三隅川発電所が改修のため運転を停止しており、ゲートがすべて開放されています。
カメラの感度を高く設定したため放流部分が白飛びしてしまいました。
 
ゲート部分をズームアップ
青いラジアルゲートが3門、雪が多い地域のためか?ゲート操作室は被覆されています。
 
右岸県道から
手前にバッチャープラント跡が残ります。
 
一番手前(右岸)のゲートはフラップゲート。
 
対岸に林道が続くため天端は重量制限があるものの車両通行可能 
ゲート部分は上流側にクランクしています。 
 
 
上流から。
青いゲートが鮮やか。
 
御影石の銘版
『木都賀堰堤』になっています。
 
減勢工
発電所稼働時は河川維持放流のみですが、現在はゲートが開放され流入量がそのまま流下します。
 
県道に張り付くように建つ管理事務所と取水口
手前には浮桟橋に繋留された巡視艇。
 
上流面。
 
下流面。
 
 
(追記)
木都賀ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1739 木都賀ダム(1640)
島根県浜田市弥栄町木都賀
三隅川水系三隅川
39メートル
98メートル
2526千㎥/1558千㎥
島根県企業局
1961年
◎治水協定が締結されたダム

御部ダム

2021-06-04 21:53:43 | 島根県
2021年5月23日 御部ダム
 
御部(おんべ)ダムは島根県浜田市三隅町上古和の三隅川水系三隅川本流にある島根県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1983年の昭和58年7月豪雨では三隅川流域でも多大な洪水被害が発生、これを機に三隅川の治水計画が改訂され上流に2基のダム(御部ダムと矢原川ダム)及び河道改修による治水が進められることになりました。 
御部ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、三瓶川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、島根県企業局御部発電所での最大460キロワットのダム式水力発電を目的として1990年(平成2年)に竣工しました。
三隅川水系のもう一つのダムである矢原川ダムについては2019年(平成31年)に損失補償基準協定が締結され、今後道路の付け替え工事が着手される見込みです。
 
三瓶ダムは県道黒沢安城浜田線沿いにありアプローチは簡単です。
ダム下流から川沿いの旧道を遡上するとダム下発電所手前まで入ることができ、ダムと正対できます。
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲート9門、常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲート2門を備えています。
 
右岸の県道から
角度がきつく持参した広角では全容が収まりません。
 
両岸には堤趾導流壁とフーチング
ダム下左手は放流設備、右手は島根県企業局御部発電所。
 
天端は車両通行可。
島根県営ダムは天端が車道のダムが多いですね。
 
導流部と減勢工
左手奥が御部発電所、手前が利水放流設備
発電所が止まっている場合は手前の設備から利水放流されるようです。
 
『みやび湖』と命名されたダム湖
さほど大きくはありませんが縦に細長く総貯水容量は1680万立米もあります。
 
右岸管理事務所と浮桟橋に繋留された巡視艇。
 
左岸から下流面。
 
上流面。
 
上流面。
 
(追記)
御部ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1755 御部ダム(1639)
島根県浜田市三隅町上古和
三隅川水系三隅800千㎥/15500千㎥
島根県土木部
1990年
◎治水協定が締結されたダム

矢原川ダム

2021-06-04 16:18:45 | 島根県
2021年5月23日 矢原川ダム
 
矢原川ダムは島根県浜田市三隅町矢原の三隅川水系矢原川に島根県土木部の事業で建設予定の治水目的の重力式コンクリートダムです。
1983年の昭和58年7月豪雨では三隅川流域でも多大な洪水被害が発生、これを機に三隅川の治水計画が改訂され上流に2基のダム(御部ダムと矢原川ダム)及び河道改修による治水が進められることになりました。
矢原川ダムは1994年(平成6年)にダム建設実施計画調査が着手されましたが、バブル崩壊以降の社会状況の変化や公共工事見直し機運が強まる中、国交省による検討対象ダムとなります。
2014年(平成26年)に改めて事業継続が決定し、翌2015年(平成27年)に地元ダム対策協議会と基本協定が、2019年(平成31年)に損失補償基準協定が締結されました。
今は具体的な工事にも至っておらず竣工予定年度も未定の状態ですが、ダム完成の暁には100年に一度規模の豪雨災害に対応する矢原川および三隅川の洪水調節を目的として運用される予定です。
 
ダム建設予定地は県道三隅美都線沿いにありますが、ダム建設を示す標識等の設置は見当たりません。
この上流200メートルほどがダム建設地点となります。
 
 
3236 矢原川ダム
島根県浜田市三隅町矢原
三隅川水系矢原川
51.3メートル
266.5メートル
7000千㎥/6700千㎥
島根県土木部
1994年矢原川ダム実施計画調査着手