ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

日新ダム

2021-07-27 18:34:56 | 北海道
2021年7月17日 日新ダム
 
日新ダムは北海道空知郡上富良野町新井牧場の石狩川水系ピリカ富良野川にある灌漑目的のロックフィルダムです。
十勝岳西麓に位置する上富良野町では、町内を貫流する富良野川が火山成分の影響で酸性化し農業用水に適さなかったため、安全な用水確保は地域農民の悲願となっていました。
度重なる陳情の結果、1965年(昭和40年)に国営かんがい排水事業十勝岳地区が着手され、その灌漑用水源として1973年(昭和48年)に竣工したのが日新ダムです。
当ダムの完成により上富良野は上川地区屈指の農業地帯へと発展しました。
現在は富良野土地改良区が管理を受託しています。
 
日新ダムは上富良野町中心部から東に延びる道道353号線沿いにあります。
ダム下へ向かう管理道路は入り口で立ち入り禁止のため、ここからの撮影のみ
早朝の訪問で、逆光になりました。
 
堤高29.5メートルの下流面
階段状の下流面は岩手県の岩洞ダムを想起します
また、北海道のロックフィルダムとしては珍しく芝が張られていません。
 
天端は車両通行が可能
親柱にダムの銘碑と諸元碑が嵌め込まれています。
 
左岸のインクラインと艇庫を遠望。
 
総貯水容量450万立米の貯水池。
右岸(向かって左手)に取水設備を兼ねた管理棟があります。
 
下流面とダム下
ダム下は広場になっていますが立ち入り禁止。
放流設備が並びます。
 
左岸の洪水吐導流部。
 
横越流式洪水吐
上流側が湾曲しています。
 
上流面。
 
取水設備を併設した管理事務所
ぱっと見インクラインのようですが、これは複式斜樋1門の表層取水用ゲートと複数の取水口ゲートの組み合わせにより、連続的な表層取水が可能となっています。
同様の斜樋を採用しているダムとしては福岡県の合所ダムや熊本県の清願寺ダムなどがあります。  
 
立派な竣工記念碑。
十勝岳の噴火や鉱毒に悩まされてきた当地にとっては待望の貯水池でした。

0084 日新ダム(1656)
北海道空知郡上富良野町新井牧場
石狩川水系ピリカ富良野川
29.5メートル
230.3メートル
4500千㎥/4133千㎥
富良野土地改良区
1973年

日の出ダム

2021-07-27 05:59:18 | 北海道
2021年7月17日 日の出ダム
 
日の出ダムは北海道空知郡上富良野町第2安井牧場の石狩川水系コルコニウシベツ川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
1955年(昭和30年)十勝岳山麓の36万平米に陸上自衛隊上富良野演習場が開設され、従来集水域であった森林が荒廃裸地化したことで同区域を水源とする灌漑用水の補給に齟齬が生じてきました。
そこで用水不足の補償として防衛施設庁(現防衛省)の全額補助を受けた北海道の障害防止対策事業により1982年(昭和57年)に建設されたのが日の出ダムです。
現在は富良野土地改良区が管理を受託し、約500ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。
 
上富良野中心部からコルコニウシベツ川沿いに道道を北東に進むと日の出ダムに到着します。
ダム下は細長い草地になっておりその奥に堤高26.8メートルの堤体が谷を塞ぎます。
 
ダム下流の放流設備
底樋のほかにスルースバルブも装備。
 
天端は車両の通行が可能です。
 
上流面はコンクリートで護岸、対岸に横越流式洪水吐があります。
 
天端から
ダム下は谷に沿って細長い草地が続きます。
 
貯水池は総貯水容量44万5000立米。
 
左岸の横越流式洪水吐。
 
洪水吐と上流面。
 
防衛施設庁への感謝の念が綴られた竣工記念碑。
草に覆われていますが、碑文は読めます。
 
左岸の取水設備。
北海道でよく見かける多孔式斜樋。
ここから2枚目写真の放流設備に送られます。
 
水利使用標識
有効貯水容量36万2000立米で514.6ヘクタールの農地の水を賄うのは無理があります。
あくまでも演習場により毀損した取水量の補填と言う意味合なんでしょう。

0116 日の出ダム(1655)
ため池コード
北海道空知郡上富良野町第2安井牧場
石狩川水系コルコニウシベツ川
26.8メートル
153メートル
445千㎥/362千㎥
富良野土地改良区
1982年