ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

福井ダム

2021-11-26 20:00:00 | 徳島県
2021年11月20日 福井ダム 
 
福井ダムは徳島県阿南市福井町の二級河川福井川本流にある徳島県県土整備部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助治水ダムで、福井川の洪水調節(最大毎秒470立米のカット)、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給を目的として1995年(平成7年)に竣工しました。
 
ダム下は福井ダム公園として整備され、駐車スペースやトイレ、ベンチなどが置かれれています。
古い写真を見ると公園には巨大滑り台やジャングルジムなどの遊具があったようですが、現在は撤去され芝生の広場になっています。
クレスト自由越流頂8門、自然調節式オリフィス1門のゲートレスダムです。
右岸に放流ゲートがあり、副ダムの下流には洗堀防止のブロック工が敷かれています。


ゲートレスですが、バブル期着工のダムらしく天端のバルコニーなど凝った造りで今どきの大量生産型ダムと一線を画します。

 
左岸ダムサイトに上がります。
こちらもバブルの遺産。
補助ダムとしては珍しく資料館がありましたがすでに閉館。

 
下流面の写真を撮ろうとしたらちょうど陽が上がってきました。


陽が当たらないアングルでもう一枚
左右両岸には堤趾導流壁、対岸の建物は管理事務所。

 
上流面。
治水ダムなのでこれでほぼ常時満水位。

 
天端は車両通行可能
ちょっとわかりづらいけど、天端高欄には波型の化粧型枠が施されて手すりには当地特産の竹とタケノコが交互に並びます。

 
管理事務所をズームアップ
何をモチーフにしたのかわかりませんが、こちらも贅を尽くしたデザイン。

 
天端から減勢工を見下ろすと。


大小二つの副ダムが並び、下流には洗堀防止のブロック工が設置されています。
左岸が福井ダム公園でかつては遊具が並びましたが今は撤去され芝生の公園に。

 
ダム湖は総貯水容量475万立米。
堆砂容量と不特定利水容量分だけ貯留されています。
正面の岬先端には水質保全を目的とした人工滝があります。
これまたバブリー。

ダムサイトには波をモチーフにしたモニュメント。


右岸から
堤頂長191メートル、クレスト自由越流頂8門がずらっと並びます。


本体着工1990年(平成2年)はバブル真っ盛り。
完成当時はダム資料館を備え、ダム下の公園には遊具が並び、贅を尽くした管理事務所に天端高欄の凝った造りに人工滝・・・・などなど、予算が豊かだった時代の痕跡が各所に伺えます。
今や公園から遊具は消え、資料館も閉鎖、まさに兵どもが夢の跡といった風。
 
(追記)
福井ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
2134 福井ダム(1742) 
徳島県阿南市福井町 
福井川水系福井川 
FN 
 
42.5メートル 
191メートル 
4750千㎥/4000千㎥ 
徳島県県土整備部 
1994年(ダム便覧)
1995年(徳島県県土整備部HP) 
◎治水協定が締結されたダム 

久木ダム

2021-11-26 15:00:00 | 高知県
2021年11月19日 久木ダム
 
久木ダムは高知県安芸郡北川村久木の二級河川奈半利川本流にある電源開発(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編により四国電力が誕生しますが、包蔵水力豊富な四国の電源開発を同社のみで手掛けるのは財務的、物理的にも困難で、公営発電や電源開発(株)による電力開発が併せて進められました。
上流域の年間降水量3000ミリと日本屈指の多雨地帯を流れる奈半利川では昭和30年代より電源開発(株)が発電事業が進めます。
そして1960年(昭和35年)年の平鍋ダム・長山発電所についで1963年(昭和38年)に平鍋ダム上流8キロ地点に建設されたのが久木ダムで、ここで取水された水は約8キロの導水路で二又発電所に送られ最大7万2100キロワットのダム水路式発電を行っています。
さらに1965年(昭和40年)には最上流部に魚梁瀬ダムと魚梁瀬発電所が稼働し、電源開発は奈半利川で計14万5000キロワットの発電能力を有するに至りました。
 
県道12号安田東洋線から右手の枝道に入ると樹間からライトブルーのゲートが垣間見えます。
完全に落葉すればもう少し見通しがよくなりそうですが、訪問時はこれが精いっぱい。
 
別アングルで。
ゲート右岸側から河川維持放流が行われています。
 
ダム手前に門扉があり、敷地には入れません。
フェンスの隙間から『久木ダム』の銘板を撮影。
左手の看板は水利使用標識っぽい。
 
ダムの写真が撮れるのはこのアングルのみ
ライトブルーのラジアルゲート3門を擁し、左岸(一番奥)のゲートはフラッシュボード付きです。
 
フラッシュボードのフラップ。
 
県道からなんとか上流面を遠望。
トリミングしたので画質は悪いです。
 
ダム下流で河原に降りようと思えばできないこともありませんでしたが、四国遠征初日、しかも夕暮れが迫っていたので自重しました。
 
(追記)
久木ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
2315 久木ダム(1741) 
高知県安芸郡北川村久木 
奈半利川水系奈半利川 
 
 
28メートル 
94.5メートル 
2940千㎥/1340千㎥ 
電源開発(株) 
1963年 
◎治水協定が締結されたダム 

魚梁瀬ダム

2021-11-26 08:00:00 | 高知県
2021年11月19日 魚梁瀬ダム
 
魚梁瀬(やなせ)ダムは高知県安芸郡北川村久木の二級河川奈半利川本流上流部にある電源開発(株)が管理する発電目的のロックフィルダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編により四国電力が誕生しますが、包蔵水力豊富な四国の電源開発を同社のみで手掛けるのは財務的、物理的にも困難で、公営発電や電源開発(株)による電力開発が併せて進められました。
上流域の年間降水量3000ミリと日本屈指の多雨地帯を流れる奈半利川では昭和30年代より電源開発(株)が発電事業が進めます。
そして1960年(昭和35年)年の平鍋ダム・長山発電所、1963年(昭和38年)の久木ダム・二又発電所に次いで1965年(昭和40年)に最上流部に竣工したのが魚梁瀬ダムです。
ダム完成に合わせて魚梁瀬発電所(最大出力3万6000キロワット)が稼働し、奈半利川での電源開発(株)の発電能力は合計14万5000キロワットとなりました。
魚梁瀬ダムは四国に6基しかないロックフィルダムの一つで、堤高115メートルは早明浦ダムを凌ぎ四国ナンバー1。
また1億立米を超える貯水容量により奈半利川の河川流量の季節変動を平準化し、各発電所の発電効率向上を図るとともに、結果として奈半利川の減災や既得取水の安定化にも貢献しています。
 
まずはダム下へ。
堤高115メートルに対して堤頂長は202メートル。
一般的なロックフィルダムよりも横幅がない分、見上げるとその高さが際立ちます。
堤高115メートルは四国最高、下流面には高瀬ダムを彷彿させるジグザグの管理道路が続きます。
立入禁止の門扉の先には円形の魚梁瀬発電所。

 
洪水吐斜水路
カクカクしてるけど一応ジャンプ台。

 
クレストにはライトブルーのローラーゲートが2門。
奈半利川の電源開発の3基のダムはゲートがこの色で統一されています。

 
ダムの下流は紅葉真っ盛り。


いったん県道に戻り北上すると『魚梁瀬ダム』の大きな標識があります。


ここからダム管理道路に入ると右手に魚梁瀬ダムのリップラップが現れます。

 
ゲートとゲートピアをズームアップ。

 
こちらは右岸の取水設備。

 
ダム直上には展望台があります。


超広角で撮ったリップラップと魚梁瀬貯水池。
総貯水容量は1億立米を超え、上流部は湖畔にオートキャンプ場や民宿などがあるレジャースポットです。

 
リップラップと発電所を俯瞰。

 
発電所をズームアップ
『やなせ』の植栽がはっきり見えます。
明らかにこの展望台を意識して植えられてますね。

 
網場に繋留された巡視艇。

 
堤高四国ナンバー1はてっきり早明浦ダムだと思っていましたが、魚梁瀬ダムとはちょっと意外。
そして四国にはロックフィルダムが6基しかないことにもびっくりです。
 
(追記)
魚梁瀬ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
2321 魚梁瀬ダム(1740) 
高知県安芸郡北川村久木 
奈半利川水系奈半利川 
 
 
115メートル 
202メートル 
104625千㎥/72500千㎥ 
電源開発(株) 
1970年 
◎治水協定が締結されたダム