ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

増間ダム

2024-02-16 08:00:00 | 千葉県
2016年2月21日 増間ダム
2024年1月27日
 
増間ダムは千葉県南房総市増間の平久里川水系増間川にある三芳水道企業団が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
昭和30年代に入り房総各自治体では海水浴客など観光客の増大により水道需要が急増し水道事業の整備に迫られます。
房総半島南端に位置する館山市・旧富浦町・旧三芳村は共同で一部事務組合である上水道組合(のちに三芳水道企業団に名称変更)を設立し、その上水道水源として1969年(昭和44年)に竣工したのが増間ダムです。
ダムと浄水場の完成を待って館山市北部地域、旧富浦町・旧三芳村へ一日最大5400立米の給水が開始されました。
その後1996年(平成8年)に南房総広域水道企業団からの受水が開始、さらに1998年(平成10年)に館山市水道事業と統合し現在に至っています。
一方、2006年(平成18年)に富浦町と三芳村を含む安房郡6町1村が合併して新たに南房総市が誕生しますが、これにより南房総市は旧富浦町と旧三芳村は三芳水道企業団、残り5町は南房総市水道事業と市内で水道事業者が異なる状態となっています。

増間ダムには2016年(平成28年)2月に初訪、2024年(令和6年)1月に再訪しました。
ダムは県道258号線沿いにありますが、直下の増間浄水場ともども部外者の立ち入りは制限されています。
初訪時はダム右岸の林道から眺めるにとどまりました。
再訪時は事前に見学申請をしましたが土曜日ということもありダム下浄水場への立ち入りのみ許可を頂けました。
掲載写真にはそれぞれ撮影日時を記載しています。

浄水場入口門扉を開放していただきダム下へ
まず目を引くのは緩やかにカーブを描く残縮型堤体導流壁、ゲート上は千葉の上水ダムではおなじみ、天端が一段高くなっています。
向かって左(右岸側)のコンクリートの張り出しは地山。
(2024年1月27日)


ダム直下に建屋がありますが、これがポンプ室。
取水した水を浄水設備に送ります。
増間川はダムのすぐ下流で平久里川に合流するため、このダムには河川維持放流義務はありません。
副ダム手前の排水口はドレーンからの水。
(2024年1月27日)

 
副ダム。
(2024年1月27日)

 
ダム直下右岸側に浄水設備が並びます。
しかしどのアングルで見ても美しい導流壁。
(2024年1月27日)

こちらは浄水場内の上水汚泥処理設備
当ダムでは濁水が常習化しているため、汚泥処理量も多くなっています。
(2016年2月21日)

 
こちらはダム右岸の林道から。
(2016年2月21日)


同じく林道から
堤頂長145メートルと千葉の上水ダムの中ではなかなかの大きさ。
平日であれば天端に立ち入れたのですが、訪問したのが土曜日で嘱託職員一人体制のため天端の見学は断念。
(2024年1月27日)


(2024年1月27日)


ゲート部分だけ高くなった天端。
(2024年1月27日)


南房総はプレート活動によって隆起した若い堆積層で形成され土砂放出量が多く、どの貯水池も濁りが大きくなります。
とりわけこのダムは濁水が激しくなっています。
曝気装置が稼働していますが、これほど濁りが大きいと効果はないのでは?
当然浄水場への負荷は他所よりも大きくなります。
(2024年1月27日)


フェンス越しに撮った諸元プレート。
(2024年1月27日)

 
高欄の銘板。
(2024年1月27日)

昨今の人口減少、水道施設の老朽化等に対処するために2015年(平成27年)に千葉県が示した「県内水道の統合・広域化の進め方(取組方針)」に従い、安房地区の鋸南町・三芳水道事業団・南房総市・鴨川市各水道事業者の事業統合に向けた調整が進められており、早晩事業の統合が実施される見込みです。
 
0665 増間ダム(0235)
千葉県南房総市増間
平久里川水系増間川
34メートル
145メートル
520千㎥/500千㎥
三芳水道企業団
1969年