ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

田子倉ダム

2016-05-30 11:15:00 | 福島県
2016年5月28日 田子倉ダム
 
田子倉ダムは福島県只見郡只見町田子倉の阿賀野川水系只見川にある電源開発(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
水量豊富で急流河川の只見川では戦時中から日本発送電(株)により電源開発が進められてきましたが、一方で各種利権の対立もあり尾瀬分水や只見川分流など様々な開発案が検討され混迷を極めていました。
1953年(昭和28年)に只見川上流域は電源開発、中下流から阿賀野川については東北電力というすみ分けが決まったことを受け両社は積極的な電源開発に邁進します。
電源開発は最上流部に奥只見、上流部に田子倉という日本屈指のダム・発電所建設を同時に進め、まず1960年(昭和35年)に奥只見ダム・発電所が、翌1961年(昭和36年)に田子倉ダム・発電所が完成しました。
田子倉ダムは総貯水容量4億9400万立米(全ダム中第3位)、堤高145メートル(重力式コンクリート第6位)、堤体積195万立米(重力式コンクリートダム第2位)と日本屈指のスケールを誇っています。
またダム直下の田子倉発電所は1959年(昭和34年)の最大出力15万キロワットでの部分運用開始から随時増強され、現在は最大40万キロワットの発電能力を持ち、これは一般水力発電としては奥只見発電所に次いで日本第2位の出力です。
田子倉ダムは日本ダム協会により日本100ダムに選ばれているほか、豪雪地帯の水資源と地形を巧みに利用したダム・電源開発等の河川史や地域資産として高く評価され2023年(令和5年)に『只見川ダム施設群』として土木学会選奨土木遺産に選定されました。
またダム湖の田子倉湖もダム湖百選に選ばれています。
 
只見ダムから国道252号線を新潟方面に走るとダム湖の先に田子倉ダムが姿を見せます。
 
同じ場所からズームアップします。
手前の鉄橋からの眺めもよさそうですが、残念ながら工事で通行できません。
 
国道252号を新潟方面に走ると田子倉発電所に突き当たります。
ダムへはヘアピンを駆け上がりますが、途中でダムの姿を見ることができます。
4門のラジアルゲートからまっすぐ下に伸びる直線的な導流壁が田子倉ダムの特徴です。
これは同じ時期に建設された奥只見ダムにも共通します。
 
左岸から
 
天端は中央まで立ち入りできます。
電源開発のダムの特徴ダム名の銘版プレートが埋め込まれています。
 
天端中央にあるガントリークレーン
 
天端左岸にレストハウスとインクラインがあります。
インクラインの隣はダム湖(田子倉湖)遊覧船乗り場となっています。
時間があれば遊覧船からダムを眺めてみたかったのですが、先のスケジュールも詰まっていたので・・・・
奥に浅草岳の稜線が見えます。
 
ダムの直下の田子倉発電所があります。
一般水力発電では日本第2位の最大出力を誇っています。
 
左岸ダム湖から
やっぱり遊覧船に乗ればよかったかなあ~
 
日本有数の規模を誇る田子倉ダムですが、下流から見ることができないなど見学できるポイントが限定され、なかなかその大きさを体感できません。
直下の発電所からダムを見上げるような機会があればいいのですが。
 
(追記)
田子倉ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0494 田子倉ダム(0413)
福島県南会津郡只見町田子倉
阿賀野川水系只見川
145メートル
462メートル
494000千㎥/370000千㎥
電源開発(株)
1959年
◎治水協定が締結されたダム


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