2016年4月24日 大川ダム
2024年4月26日
大川ダムは左岸が福島県南会津郡下郷町小沼崎、右岸が同県会津若松市大川町の一級河川阿賀野川本流上流部にある国土交通省北陸地方整備局が直轄管理する特定多目的ダムです。
阿賀野川は古くから会津盆地や新潟平野など沿岸の貴重な灌漑用水源として重用され、さらに大正期以降は豊富な水量を生かし日本屈指の電源地帯となります。
一方、頻発する洪水対策や流域での農業用水、上工水需要の増加、生活様式の変化による電力需要の日量格差の増大などが大きな課題となっていました。
これを受け当時の建設省(現国土交通省)は阿賀野川総合開発事業を採択し、阿賀野川本流上流部への多目的ダム建設に着手、そして1987年(昭和62年)に竣工したのが大川ダムです。
建設に際しては、堆積岩からなる軟弱な地盤に対処するために広範な基礎地盤部分をRCD工法によりコンクリートで固めたほか、左岸を重力式コンクリート、右岸をロックフィルダムとする重力式コンクリート・フィル複合ダムが採用されました。
大川ダムは阿賀野川の洪水調節(最大毎秒800㎥の洪水カット)、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、沿岸約4400ヘクタールへの特定灌漑用水の供給、会津若松市ほか2町への上水道用水の供給、会津若松市への工業用水の供給を目的とするほか、大内ダムを上部池、当ダムを下部池とした電源開発(株)下郷発電所(最大100万キロワット)で純揚水式発電、東北電力(株)大川発電所でダム式発電(最大2万1000キロワット)を行います。
洪水期(6月21日~10月10日)と非洪水期(10月11日~6月20日)に洪水調節容量が変更されるほかダムの目的が多岐にわたるため放流設備も多彩で、非常用洪水吐としてクレストラジアルゲート4門、常用洪水吐としてコンジット高圧ラジアルゲート5門、低水量放流設備としてジェットフローゲート1門、選択式取水設備を備えています。
貯水容量配分図(出典 国土交通省阿賀川河川事務所ホームページ)
放流設備の配置図(出典 国土交通省阿賀川河川事務所ホームページ)
大川ダムには2016年(平成28年)4月に初訪、2024年(令和6年)4月に再訪しましました。
掲載写真にはそれぞれ撮影日時を記載してあります。
大川ダム建設に併せてダム下公園も整備されました。
しかし、その後の自然災害によりダム下に至る道が通行止めになり以来ダム下公園に立入ることはできません。
ダム下流の樹間から遠望。
クレストラジアルゲート4門、コンジット高圧ラジアルゲート5門、手前には東北電力大川発電所が見えます。
(2016年4月24日)
右岸にダム管理所があり、大川ダム資料館が併設されています。
(2016年4月24日)
右岸の記念碑。
(2016年4月24日)
右岸、フィルダム部下の植栽。
(2016年4月24日)
右岸からダム下流面
重力式コンクリート部は右岸側が屈曲、『カド』のあるダムです。
直角に曲がる減勢工が特徴的。
ダム下に下りる遊歩道がありますが、こちらも立入り禁止。
(2016年4月24日)
カドをズームアップ。
(2016年4月24日)
右岸から上流面
手前がフィル部、奥が重力式コンクリート部になります。
フィルダムではおなじみ、万一の堤体越流に備え重力式コンクリート部の方が低くなっています。
(2024年4月26日)
天端からの右岸フィル部と管理事務所。
(2024年4月26日)
予備ゲート運搬用のガントリークレーン
ガントリークレーンはトラッククレーンがまだ高価且つ希少だった昭和30年~40年代のダムで多く採用されました。
その点、トラッククレーンが安価になり、予備ゲートとしてコースターゲートが主流になった昭和末期の大川ダムのガントリーは異質と言えます。
(2016年4月24日)
ダム湖は会津若松市と下郷町から一字ずつ取った『若郷湖』
総貯水容量は5750万立米。
(2024年4月26日)
左岸の電源開発(株)下郷発電所
大内ダムとの間で最大100万キロワットの純揚水式発電を行います。
(2024年4月26日)
こちらは一般水力の東北電力(株)大川発電所
(2016年4月24日)
右岸から見たガントリー。
(2024年4月26日)
上流面
左から予備ゲートとガントリークレーン、クレストラジアルゲート、選択取水設備という並び。
(2016年4月24日)
重力式コンクリートとロックフィルの接続部。
(2016年4月24日)
日本屈指の大河である阿賀野川は流域には多数の発電ダムが立ち並びますが、本流にある治水目的を持ったダムは大川ダムただ一つ。
その分、大川ダムにかかる責任と期待は大きくなります。
(追記)
大川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
0523 大川ダム(0328)
左岸 福島県南会津郡下郷町小沼崎
右岸 会津若松市大戸町大川
阿賀野川水系阿賀川
FNAWIP
GF
75メートル
406.5メートル
57500千㎥/44500千㎥
国交省北陸地方整備局
1987年
◎治水協定が締結されたダム
実際にはそのダムを見ていないのに
何故か懐かしく感じてしまうのは
たぶん、会津若松の想い出が
私にとって最高だったからと思います
いつも記憶の中にある土地の
懐かしくでも見知らぬ場所を見せていただき感謝です
PS:リアクションボタンが昨日から消えているのですが
これは私だけの現象でしょうか?
スマホでもブログが見れるようにアプリを入れたんですが、その時変なボタン押しちゃったのかも?
日本人というのはどうしても敗者に感情移入する傾向があるので、会津というのは自然、多くの日本人に郷愁を感じさせる土地柄なんでしょうね?