2018年7月15日 小羽広ダム
小羽広(こはびろ)ダムは秋田県由利本荘市岩野目沢の子吉川水系芋川上流部にある防災目的の重力式コンクリート・フィル複合ダムです。
農林省(現農水省)の補助を受けた秋田県の事業によって1972年(昭和47年)に竣工しました。
洪水時には最大毎秒43.9立米の水量を調節し芋川下流1013.8ヘクタールの農地を洪水被害から守る農地防災ダムです。
運用開始後は大内町が受託管理していましたが、2005年(平成17年)の市町村合併により新たに誕生した由利本荘市が管理を引き継いでいます。
ダム左岸に管理事務所と駐車場があり駐車場わきに竣工記念碑が置かれています。
左岸沿いの畦道を上流に進むとダムの上流面を一望できます。
堤体中央は重力式コンクリートダム、左右両岸はフィルダムとなっており、コンクリートとフィルの接続部がよくわかります。
コンクリート部分が低いのは、万一堤体越流があった際にフィル部分の崩壊を防ぐためです。
ゲートをズームアップ
クレストには非常用洪水吐としてローラーゲートが2門、その間に越流高の異なるスライドゲート1門、計3門のゲートが並びます。
ゲート手前に長方形の越流壁が設置され流木除けのスクリーン(鳥籠)の奥に自然流下式の放流管が3門あります。
通常は流入量がそのまま放流管から流下します。
対岸に農地や林道が続いており天端は車両が通れます。
ゲート部分だけ下流側に張り出したクランク。
ダム下には減勢工とエンドシルがあります。
訪問直前にまとまった雨があり流下水量が多くなっていました。
ダム湖は総貯水容量167万1000立米。
長細く川だか貯水池だかわかりません。
ゲート上流側は長方形の越流堤が作られ、プチダム穴風になっています。
下流から
左右両岸がフィルダムになっていることが分かります。
両岸に対して堤体中央が低く、まるで翼を広げた猛禽のようです。
中央の日本の導流壁はさしずめ鳥のくちばし。
ダム下から
クレストには非常用洪水吐としてローラゲートが2門と、その間に越流高の異なるスライドゲートが1門あります。
写真では見えませんが堤体下部に放流管があり平時は流入量はそのまま自然流下します。
重力式コンクリート・フィル複合ダムとして非常に美しいフォルムとなっているうえに、防災専用ダムとして見てもクレストの2種類の可動ゲートとダム穴風の常用洪水吐を備えた珍しいゲート配置となっています。
決してメジャーではありませんが、マニア好みの渋いダムであることは間違いないでしょう。
追記
小羽広ダムは治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たな洪水調節容量が確保されることになりました。
0384 小羽広ダム(1345)
秋田県由利本荘市岩野目沢
子吉川水系芋川
F
GF
20メートル
171メートル
1671千㎥/1551千㎥
由利本荘市
1972年
◎治水協定が締結されたダム
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