ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

川口ダム

2021-11-28 12:00:00 | 徳島県
2021年11月20日 川口ダム
 
川口ダムは左岸が徳島県那賀郡那賀町吉野、右岸が同町鉢の一級河川那賀川本流にある徳島県企業局が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編により誕生した四国電力は戦後の電力不足を補うために積極的な電源開発を進めますが、包蔵水力豊富な四国では同社だけでは開発の手が足りず電源開発(株)や公営発電である各県企業局による電源開発が併せて進められました。
那賀川では県の那賀川総合開発事業に県企業局が発電業者として参加し、1960年(昭和35年)に建設されたのが川口ダムです。
川口ダムは同年に完成した日野谷発電所の逆調整池となっており、日野谷発電所の出力調整による水位変動を緩和するとともに、ダムに併設された川口発電所で最大1万1700キロワットのダム式発電を行っています。
 
下流の県道16号川口橋からダムを遠望。
堤体中央直下にダム式発電を行う川口発電所があり、両側にローラーゲート3門ずつ計6門を装備。

 
左岸から
発電所は川の中州の岩山をうまく利用した作りになっています。
ゲート扶壁前面にゲート操作建屋が乗り、支柱を経由したワイヤーでゲートを昇降させる、いわゆる中四国型タイプの発電ダムです。

 
ダムにはPR館である川口ダム自然エネルギーミュージアムが併設されており、水力発電についていろいろ学ぶことができます。
訪問時はイベント開催中で団体様来場中でした。

水利使用標識
川口発電所と赤松ダムダムからの導水を利用した赤松川支水路小水力発電施設の2枚。


堤体中央直下に発電所があるため、取水口が堤体中央に配置されています。


インクラインはなく左岸の桟橋に巡視艇が繋留されています。


左岸側の減勢工
コンクリートの叩きと副ダムがあります。
訪問時は発電所からの放流だけでゲートは閉じられていました。
 

6門のローラーゲートのうち、中央部2門にはフラッシュボードがついています。
ゲートの両側にフラップがあります。

 
天端は町道で車両の通行が可能。


ダム湖は総貯水容量は646万3000立米ですが、堆砂が進み有効貯水容量は95万立米。
堆砂率は85%を超えます。

 
川口ダムの予備ゲートは浮ゲートになっており、普段は右岸湖岸にあるこの施設に格納されています。

 
訪問時はゲート補修のため予備ゲートは絶賛稼働中。
格納施設からダムに曳航し、中に注水したのち直立させてゲート上部に嵌め込みます。

 
赤松ダムからの導水路を利用して小水力発電が行われています。 
2016年(平成28年)に稼働を始めた赤松川支水路小水力発電施設
最大出力はわずか800ワットですが、至近で小水力発電を見るれるのはうれしいですね。

 
ダムにはPR館である川口ダム自然エネルギーミュージアムが併設されており、水力発電についていろいろ学ぶことができます。
川の中央の岩山を利用したダム式発電所、浮ゲート方式の予備ゲート、さらには目の前で小水力が見れるなど非常に見どころの多い川口ダムです。
 
(追記)
川口ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

2126 川口ダム(1744) 
左岸 徳島県那賀郡那賀町吉野
右岸        同町鉢 
那賀川水系那賀川 
 
 
30メートル 
182.5メートル 
6463千㎥/950千㎥ 
徳島県企業局 
1963年 
◎治水協定が締結されたダム 


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