ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

手取川ダム

2022-09-03 15:00:00 | 石川県
2016年11月 5日 手取川ダム
2022年 7月30日
 
手取川ダムは左岸が石川県白山市東二口、右岸が同市女原の一級河川手取川本流上流部にある国交省北陸地方整備局と電源揮発(株)が共同管理する多目的ロックフィルダムです。
手取川は加賀地方中央部をほぼ南北に縦断する石川県最大河川で、中下流部に広がる広大な扇状地は加賀平野を形成します。
古くから流域の灌漑用水源として利用され加賀百万石の礎となる一方、氾濫や渇水が多く抜本的な治水・利水対策が求められていました。
建設省(現国交省)、電源開発、石川県がそれぞれ当地へのダム建設計画を進めていましたが、1970年(昭和45年)に三社の共同事業によるダム建設事業が着手され、電源開発による施工により1979年(昭和54年)に手取川ダムが竣工しました。
手取川ダムは三者の共同事業で建設された兼用工作物で、手取川ダムの洪水調節、石川県8市4町村への上水供給、金沢港臨海工業地域への工水供給、電源開発手取川第一発電所での最大24万キロワットのダム水路式発電を目的としています。 
運用開始後は湖面管理及び洪水調節は国交省が、堤体管理及び発電所は電源開発が管理を担っています。
運用開始後は湖面管理及び洪水調節は国交省が、堤体管理及び発電所は電源開発が管理を担っています。

手取川ダムは堤高および総貯水容量ともにロックフィルダム第4位、北陸地方第2位と日本屈指のロックフィルダムとなっていますが、国道から天端へ通じる管理道路で落石リスクがあるため普段は天端への立ち入りができません。
初回訪問時は左岸からの見学に留まりましたが、ダム見学会に合わせて再訪し天端や監査廊、発電所を見ることができました。
見学会の詳細については別項
 
普段手取川ダムの下流面を見ることができるのは、国道157号線東二口第2トンネル手前からのみです。
堤高153メートル、堤頂長420メートルの巨大ロック。




こちらは天端へ続く管理道路入口
この先で落石リスクがあるため、普段はゲートが閉められ立ち入ることができません。


国道157号線沿いのダム展望公園には、手取川ダムに使われているロック材が展示されています。


手取川第一発電所の取水塔
最大使用水量180立米/秒でここから約1500メートルの導水路で発電所に送水されます。
さらに北陸電力手取川第二、第三発電所を経て下流に放流され、放流水は石川県向け上工水として利用されます。


対岸の管理事務所とインクラインを遠望。


ここから先は立ち入り禁止区域の写真となります。
左岸の竣工記念碑。


右岸のクレストローラーゲートと上流面
発電用取水口から180立米/秒の取水を行うため、放流設備はこのゲートと利水放流バルブのみです。


洪水吐斜水路
153メートルの高さを実感できます。


減勢工をズームアップ
毎秒1立米の維持放流中。

下流面。


天端はトラッククレーンが通行可能な2車線幅で対岸まで420メートル。


総貯水容量2億3100万立米は全国のロックフィルダム中第4位
北陸では九頭竜ダムに次ぎ第2位で黒部ダムを凌ぎます。


ダム下へ
斜水路をフレームに納めるため超広角で撮りました。
写真ではデフォルメにより高度感が感じられませんが、実際には相当の高さとなります。
斜水路の右手に小水力発電所が計画されています。


河川維持放流用バルブは毎秒1立米で放流中
もともとここに放流設備はありませんでしたが、河川維持放流の義務化により2004年(平成16年)に増設されました。
小水力発電所用の分水バルブが取り付けられています。


斜水路を見上げます。

(追記)
手取川ダムは台風等の襲来に備え事前放流を行う治水協定を締結しました。

0920 手取川ダム(0701)
左岸 石川県白山市東二口
右岸     同市女原
手取川水系手取川
FWIP
153メートル
420メートル
23100千㎥/19000千㎥
国交省北陸地方整備局・電源開発(株)
1979年
◎治水協定が締結されたダム


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