ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

魚梁瀬ダム

2021-11-26 08:00:00 | 高知県
2021年11月19日 魚梁瀬ダム
 
魚梁瀬(やなせ)ダムは高知県安芸郡北川村久木の二級河川奈半利川本流上流部にある電源開発(株)が管理する発電目的のロックフィルダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編により四国電力が誕生しますが、包蔵水力豊富な四国の電源開発を同社のみで手掛けるのは財務的、物理的にも困難で、公営発電や電源開発(株)による電力開発が併せて進められました。
上流域の年間降水量3000ミリと日本屈指の多雨地帯を流れる奈半利川では昭和30年代より電源開発(株)が発電事業が進めます。
そして1960年(昭和35年)年の平鍋ダム・長山発電所、1963年(昭和38年)の久木ダム・二又発電所に次いで1965年(昭和40年)に最上流部に竣工したのが魚梁瀬ダムです。
ダム完成に合わせて魚梁瀬発電所(最大出力3万6000キロワット)が稼働し、奈半利川での電源開発(株)の発電能力は合計14万5000キロワットとなりました。
魚梁瀬ダムは四国に6基しかないロックフィルダムの一つで、堤高115メートルは早明浦ダムを凌ぎ四国ナンバー1。
また1億立米を超える貯水容量により奈半利川の河川流量の季節変動を平準化し、各発電所の発電効率向上を図るとともに、結果として奈半利川の減災や既得取水の安定化にも貢献しています。
 
まずはダム下へ。
堤高115メートルに対して堤頂長は202メートル。
一般的なロックフィルダムよりも横幅がない分、見上げるとその高さが際立ちます。
堤高115メートルは四国最高、下流面には高瀬ダムを彷彿させるジグザグの管理道路が続きます。
立入禁止の門扉の先には円形の魚梁瀬発電所。

 
洪水吐斜水路
カクカクしてるけど一応ジャンプ台。

 
クレストにはライトブルーのローラーゲートが2門。
奈半利川の電源開発の3基のダムはゲートがこの色で統一されています。

 
ダムの下流は紅葉真っ盛り。


いったん県道に戻り北上すると『魚梁瀬ダム』の大きな標識があります。


ここからダム管理道路に入ると右手に魚梁瀬ダムのリップラップが現れます。

 
ゲートとゲートピアをズームアップ。

 
こちらは右岸の取水設備。

 
ダム直上には展望台があります。


超広角で撮ったリップラップと魚梁瀬貯水池。
総貯水容量は1億立米を超え、上流部は湖畔にオートキャンプ場や民宿などがあるレジャースポットです。

 
リップラップと発電所を俯瞰。

 
発電所をズームアップ
『やなせ』の植栽がはっきり見えます。
明らかにこの展望台を意識して植えられてますね。

 
網場に繋留された巡視艇。

 
堤高四国ナンバー1はてっきり早明浦ダムだと思っていましたが、魚梁瀬ダムとはちょっと意外。
そして四国にはロックフィルダムが6基しかないことにもびっくりです。
 
(追記)
魚梁瀬ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
2321 魚梁瀬ダム(1740) 
高知県安芸郡北川村久木 
奈半利川水系奈半利川 
 
 
115メートル 
202メートル 
104625千㎥/72500千㎥ 
電源開発(株) 
1970年 
◎治水協定が締結されたダム 



コメントを投稿