ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

末武川ダム

2017-08-01 14:41:31 | 山口県
2017年7月19日 末武川ダム
 
末武川ダムは山口県下松市の西端、周南市との境界付近の末武川中流部にある山口県営の多目的ロックフィルダムです。
周南市八代に源を発し下松市西部をほぼ南北に流下して周防灘に注ぐ末松川は豪雨のたびに洪水被害をもたらす一方、夏場には渇水が頻発し水不足が問題となっていました。
さらに戦後の徳山下松港の整備に伴い周南コンビナートが形成され都市用水の需要は一気に高まりました。
これらの諸課題に対処すべく、山口県は末武川総合開発事業を策定、1991年(平成3年)に竣工したのが末武川ダムです。
末武川ダムは末武川の洪水調節、適正な河川流量の保持、上水道用水及び工業用水の供給を目的とするほか堤体直下の山口県企業局末武川発電所で最大出力1600キロワットの発電を行っています。
また末武川ダム湖周辺は米川公園、原石山公園、瀬戸公園などが整備されるとともにダム湖を周回する遊歩道も設置され地域住民の憩いの場となっています。
 
末武川ダムは県道41号線沿いにありアプローチは簡単です。
まずは下流の末武上地区から川沿いの道を遡上して堤体直下を目指します。
堤体下部は地山に隠れますが、洪水吐越しに見るダムはまさにロックフィルダム見学の醍醐味です。
 
ダム湖周辺は公園として整備されています。
 
取水塔とインクライン。
 
左岸から上流面。
 
ダム湖(米泉湖)、総貯水容量は1957万立米
ダム湖を周回する遊歩道もあり、平日の早朝にもかかわらず多くの市民がウォーキングやランニングを楽しんでいます。
 
天端
一般車両は左岸でゲートアウト
天端の岩には地元市民から寄せられた短歌や俳句が彫刻されています。
 
洪水吐導流部
一番上の写真はこの下から撮ったものです。
 
右岸の管理事務所と横越流水路式洪水吐。
 
アングルを変えて
手前が非常用洪水吐の越流壁
奥にダム穴風の常用洪水吐が見えます。
 
ダム穴風洪水吐をズームアップ
オリフィス用のゲートが見えます。
 
下松市は例年住みよい街ランキングで上位の常連となっており、山口県内の市町村では数少ない人口増加自治体です。
そのため平成の大合併でも周南市への合併には加わらず独自の道を選択しました。
そんな下松の治水と水を支える末松川ダムは、市民の憩いの場としても住みよい街の一翼を担っています。
 
追記
末武川ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2096 末武川ダム(1094)
山口県下松市瀬戸
北緯34度03分21秒,東経131度52分24秒
末武川水系末武川
FNWIP
 
89.5メートル
275メートル
19570千㎥/18770千㎥
山口県土木建築部
1991年
◎治水協定が締結されたダム


コメントを投稿