2022年3月28日 名頃ダム
名頃ダムは徳島県三好市東祖谷菅生の吉野川水系祖谷川上流部にある四国電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
包蔵電力豊富な吉野川水系では戦前から活発な電源開発が進められてきましたが、1951年(昭和26年)の電気事業再編令で誕生した四国電力は高度経済成長による電力需要拡大に対処するため各所で電源開発や既設発電施設の再開発を進めます。
祖谷川では1954年(昭和29年)に高野発電所、1959年(昭和34年)に三繩発電所再開発が竣工、次いで1961年(昭和34年)に祖谷川最上流部に建設されたのが名頃ダムです。
ここで取水された水は約450メートルの導水路で名頃発電所に送られ最大1300キロワットのダム水路式発電を行ったのち、その放流水は約19キロの導水路で遠く松尾川ダムまで送られ、松尾川第1発電所(最大出力2万800キロワット)及び松尾川第2発電所(最大出力2万1400キロワット)の発電に供されます。
祖谷川沿いの国道439号を剣山方面に東進、三嶺登山口を過ぎると名頃ダムに到着します。
まずは下流から
クレストにラジアルゲート1門、雪が多いのか?ピアは被覆されています。
左岸(向かって右手)に放流設備があり、河川維持放流が行われています。
ゲートをズームアップ。
天端高欄には戦前、戦中のダムでよくみられる三日月形の『抜き』。
堤体のくたびれ具合も併せて、ぱっと見戦前のダムか?と思しき様相。
ダム右岸を国道が通りますが、ガードが厳しく撮影はこのアングルのみ。
総貯水容量136万7000立米に対し有効貯水容量115万立米と、発電ダムとしては堆砂がほとんどありません。
天端高欄の三日月形の抜きは下流側のみですが、このアングルで見た天端高欄の意匠は、戦中に建設された広島の高暮ダムを想起します。
水利使用標識。
ダム入り口の銘板
四国電力では『○○堰堤』という表記が多いのですが、ここは『ダム』。
追記
名頃ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
2127 名頃ダム(1784)
徳島県三好市東祖谷菅生
吉野川水系祖谷川
P
G
37メートル
119.4メートル
1367千㎥/1150千㎥
四国電力(株)
1961年
◎治水協定が締結されたダム