2022年11月19日 乙見ダム
乙見ダムは左岸が大分県臼杵市野津町八里合、右岸が同市乙見の二級河川臼杵川本流にある農地防災および灌漑目的のロックフィルダムです。
臼杵川は上中流部は渓谷、下流域は平野になっており、豪雨のたびに平野の出口一帯で洪水が多発し流域農耕地が被災しました。
大分県は1961年(昭和36年)に農林省(現農水省)の補助を受けた県営防災ダム事業乙見地区を着手、1968年(昭和43年)に竣工したのが乙見ダムです。
管理は臼杵市が受託し臼杵川下流域約300ヘクタールの農地防災を担うとともに、灌漑期のみ灌漑容量が配分されます。
なおダム便覧では竣工年度を1970年(昭和45年)としていますが、ここではダムの銘板に従い1968年(昭和43年)とします。
ダム浚渫工事の際に設けられた作業道でダム湖に下りることができます。
クレストローラーゲート2門、ローラーゲートの下に越流高の異なる放流管2門、さらに右手に調節用放流管を2門装備。
灌漑期のみ灌漑容量が配分され常時満水位が変わるため、多様なゲート配置となっています。
灌漑期は一番左のゲージの付いた放流管、非灌漑期は左から2番目の放流管から流入量を放流します。
また洪水時は右手2門の開閉により放流量を調節します。
今回は非灌漑期の訪問でしたので、左から2番目の放流管から放流されていました。
左岸ダムサイトの管理事務所
職員の常駐はありません。
建設記念碑
摩耗が進み読みづらくなっています。
記念碑の建立は1969年(昭和44年)の運用開始時ですので、ダム便覧の1970年竣工と言う記載には誤りでしょう。
天端は市道で車両通行ができます。
ダムの銘板には昭和43年完成とあります。
ダムサイトの遺構
バッチャープラント跡。
上流面。
減勢工
右手の放流管から放流中
灌漑期は左手の放流管から放流されます。
また洪水時に使用される調節放流管用に右岸側はコンクリートの叩きが設けられています。
総貯水容量180万立米のダム湖
訪問時は非灌漑期のため空っぽですが、9月の台風14号の影響で大量の流木が積み重なっています。
ダムがなければこれが下流に流出したわけですからダムの効果は絶大ですが、後始末が大変。
臼杵川中上流部は阿蘇火砕流による凝灰岩で形成され深い渓谷になっています。
ダム湖左岸には柱状節理が並びます。
ゲートのプレート
このおかげで各ゲートの役割が把握できました。
ゲートピア。
(追記)
乙見ダムには農地防災容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
乙見ダムには農地防災容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
2769 乙見ダム(1940)
左岸 大分県臼杵市野津町八里合
右岸 同市乙見
臼杵川水系臼杵川
FA
G
39.9メートル
120メートル
1800千㎥/1697千㎥
臼杵市
1968年
◎治水協定が締結されたダム
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