ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

外山ダム

2022-11-27 10:00:00 | 岩手県
2022年10月21日 外山ダム
 
外山(そとやま)ダムは左岸が岩手県盛岡市浅岸、右岸が同市薮川の北上川水系外山川にある東北電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1943年(昭和18年)に東北振興電力(株)によって建設され、日本発送電の接収を経て、1951年(昭和26年)の電気事業再編成により東北電力(株)が事業継承しました。 
ちなみに東北振興電力(株)は昭和初期の冷害や三陸地震、さらには昭和恐慌で疲弊した東北地方の産業振興目的で設立された国策会社です   
外山ダムから直接発電所への取水を行っているわけではなく、外山川流量の季節変動を平準化し下流の米内発電所の発電効率を安定させる目的で建設されました。 
 
盛岡市街から国道455号線を東に約20キロ進むと外山ダムに到着します。
ダム直下に外山大橋が架かり、絶好の展望ポイントとなっています。
外山川を締め切る逆三角形の堤体はなかなかの男前。
提体は竣工当時のものですが、改修や補強によりコンクリートの色調が斑になっています。


アングルを変えて。
背後のダム湖は総貯水容量375万1000立米。
下流の米内発電所の出力は最大4300キロワットで、これだけの設備を要した割には発電能力がずいぶん小さいように思えます。


左岸には横越流式洪水吐があり、導流部が地山を伝って下流に流下します。
洪水吐を跨ぐ管理橋はコンクリートが新しく、改修によって刷新されたようです。
また提体中ほどから放流管が二本突き出ており、これで外山川の流量を調節します。

左岸ダムサイトから
洪水吐の管理橋だけコンクリートが新しいのがわかります。


天端は立ち入り禁止。


横越流式洪水吐の側壁から河川維持放流が行われています。
維持放流の義務化によりバルブが後付けされたのでしょう。


左岸の横越流式洪水吐
薄く越流しています。


上流から洪水吐を望む。


上流面をズームアップ
堤体中央の二つの建屋は放流管の取水口で、ここで放流量を調節します。
手前の建屋は河川維持放流用バルブの操作室。


左岸洪水吐直上には艇庫とインクラインがあります。


追記
外山ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え 事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0234 外山ダム(1886)
左岸 岩手県盛岡市浅岸
右岸     同市薮川
北上川水系外山川
 
 
33メートル 
121メートル 
3751千㎥/3233千㎥ 
東北電力(株) 
1943年
◎治水協定が締結されたダム


コメントを投稿