2022年5月20日 小石原川ダム
小石原川(こいしわらがわ)ダムは福岡県朝倉市江川の筑後川水系小石原川にある水資源機構が管理する多目的ロックフィルダムで、いわゆる『あさくら3ダム』の一つです。
1964年(昭和39年)の『筑後川水系水資源開発基本計画』(フルプラン)採択により、筑後川水系では水資源開発公団(現水資源機構)により河川総合開発が進められることになりました。
同公団は1972年(昭和47年)に筑後川水系小石原川に江川ダム、1978年(昭和53年)に佐田川に
を建設しますが、同年発生したいわゆる『福岡大渇水』により福岡市では時間指定断水が287日間に及ぶ異常事態となり、新たな水源確保が緊急課題に浮上しました。
これを受け公団は寺内ダム直上の小石原川に新たな多目的ダム建設を採択、その後の社会情勢の変化や公共事業見直し機運の高まりなど紆余曲折はあったものの、2016年(平成28年)に本体工事が着手され2019年(令和2年)に小石原川ダムが竣工しました。
小石原川ダムは水資源機構法による多目的ダムで、小石原川の洪水調節、安定した河川流量の保持と不特定灌漑用水への補給および渇水時の緊急放流、福岡県南広域水道企業団への上水道用水の供給を目的としています。
またこれまで佐田川は流域面積が大きい一方、寺内ダムの貯水能力が少ないため年間5200万立米の水が無駄になっていましたが、ダム建設に合わせて佐田川から江川ダムに通じる導水路トンネルが開削され、江川・小石原川・寺内3ダムが連携した効率的ダム運用が可能となりました。
江川ダムから奥秋月湖沿いの国道500号を東進、途中の分岐で旧道に入ると小石原川ダム直下に到着します。
ダムの完成から間がなく、ダム下の整備も訪問直前に完成したばかり。
堤高139メートル、堤頂長558.3メートル、堤体積870万立米と九州屈指の規模を誇るロックフィルダムです。
洪水吐導流部はカスケードで、大規模ロックフィルダムとしては殿ダムに次いで2例目の採用となります。
左手のトンネルは取水設備からの放流口。
左岸から。
リップラップ。
ダム左岸の山はコア山として伐採されました。
ダム完成後に改めて植林が進められ、シカの食害防止のために苗木にはビニールが巻かれムーミンのニョロニョロのよう。
天端から。
令和あさくら湖と命名されたダム湖は総貯水容量4000万立米。
右岸(向かって左)に取水設備と繋留設備が並びます。
取水設備は『側壁なし円形多段式ゲート』という型式で、戸当たりをレール方式にするため側壁が不要になり、コスト削減が可能となりました。
天端は車両通行可能。
洪水吐斜水路を見下ろします。
巨大な横越流式洪水吐
でも作りはシンプル。
繋留設備。
取水設備とダム上流面。
(追記)
小石原川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
3062 小石原川ダム(1811)
福岡県朝倉市江川
筑後川水系小石原川
FNW
R
139メートル
558.3メートル
40000千㎥/39100千㎥
水資源機構
2019年
◎治水協定が締結されたダム
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