2021年3月27日 桂貯水池堰堤
桂貯水池堰堤は京都府舞鶴市与保呂の与保呂川上流部にある舞鶴市上下水道部が管理する上水道用水目的の表面石張重力式コンクリート堰堤です。
帝国海軍舞鶴鎮守府開庁に合わせて海軍の補給用水道水源として1900年(明治33年)に建設され、これは兵庫県の布引五本松ダムに次ぐ我が国2番目の重力式コンクリート堰堤とされています。
水道事業黎明期の貴重な土木遺産としての評価は高く、2003年(平成15年)に『舞鶴旧鎮守府水道施設』として、周辺の水道施設と合わせて国の重要文化財に指定されたほかBランクの近代土木遺産、近代化産業遺産、近代水道百選に選ばれています。
また堤高12メートルと河川法上のダムの要件は満たしていませんが、ダム便覧には参考掲載されています。
与保呂川沿いの県道を東に向かい、与保呂浄水場をやり過ごすと蛇切岩駐車場が現れます。
ここが桂貯水池堰堤ダム下への入り口となります。
まずはそのまま車道を上流に向かうとフェンス越しに堤体を見下ろせます。
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天端上流側に後付けと思われる鉄柵が設置されています。
残念ながら天端への立ち入りは禁止です。
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フェンスに貼り付けられた経産省認定の近代化産業遺産のプレート。
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蛇切岩駐車場に戻ります。
こちらは蛇切岩の説明版で、その由来等がが書かれています。
もともと蛇や竜の伝説は洪水や土石流が起源で与保呂川も小河川ながら暴れ川だったと思われます。
蛇を切って退治したということはその治水が寓話になったとみるのが妥当でしょう。
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駐車場から苔むした川沿いを歩くことものの2~3分でダム下に到着します。
直近の台風の影響で倒木などやや荒れ気味。
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3門の越流部があり薄く越流中。
導流部の下にはこれまた石張りのシュート部があります。
向かって左は樋門。
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越流部の扶壁は煉瓦製。
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苔生した石張りの導流面はビンテージン感沸々。
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樋門跡
扁額には「清徳霊長」の文字
要石には帝国海軍の軍証が刻まれています。
要石には帝国海軍の軍証が刻まれています。
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同じ海軍水道水源でも呉や大湊が公園化として整備されているのに対して、当堰堤は本当に森の中にあり、苔むした堤体など野趣感溢れる土木遺産です。
また舞鶴鎮守府初代司令長官はあの東郷平八郎、東郷さんもこの貯水池の水を飲んだに違いないと思うとなんだかワクワクしてきますね。
S509 桂貯水池堰堤(参考掲載)(1610)
近代化産業遺産
京都府舞鶴市与保呂
与保呂川水系与保呂川
W
G
12メートル
50メートル
8千㎥/8千㎥
舞鶴市上下水道部
1900年
3門の越流部
樋門跡の「清徳霊長」の扁額
まっちさんの紹介で、色んなダムを拝見させて頂きましたが・・
こんなに「美しい」と感じたダムは初めてかもしれません。
蛇切岩の名が示す治水の寓話
何もかもが一編の詩のようで、美しい画像と共に、小さな旅をさせていただいた気分です。
知る人ぞ知る宝石のような堰堤です。
舞鶴のみならず、佐世保、呉、大湊などかつての海軍の要衝にはいずれも素晴らしい海軍水道施設が残っています。
戦後、軍事関連施設というだけで目も向けられなかった時代もありますが、軍事施設であっても素晴らしい芸術・文化を生み出してきた、そういう事実にもっと目を向けてほしいと思います。