ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

湯原ダム

2018-10-24 01:10:01 | 岡山県
2018年10月12日 湯原ダム
 
湯原ダムは岡山県真庭市湯原温泉の旭川水系旭川上流部にある岡山県土木部と中国電力が共同管理する多目的重力式コンクリートダムです。
旭川水系では戦前からダムの建設計画が進められていましたが戦争で中断、戦後岡山県は復興の柱として旭川上流での湯原ダム、中流での旭川ダム建設事業に着手します。
湯原ダム建設事業では戦後の電力不足解消のために積極的に新電源開発を進めていた中国電力が発電事業者として事業参加し、わずか3年の工期を経て1954年(昭和29年)に竣工しました。
ダムは岡山県と中国電力が共同管理し、旭川上流域の洪水調節および中国電力湯原第一発電所で最大2万6600キロワット、湯原えん堤発電所で最大360キロワットの発電を目的としています。
さらに下流の社口ダムを取水ダムとする湯原第二発電所で最大2万3700キロワットの発電が行われており、計5万660キロワットの発電能力を有しています。
 
湯原ダム直下には江戸時代からの名湯湯原温泉があり、無料の河川敷駐車場から徒歩5分でダム下に到着します。
ダム直下には有名な露天風呂『砂湯』があります。
人気の露天風呂で、目当てがダムの撮影でもカメラを持ってうろうろしていると盗撮に間違われるので要注意です。
洪水吐はクレストに6門のローラーゲートが並び、直線の導流壁がいかにも1950年代のダムといった風です。
放流設備としてはこれ以外には堰堤発電所経由の放流設備があるだけ、実際には平常時の下流への放流は湯原第一発電所経由が大半となります。
 
ゲートをズームアップ
一番右岸寄り(向かって左手)のゲートだけ色が違っています。
 
県道322号で天端に向かう途中からもダムが見えます。
 
扶壁上部に段差がついています。建設時に歩廊が架けられたんでしょうか?
 
天端は県道で車両が通行できます。
ゲートピア両側に螺旋階段。
 
ダム下
いわゆる減勢工らしきものはなく、ダムの下流がすぐに温泉街となります。
 
貯水池の湯原湖
湛水面積455ヘクタールは中国地方最大、総貯水容量9960万立米は岡山県最大。
 
左岸にある謎の構造物。
 
下流面。
 
上流面
管理事務所もスペースがなく崖にへばり付くように建てられています。
 
温泉街に近いダムということで、ダムのライトアップなどのイベントも多く行われていますが、遠方からでは宿泊しないとなかなかお目に架かることはできません。
なお、右岸上流側に湯原第一発電所への取水口があったのですが予習不足で撮影しませんでした。
 
(追記)
湯原ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1869 湯原ダム(1414)
岡山県真庭市湯原温泉
旭川水系旭川
FP
73.5メートル
194.4メートル
99600千㎥/86000千㎥
岡山県土木部・中国電力共同管理
1954年
◎治水協定が締結されたダム



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