ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

広沢ダム

2021-10-24 07:29:11 | 宮崎県
2021年10月16日 広沢ダム
 
広沢ダムは宮崎県東諸県郡綾町南俣の大淀川水系浦之名川にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
大淀川左岸地区の農地は火山灰土壌で形成された畑地帯と沖積平野の水田に二分されますが、共に水利に乏しいため生産性が低く灌漑設備の整備が強く求められていました。
1978年(昭和53年)に農水省による国営大淀川左岸地区土地改良事業が着手され、その灌漑用水源として2000年(平成11年)に広沢ダムが完成しました。
土地改良事業も2005年(平成17年)に竣工し、3市町村にまたがる約1300ヘクタールの農地に灌漑用水が供給されています。
またダムは運用開始後、宮崎市・小林市・綾町が受託管理者となっていますが実際の管理は宮崎市に委任されています。
 
宮崎と小林を結ぶ国道268号線えびのスカイラインに広沢ダムへの案内板があり、これに従って浦之名川沿いを北西に約7キロ進むと広沢ダムに到着します。
堤高62.7メートル、堤頂長199メートルと農業用ダムとは思えない立派な堤体。
クレストには自由越流頂11門がずらっと並び、農業用ダムでは珍しく両岸に堤趾導流壁を備えています。

 
ダム下の調圧水槽。

 
左岸から
逆光で露出が難しい

 
天端親柱の不思議な彫刻?
何をモチーフにしたんでしょう?

 
左岸ダムサイトの水利使用標識と水神。

 
上流面
巨大な四角形の取水設備。

 
天端からダム下を見下ろすと
減勢工にはバッフルピアが2列、さらにその下流に副ダムがあります。
よく見ると背の高い副ダムの向こうにもう一つ副ダムが。
その下流には河川維持放流を利用した小水力発電所があります。


大淀川左岸土地改良区が管理する広沢ダム発電所
利水放流を利用する小水力発電所ですが、有効落差55.8メートルを生かし最大出力640キロワットと小水力とは思えない出力を誇ります。


高台の管理事務所。

 
天端は車両通行可能。 
右岸の林道へと続きます。

農業用コンクリートダムでは堤体導流壁が多いのですが、ここは堤趾導流壁。

 
右岸から上流面
11門のクレスト自由越流頂が並びます。

 
ダム湖は総貯水容量510万立米
ダム便覧では水上スキーのメッカと記されていますがその気配はなし。


 (追記)
広沢ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

2838 広沢ダム(1711)
宮崎県東諸県郡綾町南俣
大淀川水系浦之名川
62.7メートル
199メートル
5100千㎥/3800千㎥
宮崎市(小林市・綾町より管理を委任)
2000年
◎治水協定が締結されたダム


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