4年に1回開催されるICM(国際数学者会議)の席上表彰されるフィールズ賞。2006年度からはガウス賞が制定され、晴れの第1回受賞者は、日本の伊藤清先生であった。さて、2010年のインドにおけるICM。ガウス賞を受賞したのはフランスのYves Meyer氏であった。雑誌、数学セミナー1月号にはフィールズ賞受賞の4名については記事が掲載されているが、なぜかガウス賞については、記事がない。Wikipediaにも、受賞きじがあるだけで、過去の業績についてはなにもふれていない。Princeton大学のDaubechies女子による記事、フランス、ルモンド紙による記事、で扱われているが、業績の紹介記事がいたって少ない。その方面の碩学の先生方(例えば、東大の新井教授、京大RIMSの山田教授)などに依頼すれば詳細な記事が期待できると思う。ここでは、筆者の知る限りの業績をのべる。
氏は、調和解析の分野の造詣がふかく、あたらしい解析分野のWaveletの数学的な理論づけを行った。このWaveletが応用方面で活用され、「実生活における数学の有用性を著しくはたした。」ことが評価対象となり、今回のガウス賞受賞の運びとなった。
なお、Meyer氏のWavelet関連の書籍ではHelman社からOndelet(フランス語のWavelet)Ⅰ、Ⅱが出版されている。この本は、Cambridge Univ.Pressから英訳されている。(3分冊)これを読むと、調和解析の枠内の理論で綺麗に基礎付けていることが良分かる。
(名著であるので、邦訳されることを望みます。)