今は亡き、日本IBM初代社長の椎名武雄さんから聞いたお話。
椎名さんが、IBM本社に研修に訪れた時、トム・ワトソンから受けた質問が面白い。
「現在我が社はコンピュータを開発、販売する会社だが、それ以前は何を販売する会社だったか、君知ってるかね?」
「存じ上げません。」
「IBMの創立当初は、ひき肉を製造する機械を作って、販売していた。」
「そうでしたか。」
「君に教えたかったのは、過去のことではなく、未来のことだ。これから先、しばらくはコンピュータを製造販売する会社だろうが、未来永劫そうとは限らない。」
「はい、そうですね。」
「はるばる東洋の国から研修に来てくれた君に、IBMはお客様に満足を売る会社であることを教えたかった。100年後、何を売る会社か今から楽しみだ。そう思はないかい?」
「ご尤も。」
「社長室のドアはいつも開いている。気のついた点や質問があれば、いつでも来なさい。」
この最後の言葉が、椎名さんの後年のポリシーである、オープン・ドアポリシーにつながる。
大学の大先輩からお聞きした、貴重なお話でした。