地元軽井沢の情報紙、「軽井沢新聞」のEvent Calendarで「昆虫がキーワードの本」という展示会が軽井沢高原文庫で開催されていることを知り出かけてきた。
南軽井沢の塩沢湖畔にある軽井沢高原文庫の入り口(2016.11.13 撮影)
この展示は「軽井沢高原文庫」の敷地内裏庭にある「堀辰雄1412番山荘」で9月5日~11月30日の期間展示が行われているものであった。
旧軽井沢から移築したという堀辰雄が愛した山荘(2016.11.13 撮影)
展示会場となっている山荘の前には、この山荘の由来を示す次のような説明板が設けられている。
「堀辰雄1412番山荘」の由来を示す説明板(2016.11.13 撮影)
別荘番号の1412が見える(2016.11.13 撮影)
また、建物入り口には今回の展示についての説明として次の文章があった。
「地球上のあらゆる生物の中で最も種類の多いのが約100万種といわれる昆虫です。本展は昆虫標本とともに、北杜夫、三木卓、芝木好子、鳩山邦夫ら、昆虫に関心を寄せた本を展示・紹介します。
協力:新部公亮(日本昆虫協会理事)」
山荘入り口に貼られていた、今回の展示に関する説明書き(2016.11.13 撮影)
建物内には、昆虫をキーワードとした著書名、その内容の簡単な説明、著者に関する説明と共に著作に関連した昆虫の標本がドイツ標本箱に納められ展示されている。
ここで紹介されていた本の中には私が知っているものも多少あったが、多くはまだ読んだことの無いものであった。
以下許可を得て撮影した展示内容の写真を交えて紹介する。
1.アルフレッド=ラッセル=ウォーレス著 「マレー諸島」
展示昆虫・・アカメガネトリバネアゲハ
アカメガネトリバネアゲハの標本を配した展示ケース(2016.11.13 撮影)
2.手塚治虫著 「昆虫図鑑」
展示昆虫・・オサムシ、マイマイカブリ
ペンネームの由来になったオサムシ類を名前の「虫」状に並べている(2016 11 13 撮影)
3.新部公亮著 「抱きしめられた標本箱」
展示昆虫・・クモマツマキチョウ
4. 芝木好子著 「黄色い皇帝」
展示昆虫・・テングアゲハ
5. 畑正憲著 「天然記念物の動物たち」
展示昆虫・・ウスバキチョウ
2016.11.13 撮影
このウスバキチョウには思い出がある。
大学に通っていたころのあるとき、高校・大学と一緒であったG君が堺市内の自宅に招いてくれた。そこで、大学教授である彼の父君が趣味でコレクションをしているという「ウスバキチョウ」の標本箱を見せてくれた。
世界各地の「ウスバキチョウ」だけを集めているということで、研究のため訪問した各地で採集したり、友人からプレゼントされたものがこの標本箱に収まっていたが、そのほかにもまだ展翅をしていない三角紙に入ったままの標本がたくさんあった。
これらの中から数頭を選んで二人で展翅をした。初めて手にする「ウスバキチョウ」の美しい姿に感動したのを覚えている。
このG君は、今から数年前に亡くなっていたことを今年になって知った。定年を迎えて、お互いに時間に余裕ができ再び交流することもできるようになっていたのだが、あの時のことを懐かしく話し合うことももうできなくなってしまった。
6.ヘルマン・ヘッセ著 フォルカー・ミヒェルズ編 岡田朝雄訳 「蝶」
展示昆虫・・ニシキオオツバメガ
7.ヘルマン・ヘッセ著 岡田朝雄訳 「少年の日の思い出」
展示昆虫・・ヒメクジャクヤママユ
2016.11.13 撮影
標本の「ヒメクジャクヤママユ」は日本にいるヒメヤママユによく似た姿をしている。今年秋、偶然にこの「ヒメヤママユ」のペアを採集することができ、少しではあるが卵も得ることができた。来年は何とかこの卵をかえして育ててみたいと、今から楽しみにしている。
8.北杜夫著 「たにまにて」「ドクトルマンボウ昆虫記」
展示昆虫・・フトオアゲハ、シナフトオアゲハ
北杜夫氏の写真が並んでいる(2016.11.13 撮影)
高校生の頃、北杜夫氏の小説を紹介してくれた級友がいた。北杜夫氏が昆虫好きだということがわかり、一気に親しみが持て、その後は純文学作品を含めてほとんどの小説を読んだものであった。
9.鳩山邦夫著 「チョウを飼う日々」
展示昆虫・・オオウラギンヒョウモン
1996年発行の「チョウを飼う日々」とオオウラギンヒョウモンの標本(2016.11.13 撮影)
「チョウを飼う日々」の一節、「追憶の軽井沢」のページ(2016.11.13 撮影)
鳩山邦夫氏については、今年急逝されたことをニュースで知り、とても驚いた。直接お話をする機会はもてなかったのだが、数年前に江戸東京博物館で開催された「大昆虫博」のお手伝いをしたことがあり、前夜祭のときにお目にかかった。
また、数年前から長野県小県郡青木村にある「信州昆虫資料館」に時々行くようになり、ここで鳩山邦夫氏が共著者になっている「信州 浅間山麓と東信の蝶」を紹介していただき、愛読している。
今回も、「追悼 鳩山邦夫氏」としてこの「信州 浅間山麓と東信の蝶」に鳩山邦夫氏が寄せた文章「舞姫たちよ、永遠に!」の全文が展示されていた。
「信州 浅間山麓と東信の蝶」の前書き「舞姫たちよ、永遠に!」の全文(2016.11.13 撮影)
蝶をこよなく愛する鳩山邦夫氏を失ったことはとても残念でならない。
今回このほかにも、鳩山邦夫氏が蝶の飼育をしている様子を紹介した本の一部や私信などを交えて、氏を追悼する展示も行われていた。
蝶を飼育する鳩山邦夫氏を紹介した雑誌の展示(2016.11.13 撮影)
鳩山邦夫氏の私信などの展示(2016.11.13 撮影)
10.三木卓著 「蝶の島-沖縄探蝶紀行」
展示昆虫・・オオゴマダラ、タンブシシオオゴマダラ
11.山崎洋子著 「きらきらと闇に堕ちて」
展示昆虫・・マルスフタオ
ギリシャ神話の軍神マルスの名を持つというマルスフタオの♂♀が並ぶ(2016.11.13 撮影)
この小説はTVドラマとして放送されているのを見た覚えがある。舞台の一つになったマレーシアの蝶がたくさん紹介されていて、いつかマレーシアに行って蝶を見たいという気にさせてくれたドラマであった。
12.澤口たまみ著 「虫のつぶやき聞こえたよ」
展示昆虫・・カラスアゲハ
13.小山内龍著 「昆虫放談」
展示昆虫・・ギフチョウ
日本各地のギフチョウが並ぶ(2016.11.13 撮影)
この「昆虫放談」ではないのだが、漫画家である小山内氏が書いた「昆虫日記」(株式会社オリオン社 1963年発行)は蝶に興味を持っていた高校生の頃何度も読みかえしていた。
オオムラサキを飼育したところが印象的で、昨年私も縁あってオオムラサキを飼育し、蛹化や羽化の様子を3D撮影をする機会を得たが、その時この小山内氏の本のことを思い出し、本棚の中から探し出して50数年ぶりに読んだものだ。
14.フリードリッヒ シュナック著 岡田朝雄訳 「蝶の生活」
展示昆虫・・ヤマキチョウ、スジボソヤマキチョウ
15.ファーブル昆虫記1-ふしぎなスカラベ
展示昆虫・・スカラベの仲間たち
16.奥本大三郎著 「虫の宇宙誌」
展示昆虫・・ギンヤンマ
17.志賀卯助著 「日本一の昆虫屋-わたしの九十三年」
18.五十嵐邁著 「アゲハ蝶の白地図」
こうして一通り見てみると、やはり昆虫の中では蝶への注目度が一番であることが判る。楽しいひと時を過ごすことができた満足と昔の思い出に浸りつつこの山荘を後にした。
2016.11.13 撮影
2016.11.13 撮影
南軽井沢の塩沢湖畔にある軽井沢高原文庫の入り口(2016.11.13 撮影)
この展示は「軽井沢高原文庫」の敷地内裏庭にある「堀辰雄1412番山荘」で9月5日~11月30日の期間展示が行われているものであった。
旧軽井沢から移築したという堀辰雄が愛した山荘(2016.11.13 撮影)
展示会場となっている山荘の前には、この山荘の由来を示す次のような説明板が設けられている。
「堀辰雄1412番山荘」の由来を示す説明板(2016.11.13 撮影)
別荘番号の1412が見える(2016.11.13 撮影)
また、建物入り口には今回の展示についての説明として次の文章があった。
「地球上のあらゆる生物の中で最も種類の多いのが約100万種といわれる昆虫です。本展は昆虫標本とともに、北杜夫、三木卓、芝木好子、鳩山邦夫ら、昆虫に関心を寄せた本を展示・紹介します。
協力:新部公亮(日本昆虫協会理事)」
山荘入り口に貼られていた、今回の展示に関する説明書き(2016.11.13 撮影)
建物内には、昆虫をキーワードとした著書名、その内容の簡単な説明、著者に関する説明と共に著作に関連した昆虫の標本がドイツ標本箱に納められ展示されている。
ここで紹介されていた本の中には私が知っているものも多少あったが、多くはまだ読んだことの無いものであった。
以下許可を得て撮影した展示内容の写真を交えて紹介する。
1.アルフレッド=ラッセル=ウォーレス著 「マレー諸島」
展示昆虫・・アカメガネトリバネアゲハ
アカメガネトリバネアゲハの標本を配した展示ケース(2016.11.13 撮影)
2.手塚治虫著 「昆虫図鑑」
展示昆虫・・オサムシ、マイマイカブリ
ペンネームの由来になったオサムシ類を名前の「虫」状に並べている(2016 11 13 撮影)
3.新部公亮著 「抱きしめられた標本箱」
展示昆虫・・クモマツマキチョウ
4. 芝木好子著 「黄色い皇帝」
展示昆虫・・テングアゲハ
5. 畑正憲著 「天然記念物の動物たち」
展示昆虫・・ウスバキチョウ
2016.11.13 撮影
このウスバキチョウには思い出がある。
大学に通っていたころのあるとき、高校・大学と一緒であったG君が堺市内の自宅に招いてくれた。そこで、大学教授である彼の父君が趣味でコレクションをしているという「ウスバキチョウ」の標本箱を見せてくれた。
世界各地の「ウスバキチョウ」だけを集めているということで、研究のため訪問した各地で採集したり、友人からプレゼントされたものがこの標本箱に収まっていたが、そのほかにもまだ展翅をしていない三角紙に入ったままの標本がたくさんあった。
これらの中から数頭を選んで二人で展翅をした。初めて手にする「ウスバキチョウ」の美しい姿に感動したのを覚えている。
このG君は、今から数年前に亡くなっていたことを今年になって知った。定年を迎えて、お互いに時間に余裕ができ再び交流することもできるようになっていたのだが、あの時のことを懐かしく話し合うことももうできなくなってしまった。
6.ヘルマン・ヘッセ著 フォルカー・ミヒェルズ編 岡田朝雄訳 「蝶」
展示昆虫・・ニシキオオツバメガ
7.ヘルマン・ヘッセ著 岡田朝雄訳 「少年の日の思い出」
展示昆虫・・ヒメクジャクヤママユ
2016.11.13 撮影
標本の「ヒメクジャクヤママユ」は日本にいるヒメヤママユによく似た姿をしている。今年秋、偶然にこの「ヒメヤママユ」のペアを採集することができ、少しではあるが卵も得ることができた。来年は何とかこの卵をかえして育ててみたいと、今から楽しみにしている。
8.北杜夫著 「たにまにて」「ドクトルマンボウ昆虫記」
展示昆虫・・フトオアゲハ、シナフトオアゲハ
北杜夫氏の写真が並んでいる(2016.11.13 撮影)
高校生の頃、北杜夫氏の小説を紹介してくれた級友がいた。北杜夫氏が昆虫好きだということがわかり、一気に親しみが持て、その後は純文学作品を含めてほとんどの小説を読んだものであった。
9.鳩山邦夫著 「チョウを飼う日々」
展示昆虫・・オオウラギンヒョウモン
1996年発行の「チョウを飼う日々」とオオウラギンヒョウモンの標本(2016.11.13 撮影)
「チョウを飼う日々」の一節、「追憶の軽井沢」のページ(2016.11.13 撮影)
鳩山邦夫氏については、今年急逝されたことをニュースで知り、とても驚いた。直接お話をする機会はもてなかったのだが、数年前に江戸東京博物館で開催された「大昆虫博」のお手伝いをしたことがあり、前夜祭のときにお目にかかった。
また、数年前から長野県小県郡青木村にある「信州昆虫資料館」に時々行くようになり、ここで鳩山邦夫氏が共著者になっている「信州 浅間山麓と東信の蝶」を紹介していただき、愛読している。
今回も、「追悼 鳩山邦夫氏」としてこの「信州 浅間山麓と東信の蝶」に鳩山邦夫氏が寄せた文章「舞姫たちよ、永遠に!」の全文が展示されていた。
「信州 浅間山麓と東信の蝶」の前書き「舞姫たちよ、永遠に!」の全文(2016.11.13 撮影)
蝶をこよなく愛する鳩山邦夫氏を失ったことはとても残念でならない。
今回このほかにも、鳩山邦夫氏が蝶の飼育をしている様子を紹介した本の一部や私信などを交えて、氏を追悼する展示も行われていた。
蝶を飼育する鳩山邦夫氏を紹介した雑誌の展示(2016.11.13 撮影)
鳩山邦夫氏の私信などの展示(2016.11.13 撮影)
10.三木卓著 「蝶の島-沖縄探蝶紀行」
展示昆虫・・オオゴマダラ、タンブシシオオゴマダラ
11.山崎洋子著 「きらきらと闇に堕ちて」
展示昆虫・・マルスフタオ
ギリシャ神話の軍神マルスの名を持つというマルスフタオの♂♀が並ぶ(2016.11.13 撮影)
この小説はTVドラマとして放送されているのを見た覚えがある。舞台の一つになったマレーシアの蝶がたくさん紹介されていて、いつかマレーシアに行って蝶を見たいという気にさせてくれたドラマであった。
12.澤口たまみ著 「虫のつぶやき聞こえたよ」
展示昆虫・・カラスアゲハ
13.小山内龍著 「昆虫放談」
展示昆虫・・ギフチョウ
日本各地のギフチョウが並ぶ(2016.11.13 撮影)
この「昆虫放談」ではないのだが、漫画家である小山内氏が書いた「昆虫日記」(株式会社オリオン社 1963年発行)は蝶に興味を持っていた高校生の頃何度も読みかえしていた。
オオムラサキを飼育したところが印象的で、昨年私も縁あってオオムラサキを飼育し、蛹化や羽化の様子を3D撮影をする機会を得たが、その時この小山内氏の本のことを思い出し、本棚の中から探し出して50数年ぶりに読んだものだ。
14.フリードリッヒ シュナック著 岡田朝雄訳 「蝶の生活」
展示昆虫・・ヤマキチョウ、スジボソヤマキチョウ
15.ファーブル昆虫記1-ふしぎなスカラベ
展示昆虫・・スカラベの仲間たち
16.奥本大三郎著 「虫の宇宙誌」
展示昆虫・・ギンヤンマ
17.志賀卯助著 「日本一の昆虫屋-わたしの九十三年」
18.五十嵐邁著 「アゲハ蝶の白地図」
こうして一通り見てみると、やはり昆虫の中では蝶への注目度が一番であることが判る。楽しいひと時を過ごすことができた満足と昔の思い出に浸りつつこの山荘を後にした。
2016.11.13 撮影
2016.11.13 撮影
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