人から辱められたり、不遇のときに、じっと耐え忍びことがありますね。
仏教では心を落ち着けてあらゆることに耐えることが悟りへの大切な心構えだとしています。
しかしそうは言うものの、我々凡人は、なかなか我慢することができません。
また、その場を我慢したところで後になって腹が立ってきたり小さな怒りが蓄積して
不機嫌になったりします。
船の中に水が浸水してくると、船は軽快に進まなくなります。怒りや貪欲は浸水してきた
水であり、この水を汲みださなければなりません。ほおっておくとどんどん増え、
船が沈んでしまいます。つまり、怒りや貪欲を解消しなければならないのですが
そのためには仏さまに手を合わせ、真言を唱えたり、お釈迦様の教えに触れるなど
がよいと思います。
成功した人の多くは、不遇の時代があったはずですが、その人はそのときにどのような気持ち
だったのでしょうか。
たとえば、プロ野球の王 貞治氏は、高校のとき、日本国籍がないということで静岡国体出場を
取り消されました。巨人に入ると、ピッチャーから打者に転向しましたが、二十六打席で
ノーヒット。しかし、入団四年目から十三年間本塁打王に輝きました。その陰には血のにじむ
努力が隠されていましたが、彼はこの野球人生をこう振り返っています。
「今までのボクの記録は、みんな耐えることで作られてきたんです」
王氏は、忍耐と努力によって日本プロ野球界に巨大な足跡を残したのです。
農家のお婆さんは、暑い日中、頭に手ぬぐいをかぶり大きな畑の草取りをします。
目の前の一本一本の草を黙々と引き抜いていきます。これを続けるコツは
後どれくらいで終わるのかななどは考えないことだといいます。
そのようにしていると、長い畑でもいつしか全部、草を抜き終わっていることになります。
一流の人、達人と言われる人もこれと同じなのです。
誰しもカッとなることがあり、平常心を保つことは実際はかなり難しいことです。
しかし多くの場合は、その直後に感情をコントロールしてそれを抑えようとします。
「ムカツク」「キレる」などというのは、自分の甘さや弱さから出てくるものです。
そのように言ったところで周囲から許されるという計算があり、それに甘えているのです。
承服しがたいことがあるのなら、よく考えて解決策を見出すべきです。
日常生活にはいろんなことがありますが、それでもニコニコと機嫌よくしていれば
自然とまわりに人が集まってきます。そして、自分も相手も気分が良くなり
幸せの輪が広がっていきます。
泣いても笑っても人生、同じ人生なら笑って過ごしましょう。
合掌