貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

伊勢の神々しさを一句に!

2021-10-05 11:00:18 | 日記
令和3年10月5日(火)
みそかなし
  千とせの杉を 
     抱あらし
 月末で、月もない闇夜、嵐が千歳の
杉を抱くように吹きすぎる、
の意。
 貞享元年(1694)の作。
 伊勢を訪ねての吟で、紀行本文に
僧と見做され神前に入れず、
暮れて外宮に詣でたとあり、
「また上なき峯の松風、
   身にしむ計(ばかり)、
      深き心を起こして」
として掲載。
 真蹟懐紙では、
「西行の泪の跡を尋て、一ノ華表(とりい)
 より岩戸詣る比日暮て道くらし」
の前書き。
 西行「深く入りて神路の奥を尋ぬれば、
また上もなき峰の松風」(千載集)をもとに、
西行と一体化して伊勢の神々しさを
味わっているのであり、
杉を抱くのは嵐と限定せず、
自分も西行も風と化して杉を抱いていると
解していいだろう。