貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

「氷の僧」・・写生力と独創!!!!

2021-10-12 11:17:50 | 日記
令和3年10月12日(火)
二月堂に籠りて
水とりや 
   氷の僧の 
      沓の音
 お水取りの凍り付くような気配の中、
僧たちの沓の音が響き渡る、
の意。
 貞享二年(1695)の作。
「氷の僧」・・・寒夜の行に励む僧という
     造語的表現。
「沓」・・・僧侶が儀式用に道内で履く
木製の履き物。
 厳粛な宗教て行事に取材し、聴覚の
一点に全体が収斂する表現方法を採った
意欲作。
 発想段階では、「水鳥→氷」(類船集)の
詞の連想があったとも指摘される。
◎ 師匠語る。
「私もお水取りの行法を見たが、大松明の
火花が雨のように降ってくる光景に
気をとられて、行法僧たちに沓の音に
気付かなかった。
 粉雪降る寒い中にいる僧を、「氷の僧」
と形容し、
彼らの履いている沓は、檜の厚い板で
床を踏むと、大音を立てる。
 特に、大勢の行法僧が立てる鋭い靴音
のことは聞き漏らしてしまった。」
と。
 特に、「氷の僧」などという凄まじい
表現には驚かされる。
 芭蕉の表現の独創と写生力の的確さ
には頭が下がるのみ。