貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

芭蕉句作の妙を味わう!

2022-04-07 14:28:00 | 日記
令和4年4月7日(木)
古池や 
  蛙飛こむ 
    水のおと
 静かに水をたたえた古池に、
蛙が飛び込む水音がする、
の意。
 名句中の名句。
「古池」・・・芭蕉庵の傍らに
池があったという。(葛の松原)
「蛙飛こむ」・和歌の「鳴く蛙」に
対する「跳ぶ蛙」の発想は
新鮮ながら初期俳諧にも散見。
・最も人口に膾炙した句で、
真蹟類も多く残存。
 解釈・鑑賞も多彩で、
種々の見方を許すだけでなく、
芭蕉自身の理解が変化したことも
指摘される。
 すなわち、
貞享二年に成った上五「山吹や」
の発案形は、
帯刀(たてわき)節(とき)信(のぶ) の
故事『袋草紙』に依拠した
滑稽味の濃い作で、
翌年に上五を改めた後、
啓蟄の喜びという
新たな解釈を付与するようになった
という。
 勿論、幽玄・閑寂の趣を
看守する説も古くからあり、
一句受容の研究も進んでいる。
◎この句は、「蛙合」の句会を、
深川の芭蕉庵で巻いた時の発句で、
貞享三年(1686)の作である。
 「蛙飛こむ水のおと」」と
芭蕉が言ったのに対し、
門人の其角が春の季語なる
「山吹や」とつけるのがいいと言い、
芭蕉は「古池やがよい」と言った
と伝えられた。
 従来、蛙の声を聞く作品が
一般に知られていたのに、
蛙が水に落ちる音を詠んだのが
斬新と認められて発句が定り、
古池の発想には、
古い歴史も示されているとされ、
「蛙合」の連句が巻かれたとも
伝えられている。
 古池の示す質素で、
実を取る表現による
新しい蕉風の俳句が始まったとも
認められたらしい。
「古池や」の和やかな切れ字「や」が
その池の歴史をやんわりと表現し、
「飛びこむ水のおと」
が誰でも想像できるという事実も
素晴らしい。
 芭蕉の句作の妙を味わおうとすると、
結構大事になる。