貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

品川宿泊船寺その3 夜泣き芭蕉像!

2023-06-15 15:42:45 | 日記
令和5年6月15日(木)
 「泊船寺の夜泣き芭蕉像」
という昔話もある。

「ある夜、寺から芭蕉坐像が
盗まれてしまい、
みんなで手を尽くして探しましたが
見つかりません。
 盗まれた像は、
古道具屋に売られていましたが、
古道具屋の主人はその像が、
泊船寺から盗まれた                                    芭蕉像とは知りませんでした。
 その日の真夜中、
『おい!おい!』
と、どこからか人を呼ぶ声に、
店の主人は目をさましますが、
周りには誰もいません。
 『気のせいかな』と思って
眠ろうとしましたが、
また、声が聞こえます。
 表の戸を開けてみても、
だれもいません。
 おかしいなと思いながら、
布団に潜り込むと、
やはり声がするのです。
 主人が声のする方へ辿って行くと、
どうやらその日に買った像から
聞こえてくるようです。
 おそるおそる像に近づいてみると、
像は目に涙を浮かべて、
『わしは、早く寺に帰りたい』
と、かすかな声で言っています。

 次の日も、また次の日も、
同じように泣くので、
主人が調べてみると、
泊船寺から盗まれた芭蕉像だ
とわかりました。
 かわいそうに思った主人は、
ある夜、
芭蕉像を白い布に包んで、
泊船寺の門のところに
そっと返しておきました。

 翌朝、
寺の小僧さんが、
門前で白い布に包まれた芭蕉像を
見つけて、元の場所に戻しました。
 これを聞いた村人たちは寺に集まり、
『芭蕉様が戻ってきたぞ』
とみんなで喜びました。」
という話。
<泊船寺正門>