「めぐらす」より「かほらす」
令和3年3月21日(日)
桜があっという間に満開に!
ちょっと早いよ。
愛でるひとときを・・・・!
先日、川柳に、
「手招きの桜に、
今はあかんねん」。
コロナの災禍で、桜の下で
新たな同僚と愉しんだ頃が懐かしい!
さて、出羽三山。羽黒山。
有難や
雪をかほらす
南谷
元禄二年作。
前書き
「羽黒山神社本坊で歌仙興行の
行われた時の発句。」
暑い夏の道を行くと、
雪の香りのように冷たい風が
吹いてきた。
何と嬉しい天の恵みであろう。
暑さのさなかにあって、
涼しさの恵みを感じる。
ありがたいお山の姿だ。
ここ南谷には残雪を薫らせて
心地よい風が吹き渡っている。
初句は、
有難や
雪をかほらす
風の音
山の雪が香り高い、涼しい風を
送ってくれてありがたいと思った。
しかし、芭蕉は推敲。
雪の涼しさは自分ひとりだけに
恵まれるのではない。
そこで、
「かほらす」を「めぐらす」に
替えてみる。
有難や
雪をめぐらす
風の音
しかし、「めぐらす」より
「かほらす」のほうが、なおはっきり
とした山の恵みが表現されている
のではないか。
涼しい風には、香りがあるもの
だから、この方が暑さを超える恵み
と見える。
しかし、これでは、羽黒山の
イメージはない。
そこで、できたのが最終句。
有難や
雪をかほらす
南谷