▼公開から三週間ほども経過したのだが、いつものMOVIX昭島に『魍魎の匣』を観に行った。
面白かった^^
私は、原作の京極夏彦著作に人並みにはまった時期があって、京極堂シリーズ第四作の発売『鉄鼠の檻』発刊の時にはサイン会にも赴いたほどだ。
その時、応援メモを渡したのだが、その内容は、「榎木津いいっスね。敦子ちゃん可愛いですね。これからも応援します」でした。
京極夏彦は、「有難う」と私の目を見据えて握手してくれましたとさ。
今回の『魍魎の匣』は、シリーズ初期の名作である第二作目が映像化されている。
そして、物語は、戦時中の戦場の榎木津の活躍から始まる。
このシーンは、ほんのプロローグに過ぎないのに、がっちり美術セットが設定され、戦場の雰囲気がちゃんと描かれているので感心した。
# # # #
原作が、弁当箱のような厚さの長大な書籍であり、多くの映評が、その原作との比較において酷評している。
しかし、私は、原作を読んだのが10年以上前なので、さりとて、原作の記憶がかすかに残ってもいるので、「いい距離感」でこの作品を観ることができた。
故に、「ハコ館」がケレン味たっぷりに画面にドーンと出てきたときには、「おおっ!」と感動ひとしおだった。
# # # #
監督が脚本を書いたそうだが、二時間ちょいの上映時間で収めるために、膨大な原作のエッセンスを抽出した形になっている。
『ハリー・ポッター』シリーズと似ている。
私は、映画版は映画版で楽しむことにしている^^
# # # #
この映画は、若き中年たちと、美しき女の物語である。
美少女連続バラバラ殺人事件が、隠すところなく描かれる。
そこには、性的な異常はない。
犠牲になる二人の少女は、実に美しい。
寺島咲も谷村美月も、卵のようにツルンとしている。
質素で清潔感があり可憐な制服が良かった。
二人が画面上で「五体満足」で躍動するのは、短い間だが、実に「青さ」が描かれている。
私は『ピクニック at ハンギングロック』を思い出した^^
ネタバレになるが、まあ、書いてもいいだろう。
少女は少女によって、走ってくる電車の前に突き落とされて瀕死となる。
原作では、その殺人衝動には理由はなく、「押せる立場にいたから押した」と言う「魔が差す」瞬間を実によく描いていて、私は戦慄した記憶がある。
今回の映画版では、それがいまいち淡白に処理されていたのが残念だった。
・・・しかし、谷村美月だが、私が昨年見た唯一のテレビドラマ『私たちの教科書』で、全く同じパターンの役柄をやっていた。
1クールに及ぶ物語の最期、法廷で、自分の親友を死に追いやった罪を告白するのだ。
なかなか見ごたえのある演技だった。
# # # #
しかし、何よりも、黒木瞳が美しかった。
劇中劇が二つも導入されたりして、その魅力が全開だった。
このマンガチックな展開でもある作品内で、黒木瞳だけが、美しき女の業を背負うかのような名演をし続けてくれる。
クライマックスは、『007』の秘密基地みたいな場所が舞台となり、おそらく、撮影現場ではチープ感が漂っていたとは思う。
しかし、黒木瞳は、そこにリアルを宿してくれていた。
私は、女優役の黒木瞳に惚れる木場刑事(宮迫博之)に同調しまくった^^;
黒木瞳演じる元女優は、事件が終わると、銀幕に華麗に復帰する。
私は、その「女のタフさ」に対し、<殺されれば良かったのに・・・>と思うのだった。
# # # #
舞台は、戦後7年ほどの東京を舞台にしている。
事件の範囲は広く、そこにセット組み始めたら、膨大な予算がかかるだろう。
しかし、実によく戦後直後の日本が描かれていると思った。
「これは、もしかして、日本に似ているけど、外国なんじゃないか?」
私はそう思っていたら、エンドクレジットで「中国ロケチーム」とか出ていたので合点がいった。
これは成功だったと思う。
実によく、戦後直後の日本の雰囲気と重なっていると思った。
私は、かろうじて、「戦後」が残る風景の中で生まれ育ったと思っている。
だから、イメージが重なるような気がするのだ。
# # # #
先ほど、「この映画は、若き中年たちと、美しき女の物語である」と書いたが、唯一の例外が敦子ちゃんを演じる田中麗奈だった。
最近、CMなどで、ちょっとギスギス感のあるOLを演じたりしてそれが魅力なのだが、この作品では、田中麗奈本来の少年っぽい魅力がいっぱいだった。
# # # #
堤真一演じる京極堂は、私が思い描いていたイメージとは違ったが、これはこれで良いと思った。
京極堂は今回、「憑き物落とし」をする時に、陰陽道のステップを踏むのだが、それが、私がなかなか好きな『ネイキッド・タンゴ』と言う映画での「タンゴを踊りながらの愛の告白」を思い出して良かったなぁ^^
# # # #
私が「京極堂」シリーズで最高傑作と思っているのは、第五作目の『絡新婦の理』であり、ここまでは、是非、映像化して欲しい^^
(2008/01/14)
面白かった^^
私は、原作の京極夏彦著作に人並みにはまった時期があって、京極堂シリーズ第四作の発売『鉄鼠の檻』発刊の時にはサイン会にも赴いたほどだ。
その時、応援メモを渡したのだが、その内容は、「榎木津いいっスね。敦子ちゃん可愛いですね。これからも応援します」でした。
京極夏彦は、「有難う」と私の目を見据えて握手してくれましたとさ。
今回の『魍魎の匣』は、シリーズ初期の名作である第二作目が映像化されている。
そして、物語は、戦時中の戦場の榎木津の活躍から始まる。
このシーンは、ほんのプロローグに過ぎないのに、がっちり美術セットが設定され、戦場の雰囲気がちゃんと描かれているので感心した。
# # # #
原作が、弁当箱のような厚さの長大な書籍であり、多くの映評が、その原作との比較において酷評している。
しかし、私は、原作を読んだのが10年以上前なので、さりとて、原作の記憶がかすかに残ってもいるので、「いい距離感」でこの作品を観ることができた。
故に、「ハコ館」がケレン味たっぷりに画面にドーンと出てきたときには、「おおっ!」と感動ひとしおだった。
# # # #
監督が脚本を書いたそうだが、二時間ちょいの上映時間で収めるために、膨大な原作のエッセンスを抽出した形になっている。
『ハリー・ポッター』シリーズと似ている。
私は、映画版は映画版で楽しむことにしている^^
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この映画は、若き中年たちと、美しき女の物語である。
美少女連続バラバラ殺人事件が、隠すところなく描かれる。
そこには、性的な異常はない。
犠牲になる二人の少女は、実に美しい。
寺島咲も谷村美月も、卵のようにツルンとしている。
質素で清潔感があり可憐な制服が良かった。
二人が画面上で「五体満足」で躍動するのは、短い間だが、実に「青さ」が描かれている。
私は『ピクニック at ハンギングロック』を思い出した^^
ネタバレになるが、まあ、書いてもいいだろう。
少女は少女によって、走ってくる電車の前に突き落とされて瀕死となる。
原作では、その殺人衝動には理由はなく、「押せる立場にいたから押した」と言う「魔が差す」瞬間を実によく描いていて、私は戦慄した記憶がある。
今回の映画版では、それがいまいち淡白に処理されていたのが残念だった。
・・・しかし、谷村美月だが、私が昨年見た唯一のテレビドラマ『私たちの教科書』で、全く同じパターンの役柄をやっていた。
1クールに及ぶ物語の最期、法廷で、自分の親友を死に追いやった罪を告白するのだ。
なかなか見ごたえのある演技だった。
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しかし、何よりも、黒木瞳が美しかった。
劇中劇が二つも導入されたりして、その魅力が全開だった。
このマンガチックな展開でもある作品内で、黒木瞳だけが、美しき女の業を背負うかのような名演をし続けてくれる。
クライマックスは、『007』の秘密基地みたいな場所が舞台となり、おそらく、撮影現場ではチープ感が漂っていたとは思う。
しかし、黒木瞳は、そこにリアルを宿してくれていた。
私は、女優役の黒木瞳に惚れる木場刑事(宮迫博之)に同調しまくった^^;
黒木瞳演じる元女優は、事件が終わると、銀幕に華麗に復帰する。
私は、その「女のタフさ」に対し、<殺されれば良かったのに・・・>と思うのだった。
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舞台は、戦後7年ほどの東京を舞台にしている。
事件の範囲は広く、そこにセット組み始めたら、膨大な予算がかかるだろう。
しかし、実によく戦後直後の日本が描かれていると思った。
「これは、もしかして、日本に似ているけど、外国なんじゃないか?」
私はそう思っていたら、エンドクレジットで「中国ロケチーム」とか出ていたので合点がいった。
これは成功だったと思う。
実によく、戦後直後の日本の雰囲気と重なっていると思った。
私は、かろうじて、「戦後」が残る風景の中で生まれ育ったと思っている。
だから、イメージが重なるような気がするのだ。
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先ほど、「この映画は、若き中年たちと、美しき女の物語である」と書いたが、唯一の例外が敦子ちゃんを演じる田中麗奈だった。
最近、CMなどで、ちょっとギスギス感のあるOLを演じたりしてそれが魅力なのだが、この作品では、田中麗奈本来の少年っぽい魅力がいっぱいだった。
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堤真一演じる京極堂は、私が思い描いていたイメージとは違ったが、これはこれで良いと思った。
京極堂は今回、「憑き物落とし」をする時に、陰陽道のステップを踏むのだが、それが、私がなかなか好きな『ネイキッド・タンゴ』と言う映画での「タンゴを踊りながらの愛の告白」を思い出して良かったなぁ^^
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私が「京極堂」シリーズで最高傑作と思っているのは、第五作目の『絡新婦の理』であり、ここまでは、是非、映像化して欲しい^^
(2008/01/14)