『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
ここでは、気軽に読めるエントリーを記していきます^^

[映画『トゥルー・グリット』を観た]

2011-05-17 22:18:24 | 物語の感想
☆すっかり、王道の物語を撮れるようになったコーエン兄弟監督作である。

 かつての、ジョン・ウェイン主演西部劇のオリジナル原作を映画化したとのこと。

 ・・・父親を殺された娘が、保安官を雇い、インディアン居留地に逃亡した犯人を追う。

 犯人には多くの前科があり、それを追い求めていたレンジャーもいた。

 三人は、それぞれ譲れないモノ・譲らない性格を持ちつつも、犯人を求め、同行するのだった・・・。

 そもそも、西部劇が一時期廃れたのにはマンネリの意味合いがあった。

 この作品もけして新鮮な要素があるわけではない。

 だが、コーエン兄弟、キッチリと骨太に撮りあげているので、大作の風格だ。

 冒頭、連邦保安官ルースター・コグバーン(ジェフ・ブリッジス)が、その激しい捜査活動を法廷にて糾弾されるのだが、そこで語られるセリフだけの銃撃戦が、観終えて、私、画面上で見たかのような錯覚に陥っている。

 そんな、凄い作品だ。

   ◇

 完成度が高いので、あまり語ることもない。

 主役の3人の性格が面白かった。

 父親を殺された14歳の娘マティ・ロス(ヘイリー・スタインフェルド)だが、聡明かつ意志の強い娘で、父親を殺された、地元と勝手の違う町で、頭脳を駆使して賠償金を手に入れ、保安官を雇うに動く。

 すぐに「訴える」「訴える」と言い、『さよなら 絶望先生』の木村カエレみたいなのだが、

     ・・・「訴えるよ!」

 それが町では機能するものの、一たび町を出れば、全く通用しない無法者の世界であるのに、それでも我の強さだけで乗り越えようとする性格が面白い。

 この子、14歳の美少女なのに、作中の悪人たちは、彼女を「ガキ」とか「子供」と言い、一人も彼女を性的対象として見ていないのが、私には非常に健全に感じ、こいつらとは話が合わないなと思うのだった。

 ヘイリー・スタインフェルドは、私の趣味の娘ではないが、その目だけは最高に美しかった。

・・・「訴えるよ!」てか「撃つよ!」

 保安官ルースター・コグバーンは、一番性格が読みやすそうに見えて、一番分からなかった。

 憎まれ口を叩かずにはいられないらしく、さりとて、実はいい人というステロタイプな描き方もされていない。

 結構普通に職務を全うする。

 と思えば、途中から酔いどれになり、銃の腕前の一番に拘るのだ。

 年齢も分からなかった。

 60歳超の、引退間際の保安官に思えて、エピローグでは25年後まで生きていることが語られる。

 テキサスのレンジャー、ラビーフ(マット・デイモン)も、コミュニケーション能力に欠点がある。

 会話がこじれるとすぐにいきり立ち、関係を放棄する。

 どうやら、レンジャーとしての誇りは人一倍あるが、他人の誇りを尊重する思いやりがないのだ。

 物語的には、三人は最初こそ衝突を繰り返すが、中盤から収まるところに収まるのがセオリーだと思うのだが、なんか、クライマックスの決戦までいがみ合いを繰り広げるので、それが斬新だったかな?

 追い求めた犯人チェイニーがチンピラレベルなので、味方の方に強い刺激をおいたほうが物語的に面白いのは確かだ。

 物語は、主役の三人の思いのズレで進んでいき、そこがテーマ的なメインなので、

 最期の決戦は延々と銃撃戦が続くような戦いではなく、切れ味の良い決闘であった。

 三人は、その戦いを通し、お互いを認め合うのだ。

 ・・・私的には、25年後のエピローグは不要でした。

                                                  (2011/07/17)
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[映画『はやぶさ HAYABUSA BACK TO THE EARTH』を観た]

2011-05-17 17:11:17 | 物語の感想
☆まだまだ、観たけど感想をエントリーしていない作品が多数あるんだけど、この作品には、素直に感動してしまったので、早めに報告しておく。

 この作品、一時間足らずの短い作品で、500円で公開されている。

 純粋に、小惑星探査機「はやぶさ」の宇宙航海だけに的を絞った内容で、背後の、地球の人間の描写などは全くない。

 かなり物足りない。

 しかし、そこがいかにも、日本人の奥ゆかしさを表現していて、

 でも、その淡々とした語り口の中でさえも、・・・これは誰もが言うことなのだろうが、「はやぶさ」が、<R2D2>のような、けな気で愛おしささえ感じる勇敢な存在に感じられ、最期の、本体が燃え尽きていく様になんとも言えない感慨が起こってくる。

   ◇

 全編CG映像であるが、おそらく、「はやぶさ」から送られてきた映像を取り込んでいるので、小惑星「イトカワ」の映像などは現実のものなのだろう。

 宇宙の星々の描写や、「はやぶさ」自体の映像も、大気を通していない見え方はこうなんだろうな、と好意的に解釈できるので、CGとしての粗は感じられなかった。

 「はやぶさ」の表面のクリアーさも宇宙空間ならではで、後半の「負傷」した姿も、とってつけた映像と言うよりも、清潔感の中での「傷口」と言う雰囲気を醸していた。

 だが、いかにもCGな映像を駆使し、見ている者に分かりやすく、「はやぶさ」の航路が彩られてもいた。

 スイングバイと言う、「はやぶさ」が天体(この場合は地球)の重力を利用して方向転換するシーンなどでは、CGが宇宙空間に幾何学的な回廊を描いて、そこを進む慎重さを表現したり、

 「イトカワ」にランデブーするときの着陸点の重力強弱をサーモグラフィーのように表してくれたりする。

 リアクションホイール(姿勢制御装置)の故障の描写も、透視図を用いて、非常に分かりやすかった。

 復路の、単調だが過酷な状況での旅は、背後にオーロラ状の映像を配して、孤独感とともに盛り上げてくれる。

 この作品、幾らでも、ドラマチックに盛り上げられるのであるが、人間側の事情は、簡単な説明以外、限りなく、「はやぶさ」の「重要な使命」としか表現されていない。

 それでいながら、「はやぶさ」の旅に我々が感動するのは、ひとえに、宇宙の大きさと、計画に掛かった月日の長さからくるリアリティなのだろう。

   ◇

 二つだけ、言っておきたいことがある。

 映像の冒頭から、四つの「はやぶさ」のイオンエンジンの一つが使用されていないのだが、その理由が語られていないので、非常に心に引っ掛かった(後から、Wikipediaで調べて分かった)。

 また、小惑星「イトカワ」についてだ。

 形が面白くて、私は、最初は、「こけし」とか「産着に包まれた赤ちゃん」とか、好意的に思っていたのだが、

 当初予定していたよりも、「イトカワ」の重力が軽かったのは質量が軽いことに起因し、では何故、質量が軽いのかの理由として、「イトカワ」の断面図がCG映像で表現されたとき、一緒に観に行った人に囁いた。

 映像は、多くの岩石が寄り集まって出来た「イトカワ」には、空洞が多数あることを示していた。

   「ウンコみてーじゃん^^;」

 本当は、「便秘気味の女のウンコみてーじゃん^^;」と言いたかったのだが、それはやめておいた・・・。

                                                       (2011/05/17)
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[東日本大震災 (福島での私の思い・47 「二本松・川俣・浪江・飯舘・南相馬(中編・情報公開の是非)」)]

2011-05-17 09:01:17 | 保守の一考
☆(前回からの続き)・・・国道114号線・・・、福島第一原発から20キロ圏内に入ろうかという浪江町近辺で、私は職務質問に引っ掛かっていた。

 二人の北海道から派遣された警官は、私の免許証を写し、車のナンバーなども控えていた。

 会社名も聞かれた。

 私の働いている会社の名前には「王」の字がつくのだが、一人の警官は、用意されていた書式の用紙に「凰」と記していた。

 常識で考えて、素で「オウ」と聞いて、「凰」の字を真っ先に思いつくヤツは少ないと思う・・・。

「・・・そうですか。では、戻って、国道399号線で北の方から回って原町に向かうとしますね。そっちは検問はないですよね?」

 私はしおらしく言う。

 すると・・・、

「なにか、許可証を持っていますか?」と警官は聞いてきた。

 話が噛みあわない^^;

 許可証云々については、持っていないと伝えてある。

 同じセリフしか用意されていないRPG(ロールプレイングゲーム)ゲームのNPC(ノンプレイヤーキャラクター)のようだった。

 ・・・「ええ、残念ながら・・・。ところで、(地図を見せながら)この北回りならば、検問はありませんよね?」

 私も、「ところで」と話を変えるようでいて、またも同じ質問をさせられるのだった。

「検問はやっているかいないか分かりません。でも、多分、平気だと思いますよ」

「何度も検問されて、何度も免許証などを控えられると、なんか問題になりそうですから^^; まあ、事務的なもんなんですよね、それは?」

「え、ええ^^ そうです、事務的です。事務的なものです^^」

「そうですか。では、北回りで行ってみます。・・・では、戻りますね」

 なんで、こんな狭いトコで方向転換しなくちゃいけないんだ、と思いつつ、私は、難儀しつつヴィッツをUターンさせた。

 そして、警察官に一礼をして去ろうとした、その時、警官二人の背後に、もう一人の人物が来ていたのを見た。

 なんとも、「さや侍」を若くしたような、悲しそうな寂しそうな表情をしていた。

 その男は、社服を着ていて、胸には、その会社のロゴが縫い付けてあった。

      ドーン!

   ◇

 ・・・いや、実は、私、この頃、この「最前線」の醸すプレッシャーには、かなり緊張感と圧迫感を感じさせられていた。

 しかし、今、20キロ圏内の検問を前にして、その緊張感と圧迫感はピークに達していた。

 だから、「ああ、こりゃ、無理だ。こりゃ、無理だ。放射能への過剰な恐怖を持たない自分でさえも、これほどの、心が折れるようなプレッシャーを受けているんだ。普通に暮らして、風評被害を拡大させている人々から、この恐怖を拭い去って普通の生活をしろなんてのは、過剰な情報公開の前にあっては無理なことだ」と、車内で独り言を呟くのだった。

 だが、無色透明な放射能である。

 健康に害のない今のレベルなら、情報公開さえなければ、気付かずに生活できていたものを・・・。

 これが、いわゆる「寝た子を起こす」ということであり、「マッチポンプ」行為なのである。

 私が、このブログで繰り返し語っている「正常な判断能力を持たない愚民には知らせるな!」ということを意味する。

 さて、国道399線を北上す。

 山の道であるが、舗装されていて、相変わらず誰もいないことを除けば、走行に問題なし。

 途中、何度か、東の浪江町への脇道があった。

 進入禁止の、ささやかなバリケードと表示があった。

 おそらく、ここに入れば、先ほどの検問を回り込んで、20キロ圏内に入れるのだろう。

 尤も、私がそこまでして20キロ圏内に入る意味はない・・・。

 それから、今、この文章を書いていて、地図を見ていたら気付いたのだが、検問のあった国道114号線だが、そこを逆に北西に10キロほど進むと「山木屋」があった。

 ここが前回の引用ニュースで記した山木屋地区なのだと思う。

 つまり、ここの地区の住人が計画的な避難の対象になったわけだ。

 ・・・意味が分からなかった。

 なんで、この地区だけが突出して計画的な避難の対象になったのだろう。

 風向きで、ここだけが危険とされたのか?

 他の地区は、計画的な避難をするほどの住人がいないのか。

 この後に訪れる飯舘村は、全村避難で、まあ、行政区画的に理解は出来るのであるが。

 ・・・分かった!

 地図をじっと見ていたら、分かった。

 山木屋地区が、川俣町の中でも、特に南西に出っ張っているのだ。

 だから、福島第一原発から、同心円状に30キロの範囲で境界線を引いたら、その中になったのだ。

  追記:どうやら違った。
     放射線は、必ずしも同心円状に拡がるのではなく、自然状況(地形、風向きや雨雪など)で変わり、
     山木屋地区は<ホットスポット>とされたのだ。

  <ホットスポット>とは?

  ・・・汚染物質が大気や海洋などに流出したときに、気象や海流の状態によって生じるとりわけ汚染物質の残留が多くなる地帯のこと。汚染物質の種類は問わない。

 ・・・で、今朝(5/17)のNHKニュースを見ていたら、この界隈は、放射線量が非常に高いエリアであることも分かった。

 だが、まあ、それでも、東京~ニューヨーク往復旅行(190マイクロシーベルト)したよりもはるかに低い数値だ。

 ニュースでは、最大で80マイクロシーベルトが計測されていた・・・。

 要は、累積放射線量が問題なのだろう。

   ◇

 飯舘村に入った。

     

 国道399号線が県道62号線と交差する長沼の交差点にはパトカーが待機していた。

 私は、道を尋ねようとパトカーに近づく。

 だが、パトカーの窓は開かない。

 中には、四人の警官がいた。

 私が中に向かって手を振ると、やっと窓を開けた。

 四人ともマスクをしていて、私を迷惑そうにして見た。

 後から会話するに、ちょいと訛っていたので、この方らも地方からの派遣警官なのだろう。

 と、書いてみたが、おそらく、地元の福島の警官でも、私から見たら訛っていよう^^;

 この四人、・・・放射能に恐怖していた。

 複数いる故に、ちょっとした集団ヒステリー状態にあるのかも。

 で、ヒステリーは私にも伝播し、やや、私、恐怖を増幅させた。

 警官の話では、原町には、この62号線が地図上では近くて検問もないけど、悪路なので、更に399号線を北に進み、12号線で行った方がいいよ! とのこと。

 どうも派遣されてくるのは若い警官が多く、屈託なくもある。

 私は、その言葉に従ったし、後から考えるに、県道62号線は、一昨年の東北の旅で最も危険だった道ではないか。

 地図を逆方向から見ていたので気付かなかったが、震災後、あの道は究極に危険であったはずだ・・・。

 若き警官の助言に従って良かった^^

   ◇

 さて、この飯舘村は、訪れた日(05/15)、全村での避難が行なわれた。

   《ふるさと飯舘 変わらぬ景色、消える日常 (産経 2011/04/17 00:50)》

 <緑が芽吹き、道ばたにはタンポポが咲く。冬が終わり、ようやく待ち望んだ季節が来たはずだった。高校時代まで過ごした村の風景は、いつもと変わらない春。だが、いつもとは違う。故郷である福島県飯舘村から報告する。
   ■「深呼吸できますか」
 東京電力福島第1原発から北西に半径30~50キロ圏にある村は、一部が屋内退避区域の20~30キロ圏に入り、自主避難などを行っていたが、高い放射線量の数値が続いているため、政府が「計画的避難区域」に指定する方針を固めた。水道水の飲用規制、農作物の作付けの規制など、苦難が次々と襲いかかってきた。
 「この村で深呼吸できますか?」。16日、計画的避難の説明に訪れた福山哲郎官房副長官(49)に農家の男性は問いただした。主要産業の農業や畜産は、豊かな土と水と空気で育まれてきた。自然とともに生きてきた村の生活が根本から崩れ去ろうとしている。だからこそ、多くの村民が「飯舘村を離れるわけにはいかねえ」と口にする。
   ■6200人の抱える不安
 過疎化でも市町村合併に参加することなく、「自主自立の村作り」を掲げ、村おこしに励んできた。しかし、この未曽有の危機に、村民約6200人、それぞれが不安を抱えている。
 父(60)は昨年、長年の夢だった農業に本格的に取り組みはじめた。昨年の経験から今年は、改良した作物を作ることを楽しみにしていた。それなのに田植えの準備もできず、外に出ることもままならず、家の掃除ばかりの日々送っている。
 野菜直売所「みちくさ」は収穫の時期を迎えているのに、シャッターが閉ざされたまま。運営者の一人、本田美代子さん(79)は「自分で作った野菜を自分で売る。お金ではない楽しみ、生きがいを奪われた」。
 佐藤優菜ちゃん(9)ら3姉妹は「放射能があるから外に出ちゃ駄目なんだよ」と、家の中で絵を描いたり、かくれんぼをして遊んでいる。学校も始まらず、友達とも会えない。快晴の空を見て「外で遊びたいな」と寂しそうな顔をする。
   ■「なくなっても誰も…」
 100歳を超えた男性は計画的避難が発表された日、「長生きはするもんじゃない」と家族に告げ、足手まといになると思い詰めた末に自ら命を絶った。村の幹部は「冷害、大火災、村の危機はたくさんあったが、今度ばかりは乗り切れる気がしない」と弱音を吐く。
 1年でも手入れをしなければ、田畑は荒れる。見た目には何ら変わりない、普段通りの景色がよけいむなしさを募らせる。「10年、20年」となれば、元の美しい田園風景に戻すのは難しい。
 「こんな小さな村なくなっても誰も気にしねぇよ。国の人もみんなそう思ってんだべ」
 店は少ない。夜は暗い。コンビニも1軒だけ。電車も走っていない。子供のころは不便に感じていたが、広い空が近く、穏やかな空気が流れている村に、毎年夏は帰郷していた。今年の夏も帰れるだろうか。(大渡美咲)>

 >>>「こんな小さな村なくなっても誰も気にしねぇよ。国の人もみんなそう思ってんだべ」

 そんなことはない。

 少なくとも、私がいる。

 私は、399号線から県道31号線に入り、12号線に至る道をあえて入らずに、飯舘村の一般道を突っ切って12号線に向かった。

 豊かな緑が広がっていた。

 陽光がきらめいていた。

                                                     (2011/05/17)
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