『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
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[映画『英国王のスピーチ』を観た]

2011-05-28 23:18:15 | 物語の感想
☆遅ればせながらの感想です。

 これまた、英国紳士的なスマートな造りの傑作ですなぁ^^

 先の大戦前夜、国民の多くの期待を受けて即位せしジョージ6世・・・、英国王として、その「言葉」は大いなる力になり得るのだが、彼は幼い頃から深刻な吃音症に悩んでいた。

 そんな彼を愛情深く支える妻・エリザベスは、多くの医者に治療を求めるも、うまくいかず、ある日、スピーチ矯正の専門家・ライオネルの家を訪ねるのだった・・・。

 実話を基にしているのだろうが、やや、ストーリーが平板すぎるきらいもある、が、最大公約数の観客の気持ちを揺さ振る「定番」とも言える。

 そうだな、物語構造が『ロッキー』にそっくりなのだ。

 「ロッキー」におけるコーチ役にライオネルが位置する。

 物語の当初は、このライオネル(ジェフリー・ラッシュ)の、とぼけつつ、時に見せる斜に構えた表情に代表される味わいに夢中にさせられた。

 その魅力は、最後まで全く褪せない。

 オーストラリアから戻ってきた男の設定だが、私には、身のこなしが「ダンディ」な英国紳士に見えた^^

 だが、途中から、後にジョージ6世となる、主人公であるヨーク公・バーティ(コリン・ファース)に、俄然興味が向いて来る。

 王室育ちの傲岸不遜なところもあり、人にものを頼むのも横柄なのであるが、王族としての義務(国民を幸せに導く)に対しては真摯で、政治に対しては聡明なのである。

 まともに話すことの出来ないバーティ・・・、物語の中でも、何度となく「どもる」。

 その演技がうまいので、見ている私の喉も詰まってくる。

 途中、その吃音症の原因となったと思われる幼少時の生活を吐露するシーンがあるのだが、

 そこなど、ロッキーやランボーが、物語の最中で不遇な自分を告白するシーンとダブった。

 この物語は、平民がキングになる「アメリカン・ドリーム」ではないが、

 王族が、名実ともにキングになる「ロイヤル・ドリーム」の作品なのだ。

 クライマックスのメインイベントは、戦争の始まりを告げる英国民への「スピーチ」である。

 ここには、過剰な成功はない。

 だが、厳粛なる「無難」があった。

 そのスピーチが終わった後、戦いを終えたロッキーを迎えるエイドリアンの役割として、エリザベス(ヘレナ・ボナム=カーター)が凄まじく輝く。

 喜びと安堵と、尊敬と愛という複雑な感情を表情に一気に表出させ、ジョージ6世と抱擁する。

 この一瞬での表情の変化には圧倒された。

 そして、この記事を書くときにはじめて、エリザベス役がヘレナ・ボナム=カーターだと分かり、驚いた。

 最近じゃあ、ティム・バートン作品での「なんか色々とやり過ぎ女」やら、「ハリー・ポッター」でのエキセントリックな魔女・べラトリックスのイメージしかなかったからなぁ^^;

 感服!

                                                    (2011/05/28)
コメント (4)
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