☆・・・ちょっと語りにくい作品だった。
主人公の妙齢のナタリーは、大学の哲学の先生として、生活に起伏はあれど、生活を続けている。
だが、思想的に同志と思われていた旦那から、他に好きな人が出来たと離婚を言い渡され、
もともと鬱気味で虚言自殺未遂を繰り返していた母親の施設入りと死去、
予定していた出版事業の、出版社側からのキャンセル、
大学では学生デモがおこなわれ、自分が見込んでいた卒業生は、会うたびに、次第に過激思想にはまっているようだ。
ナタリーの生活は突然に、多くの問題が表面化する。
だが、ナタリーは、それらの問題を淡々と経ていく。
それぞれの問題を解決しようとはしないし、実際の生活の中では解決など、ありようがない。
その起伏のない演出、されど観るものを引きつける描写こそが、フランス映画の醍醐味か。
(2017/05/17)