会場の 「琉球新報社」ホールに飾られてた柱。
復元された首里城に使われてるものと同じだそうです。
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舞台裏での 受験者それぞれの悲喜こもごもには全くおかまいなく
試験は あくまでも淡々と進んでいきます。
そろそろ私の出番が近づいてきました!
今 唄っている人は 私のふたつ手前の人。
私も 30分ほど前に潜んでいた食堂から出てきて
舞台袖に控えて ひたすら自分の番を待っています。
(このときも 人の唄を聴かないために ヘッドフォンだけは
しっかりと装着しておきます。)
(後2人だから 大体20分後やね。 あと少し! 全力で集中しよう!)
・・・・などと思ってた! そのときですっ!!!
ブーーーーーーーッ!!!
会場中に響き渡るブザーの音!
そうです!
これぞ 受験者の息の根を一撃で止めてしまう! 恐怖の!
一撃必殺 即刻退場ブザー なのです!
ひとたび このブザーが鳴ると・・・
たとえ唄いはじめて10秒だろうが あと少しで唄い終わるところだろうが
受験者は ただちに唄を止めて 速やかに退場しなくてはいけないのです!
「・・・・。」
ガクッと肩を落として 先ほどの方が舞台から戻ってきます。
でも 舞台袖の誰も その方向を見ることはありません・・・。
みんな 自分自身の集中を切らさないように 必死なのです!
私の隣りで 超特大イヤフォンを付けてた方が
急な番狂わせに大慌てで舞台袖に向かいます。
(あと・・・ひとり・・・。)
この人が終われば 次は私・・・。
それまで約10分間の待ち時間・・・。
ドクッ ドクッ ドクッ・・・。
どんなに冷静にいようとしても 心臓の鼓動は止まりません!
逆に ますます早くなっていくばかり!
(このまま ここで倒れるんじゃないだろうか?)
とまで 思ったりして・・・。
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そして 10分後。
私の前の人が唄い終わりました!
どうやら上手く唄いきったようです。
舞台袖に戻ってきた彼女は 先生らしき人に肩をたたかれながら
喜びと安堵の涙を流しています。
(いいなぁ~。無事に唄い終わって・・・。)
思わず そんなこと チラッと考えたりして・・・。
ハッ! イカン! イカン! 集中! 集中!
「次。 1×× 番の方。」
アナウンスの声が響きます。
今まで 何百回 何千回と数えきれないくらい唄ってきたこの唄。
泣いても 笑っても 残すはこの一回だけ!!
この一回に全てを賭けて 自分を信じて!
さぁ! イザ舞台へ! 決戦の場へっ!!!
行ってきますっ!