帰り道の夕焼け。
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私の土曜日の朝の秘かな楽しみ。
それは NHKラジオ第一の短編小説の朗読番組を聞くこと。
仕事に向かう車内で聞くので 時には 職場に到着しても聞き入ってしまい なかなか車から降りられない時もあるほど。
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さて。
今日は 角田光代さんの短編小説の朗読でした。
簡単に内容を書くと…
一人暮らしの母親が入院したと連絡を受けた娘。
母親が飼っていた6羽の鳥をしばらく預かることに。
物語は 鳥たちを実家に引き取りに行って帰るまでの道中の話。
たったこれだけの話。
だけど…
そこは小説のすごいところ。
この短い話の中に色んな心模様があるんです。
まず 娘は離婚したばかり。
それを母親に言えず内緒にしている。
母親の家から娘の住むマンションまで 電車では片道2時間。
6羽もの鳥を1人では運べない。
そこで 元旦那にお願いをして 一緒に鳥を運ぶことになる…。
その道中の娘の心理を語りながら物語は進んでいきます。
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聴きながら こちらとしては色々と気になるわけなんですよね。
たとえば…
お母さんの病気はなんだろう?
(結果は出ないままでした。)
娘はお母さんに離婚話を切り出すんだろうか?
そもそもなぜ離婚することになったのか?
6羽の鳥のうち弱っていた1羽はどうなったんだろう?
そして何より…
一緒に鳥を運んだあと この2人はどうなるんだろう?
などなど…。
だって 最初こそムッツリしてた2人が 最後には鳥を運ぶ作業を 結婚式での共同作業に例えて笑いあったり…
と けっこういい雰囲気になってましたからね。
ところがですよ!!!
やっぱり…
今回もそうでした!!!
短編小説にありがちな最後…。
そうです!
全てをうやむやにしたまま 全てをこちらに丸投げにして終わる手法!
「えっ??これで終わり!!
何にも解決してないやん〜!ウソやお〜!」
毎回ラジオ番組が終わると いつも叫んでしまうわたし。
おかげでこちらは朝からタイヘンな消化不良。
1日中ずーっと この話のことをあれやこれやと妄想してしまうんですね。
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ところで この朗読番組。
聞いたあとスッキリする回も たまにあるんです。
それは お侍さんが主役の「時代小説」。
こういう場合のストーリーは 大抵完全なる勧善懲悪!
まるで水戸黄門か桃太郎侍!
ラストもとても分かりやすい場合がほとんど。
こういう回は 聞いた直後はとてもスッキリ。
でも…
う〜ん?
これはこれで なんとなく物足りない。
はて?
この気持ちの原因は なんなんだ?
と考えてみたところ…
勧善懲悪ものは 物語のどこにも 全く想像の余地が残されていない。
という点に到達したわけです。
こうして考えてみると どんなことも語り過ぎず 「余白を残しておく」
ということが とっても大事なことなんでしょうね。
さてさて。
今朝のお話について まだしばらく私の中で妄想は続きそうです。
お母さんの具合いのこと あの鳥たちの行方。
そして2人の今後について…。
あーでもないこーでもない…
と 妄想を膨らませてみましょうかね。
今も使われてるのかな? 小さなプール。
ここにも夏の名残り。