三重県は奥伊勢香肌峡、あたり一帯の青田には、とんぼが飛び交いのどかな田園風景であった。
蓮川の景色は都会に住む私たちには、郷愁を誘うかのように懐かしく且つ新鮮である。
しばし車を止めて眺め深呼吸。 あまごを採る人の姿は絵になり涼を呼ぶ。
三重県松阪市飯高町森、香肌温泉郷を少し登ったところにある『飯高洞窟美術館』がある場所。
以前から奈良の、夫の会社の得意先の方が勧めて下さっていた、鍾乳洞からの湧き水「命のみず」
うつ病であった奥さまが薬も必要としなくなり治られたと言う体験で多くの人に勧めておられる。
夫が肝臓病のことを話したのであろう、会社へ来られるときにはボトルに沢山持って来て下さる。
頂くばかりでは申し訳ないと言う気持ちと、私の肝臓が少しでも治るようにとの夫の思いで腰をあげた。
私もこの度ばかりはその気になっているし。
川面に映る景色にしばし足を止めながら、やっと夕刻五時前にその場所の手前付近に着いた時、
対向車にストップをかけられた。 「水汲みにきはったん?」 「そうですねん」 「四時までなんや、
けど鍵開けてあげるわ、ついておいで」 飛矢館長であった。
得意先の人の名前を言うと、館長はなじみなので色々と話をして下さる。
「そこのトマト食べ、全部食べてええよ」 冷たい湧き水につけてあるトマトを快く勧めて下さる。
天然の塩で頂いたが甘くて美味しい。 気のいい方で帰りにはお菓子までいただいた。
20ℓのペットボトル四本に汲む。 1,200円なり。 呼び止めて頂き幸運・・ セーフ!
コーヒーもこれでたてるととてもマイルドなのである。
万が一明日にしてと言われても、温泉にでも泊まって朝一番に汲めばいいと思っていたのだが。
カルシウム、マグネシウム、ナトリウムなどが多く含まれた日本産のミネラルウォーターのなかでは
最も硬度が高いそうである。
カルシウム不足による骨粗しょう症、高血圧、動脈硬化、血液の凝固性不全、不眠症、神経症。
マグネシウム不足による、糖尿病、便秘、アトピー、情緒不安定、狭心症、心筋梗塞、血栓症etc。
ミネラル不足は特に肝臓の働きを悪くさせるとあって、私にはタイムリーな水なのかも知れない。
去年いただいたときはさほど興味も示さなかったのに、夫は「しっかり飲みや」私の顔を見ると
冗談交じりに、いや冗談ではなく願うような気持ちで口ぐせのようになっていた。
頂くばかりでは・・と、その気になったのである。
私がどうにかなって一番困るのは夫だし、子供たちの為にも元気でいてやらないと。
私も元気になれよとの、そんな夫の思いに少しでも早く答えたいから。
ダイエットの体操でもなんでもそうだけど、継続が出来ないからこれがいいとかあれがいいとか等、
本やTV番組でも面白いほど良く取り上げている。 続けないから答えがでないのである。
水分は採るので絶対にこの水なのだから、とにかく飲み続けてみることにする。
ごく普通の三箇所ある水汲み場辺りには、野草がひっそりと咲いている。
館長のやさしさと同じでほっとするものがある。
館長が収集した東南アジアの美術品、仏像や陶磁器が展示されてある700mの洞窟美術館は次回に。
引き返し汲ませてくれた館長の心遣いに気を良くした私たちは、るんるんで帰路に。
あまり写真を撮ることは叶わなかった心残りはあるけれど。
山道の追い繁った木々の中には沢山の合歓の木がピンクのやさしい彩りを添えていた。
私が「あれきれい!」とか言うと時々車を止めてくれる、写しや・・と言わんばかりに。
ピントが・・あっていない・・。
途中場所は定かではないが、花火があがっていた。
夫は途端に笑顔、「いいね、いいね」 車を止め近い距離で大会を見る、思いがけないプレゼント。
助手席で私は帰路少し眠ってしまった(夫よごめんなさい)
家に着いたのは十時。 目いっぱいの一日、でも年やわ・・ 疲れやすくなった。
* 山道に咲く紫陽花今日の一枚 *