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ANOHNI and the Johnsons - My Back Was A Bridge For You To Cross (アルバムレビュー/感想)

2023-12-28 14:26:00 | 音楽レビュー/感想 2023
洋楽レビュー/感想 2023


暗くて痛くて重くて晴れやかではないけど
リアルでピュアで優しくて雄大で美しくて深遠で慈悲溢れる
インディー/フォーク/ロック/ソウル/エクスペリメンタル作品の、
ANOHNI and the Johnsons「My Back Was A Bridge For You To Cross」のレビュー/感想。









◆ANOHNI and the Johnsons - My Back Was A Bridge For You To Cross
昔は「Antony and the Johnsons」名義だったものの
「Antony Hegarty」(男性名)からプライベートで使っていた名前である
「ANOHNI」(女性名)に改名した(性別を変えた)事に伴い
「ANOHNI and the Johnsons」名義に変わったプロジェクトの13年振りの5作目で
新名義では初となる作品なんですが、
以前よりロック色と一般受け要素が増していて聞き易くなっていると同時に
相変わらず説得力があるというか描写が生々しくてリアルでエモーショナルなんで、
聞いていて深みと痛みを感じると同時に魂が震える…

いつも光は闇の反対だと言っていた事を知ってるだろ?それはただの火なんだ
私達はここから出る事が出来ない。だからとても悲しい
これが私達の世界。だからこんなに悲しい
私達は私達の為の場所で孤独になるんだ。とても悲しい




今の紛争と環境破壊と差別と偏見と理不尽に溢れている悲しい世の中に付いて触れて
そこから来る「疎外感」や「諦め」みたいなものも感じつつも
タイトル通り「It must change=変えなければならない」と
不安を抱えつつも青い炎のように芯に強い意志を持って歌っているのが特徴的な
独特の例えもある知的で詩的で達観したような歌詞の
「It must change」から顕著なように、
曲も歌詞のテーマも暗くて深くて重めなものが多く、
愛する人を失う事、不平等、疎外感、受け入れる事、残酷さ、環境破壊、
アブラハムの宗教(※ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の三宗教)がもたらす壊滅的な状況、
未来的フェミニズム、精神性、社会構造、自然との関係などなど幅広いのですが、
様々な属性の人たちに手を差し伸べて同性愛者やトランスジェンダーの
権利活動の発展に貢献した活動家の「Marsha P.Johnson」を
あしらっているジャケからも分かるように、
「Marsha P.Johnson」の「意図」や「意志」も強く感じますし、
音楽自体はアメリカン・ソウル、ブリティッシュ・フォーク、エクスペリメンタルを軸にしつつも
前述のようにロック要素…特に「Pink Floyd」や「Radiohead」辺りに通じる感じもあるのですが、
それによって「ANOHNI」の個性が一切死んでいない所か以前より際立って聞こえるくらい良い方に出ていて、
以前より曲がバラエティ豊かでダイナミクスがあって
リアルでピュアでありながらもドリーミーで雄大だったりもするし、
「ANOHNI」の歌声が聞いていて時に「苦痛なくらいの純粋さ」を感じるくらい
リアルで真っすぐで生々しいのもあり実にエモい…


特に今作のハイライトであろう「Scapegoat」の
「3:41~」に訪れる「勝利の歓喜の瞬間(全てが肯定される時)」は
実に開放的でエモくて感動的なんだよね~


憎むために置かれたような木にぶら下がっているリンゴ
私がしなければならないことは、それを取る事だ
私がしなければならないことは、それを望む事だ

貴方が誰であろうと関係ない
どこの出身だろうと
何を与えようが
どう生きていきたいかも
貴方は身代わり(社会の生贄)
それは個人的な事ではない(※)

(※補足:↑の最後の歌詞の「It's not personal」は直訳すると
「それは個人的な事ではない」ですが
「それは貴方を標的にしているのではないし、貴方に起因するものではないし、
それは貴方を利するものでも、傷つけるものでもない」
という意味合いが含まれます)





「Antony and the Johnsons(ANOHNI and the Johnsons)」の作品は
どれも名作と言って差し支えないくらいですが、
以前はフォーク要素強めで実験音楽的な要素もあった為に
聞き手を選んでいた印象がありますが、
今作は幅広い音楽ファンにも受け入れられるような作品だと思いますし、
歌詞が最高レベルに深くて素晴らしいし曲も歌も素晴らしいので、
内容的にも間違いなく名作と言って差し支えない
今年を代表する作品の一つかと。名作!



なお「Bjork」は今作を「傑作」と語っていますし
聴いていると目に涙が溜まるくらいと言っているようです。

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