みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
心に留まった風景など
私の好きなことを綴っているブログです♪

第24回 MOA美術館薪能 1日目

2008年08月01日 | 能・狂言
 熱海のMOA美術館で毎年8月1・2日で開催される薪能の公演に行ってきました。事前申し込み制ですが、無料なのでおいしい催しです。1日は観世流、2日は宝生流の能です。美術館の方では、『開場25周年記念 国立能楽堂コレクション展』があり、能の前にこちらの展示を見られればな~と思っていたのですが、仕事が長引いてしまったのもあり、薪能のみ・・・ということになりました。近場ですし、期間中には展示だけでも価値はあると思うので行く予定ではいます。

一、観世流能 『羽衣』 和合之舞
 去年こちらの美術館の能楽堂で見た『羽衣』も和合之舞という小書きでした。その時のシテだった祥人師は今回は地頭でした。今回のシテは彌右衛門師です。会場は三保松原ではないですが、海や木々が背景ですので、とても幻想的ですね。
 初めて鼓でお稽古した曲ですし、「愛鷹山や富士の高嶺」など私にとっては日常の風景が謡われていますし、装束や面なども素敵で・・・とても好きな曲です。今日も舞台が見えにくいのが難でしたが、(無料なので文句はあまり言えません。)それでも羽衣は素敵でした!!!

シテ(天女):山階彌右衛門 
ワキ(漁夫白龍):村瀬 純、 ワキツレ(漁夫):村瀬 提、村瀬 彗
笛:藤田次郎、小鼓:幸 信吾、大鼓:大倉慶乃助、太鼓:観世元伯
地謡:関根祥人、木原康之、大松洋一、藤波重孝
   武田友志、角 幸二郎、木月宣行、坂井音隆
後見:長谷川晴彦、高橋 弘

二・大蔵流狂言 『神鳴』
 2度目の鑑賞。前回は茂山正邦さんの神鳴でした。一般的には怖いイメージのある神鳴様が雲を踏み外して落ちてきた・・という点で既におかしいです。さらに治療のための針も怖がったり・・・。
 昔の人は現代よりももっと雷が怖かったでしょうけど、こんなにおちゃめな姿になってしまうのも、自然と密接だったからなのかな~とふと思ってしまいました。

シテ(神鳴):山本則俊、 アド(医師):山本則秀
地謡:山本泰太郎、遠藤博義、山本則孝

三・観世流能 『安達原』
 この曲は観世流以外では『黒塚』となっております。初めて見ます。席がやはり・・・ですので、糸車を繰る場面など全くといってよいほど見えなかったりしたのが少し残念でした。けれど老婆が出てくるところで風が吹いてきてちょっとおどろおどろしかったり、薪能ならではの自然の演出が演目にぴったりのようでした。
 鬼になってからも凄みというよりもおどろおどろしい感じでしたね、このときも気のせいかまた風が出て肌寒くなったような感じでした・・・。

前シテ(里女)後シテ(鬼女):観世芳伸
ワキ(山伏祐慶):村瀬純、ワキツレ(供山伏):村瀬堤、アイ(能力):山本則重
笛:藤田次郎、小鼓:幸 信吾、大鼓:大倉慶乃助、太鼓:観世元伯
地謡:高橋 弘、関根祥人、木原康之、長谷川晴彦
   武田友志、角 幸二郎、木月宣行、武田宗典

 薪能は雰囲気を楽しめますが、シテの演技や囃子の音を楽しめるかというとそうでもなく・・・難しいところですが、やはり能楽堂で見るのが一番だなと思います。マイクを通して聞く能楽の音は違和感ありますし、マイクの位置が床に置いているのか、太鼓の音や足拍子の音が変な感じでした。それでも無料で楽しめるイベントなのですけどね(^^)
 明日も行こうかと思っていたのですが、その次の日の朝めちゃくちゃ早くから予定があるし、仕事もあるので明日はパスします・・・。源次郎先生がいらっしゃるのですけどね・・・。

お豆腐狂言~茂山狂言の世界~

2008年07月05日 | 能・狂言
 5日(土)、静岡市清水文化センター(旧清水市)で行われた茂山狂言会に行ってきました。茂山狂言会へ出かけるのは久しぶりです。(お能とセットで・・としては茂山家の狂言は見てましたが・・・)風邪もまだ治っていないんですが、千作さんもいらっしゃるんだし・・・ということで季節外れのマスクをして行きました。けど、やっぱり仕事をこなして清水まで移動・・・だとちょっとキツイものがありましたが(苦笑)
 チケットもすぐに完売したようで、私がこの催しを知って電話したら残り2席という非常にスリリングな状況でなんとか最後列をゲットしました(笑)けど、中ホールでしたので最後列でも見やすかったです。


解説・・・茂山宗彦
 今日はお昼に親子狂言会も行われたようです。ダブルヘッダーのお客さんもいらしたようで宗彦さん「同じ話するんで、すみません」って謝っておられました(笑)茂山家の皆さんはお話お上手ですが、モッピもおもしろかったですね。狂言の簡単な約束事、笑い方、泣き方、移動など実演を交えて説明。京都から清水まで移動するのも普通は2時間半かかるけど、能舞台では26秒あれば移動できる!と(笑)いうのも実演してくださいました(笑)
 狂言だけでなく能もそうですが、こういう約束事が、とても面白いよな~と思うんです。「この辺りに住まいいたす者でござる」と名乗るだけで場所や時代までも自由に想像できるというか・・・現代にでさえも当てはまるような・・・と思います・・・。



一、『鬼瓦』
 大名:茂山千作、太郎冠者:松本薫、後見:島田洋海

 裁判の為に京都に単身赴任中の遠国の大名が訴訟に勝ち、お礼参りに因幡堂に太郎冠者を連れてお参りしていると、お堂の鬼瓦に目が留まり・・・、よく見ると国に残した女房の顔にそっくりで・・・・家が恋しくなってしまうというお話です。
 私はこのお話が好きです。だって鬼瓦が女房みたいと大名は言い、家来の太郎冠者は私を叱るときの顔そっくりだと言い・・・・だけど、故郷が、家が恋しい・・というのが伝わってきて・・・悪口言っているようでも憎めないんですもん(笑)

 千作さんは、お足元が少し・・・なのが少し気になりましたが、立ち上がるところなんかはうまく太郎冠者がカバーしていましたし、声はよく通って・・・・舞台に出てくるだけで観客が幸せになれる、存在自体が狂言(良い意味での)・・・・数少ない方だと思っています。この狂言の最後は笑って曲を締めくくる「笑い留め」という演出です。やっぱり千作さんの笑いは最高です!!!うん、幸せ~

二、『素襖落』
 太郎冠者:茂山千五郎、主人:茂山宗彦、叔父:佐々木千吉、後見:松本薫

 千五郎さん・・・お酒を飲む姿はもちろん約束事であるまねごとなんで実際には飲んでいないのに・・・本当に酔っ払っているみたいに見えるのはすごいし、こういう曲は見せ所なんでしょうね。

三、『鎌腹』
 男:茂山正邦、女房:井口竜也、仲裁人:島田洋海、後見:松本薫

 酔っ払い太郎冠者と同じくこちらも狂言ではよくある恐妻家の男の話です。といっても男は怠け者なんで仕方ないかも?いきなり鎌を棒につけた女房に追いかけられるところから始まります。びっくりします(笑)男が女房の言いつけで山へ木を切りに出かけてからは正邦さんの一人芝居(と言うんでしょうか?)が見せ所でしょうか?「いつか女房に殺される。同じ死ぬなら自分で死のう。」といろいろ試みるけど、実行できない男が笑えます。腹を切ろうとして「いたっ」とか・・・。歌舞伎の『十六夜清心』の清心を思い出しました(^^;。でも、こういうわわしい女も実は夫想いの憎めないかわいらしいところがあるんですよね。
 

 私はお能も狂言も好きなので、狂言一番、能一番の会が理想の公演なんですが、好きな役者さんたちの狂言会は最高ですね~!!酔っ払いの部下が上司の文句を言い、恐い女房に虐げられるダメ夫(だから恐くなった?)・・・。600年前の喜劇だけど、時代が変わっても、人間の本質って今も変わらないのではないか?と、いつも思います。

 あと、今回も茂山狂言では毎度の物販戦略にハマってしまいました。平成19年版の『和らい袋』を購入。前のバージョンのも「TOPPA!」公演の時に買ってサインしてもらいましたが(^^;。新しいバージョンはなかったし買いました。というのは言い訳(笑)千五郎さんと正邦さんにサインしていただきました。今回の『和らい袋』も凝ってるな~と思いつつ・・・もったいなくて遊べません(苦笑)今回のも千作&千之丞の兄弟対談もあったり、読み応えあります!

 さて、冒頭に宗彦さんがおっしゃっていましたが、清水の七夕祭りに合わせての茂山狂言会は、年に一度、織姫と彦星のような恒例行事になるんでしょうか?!年内は茂山狂言の予定はまだ考えていませんが、今年も後半は昨年以上に能狂言を楽しみたいと思っています。

長泉能 『紅天女』

2008年03月26日 | 能・狂言
 26日、ベルフォーレ長泉で数年前に国立劇場で初演された新作能『紅天女』が上演されたので、お稽古仲間のお友達と見に行きました。『紅天女』は美内すずえ原作『ガラスの仮面』の中の演劇『紅天女』を能にしたものです。といっても私、『ガラスの仮面』を読んだことがないのです(苦笑)ですが、一応『紅天女』のストーリーだけは事前に少しだけチェックして挑みました。今日は茂山家の狂言もあったりして、なんだか狂言の方が古典作品で・・・まあバランスが取れているといれば取れている?
 このホールは舞台がいろいろ調整(?)できるのか、能楽堂のような能舞台のような造りになっていました。さすがに屋根はないけれど(^^;橋掛かりもあって、ホール能のセットの割りには「お!」という出来でしたし。なので、脇正面の席もあったので、脇正面最前列にて鑑賞。


狂言 『棒縛り』 
 歌舞伎でもおなじみの演目です。久々に見た茂山家の狂言。やっぱり茂山家はいいなぁと思いました。シテの次郎冠者の正邦さん(私、茂山家若手の中では正邦&茂兄弟に注目しております!!)は、だんだんとお酒に酔ってきたみたいに見えてくるのはさすが。少し堅い感じはするけれど、謡も清々しいし!!太郎冠者(宗彦さん)と子供みたいな意地というか・・・酒のために智恵を絞って結託する二人が面白くて・・・。あと、主の逸平さん・・・なんか随分雰囲気が変わったなぁと思いました。

次郎冠者:茂山正邦  主:茂山逸平 太郎冠者:茂山宗彦


新作能 『紅天女』
 美内すずえ監修 植田紳爾脚本 梅若六郎演出

 今までに実際に新作能の舞台を見たり、テレビで放送されたものを見たりして、面白いと思ったものもあるけれど、正直言って私は新作能が苦手おまけに『ガラスの仮面』も読んだことがないのですが、少し『紅天女』をチェックしただけでも理解はできたかなと思います。新作能ですが、このストーリーは割りとお能チックかもしれませんね。化身とか憑依とか・・・お能でよくある現象(?)というか演出ですからね。間狂言は戦乱などで右往左往する東の者と西の者でお能のオリジナルキャラらしいです。これは現代にも通ずるような問題を訴えていました。

 原作をあまりよく知らなくても割と楽しめました。でも撃沈箇所(スミマセン・・・)もあったので全部理解できたわけではなかったけれど^^;。六郎師の後シテの天女も素敵でしたし。一緒に行った友人は『ガラスの仮面』が好きで、「紅天女」の世界そのまま!と絶賛していました。思いいれがある人が見るともっと面白いかもしれませんね。(というかそうでしょう・・・。)ということで、『ガラスの仮面』も読んでみようと思います。(というか友人が貸してくれるということでお言葉に甘えちゃいます♪)
 あと今回のヒットがワキの福王さん!!!これ、ワキ方の見せ場多いから目立つのかもしれませんけれど、声もお姿もとても素敵でした♪

シテ(阿古屋・紅天女):梅若六郎  ワキ(仏師・一真):福王和幸
アイ(東の者):茂山七五三 アイ(西の者):茂山逸平

笛:栗林祐輔 小鼓:鳥山直也 大鼓:佃良太郎 太鼓:小寺真佐人

地謡;河村博重 味方玄 山崎正道 角当直隆 浦田保親 田茂井廣道

 そういえば、今年最初に見たお能でした。今年は何番見られるのかなぁ・・・(^^;。あと、「入り口にNHKのカメラが入ります」という断りが貼ってありました。舞台そのものの放送なのか、ドキュメントなのかは不明ですが(^^;5月2日に放送されるみたいです。詳しくはまた分かり次第載せますね。

MOA美術館定期演能会 『羽衣』

2007年11月17日 | 能・狂言
 久々に能楽堂へ。私の好きな能楽師の関根祥人師が私の大好きな『羽衣』のシテをなさるということで、ずっと行きたいと思っていたのですが、スケジュールが分からなくて、先月末やっとチケットを予約しました。本当、行ってよかったです!!

 まず能楽講座が15分ほどありました。ここの演能会は毎回こういった講座があります。今日は小書きについてのお話でした。今日の曲『羽衣』は小書「和合之舞」ですので、その他の小書についても含めてのお話がありましたので、よかったです。『羽衣』は何回か見ていますが、「和合之舞」は初見です。

仕舞 『通小町』 『天鼓』 

 そういえば『通小町』は一度も見たことがないので、どこの部分かはまったく分かりませんでした(^^;。深草少将の小野小町に百夜通いをしたというお話ですよね。帰宅して調べましたら、深草少将が百夜通いの様子を見せて成仏する場面だそうです。もうちょっと分かってみていれば面白かっただろうな・・・と思いました(^^;。

 『通小町』シテ:関根祥六  『天鼓』シテ:関根知孝
 地謡:武田祥照、岡庭祥大、高梨良一、藤波時昭
 

大蔵流 狂言 『長光』

 面白かったです!!前にロッテのアイスのCMにも出ていた大蔵基誠さんが太刀を奪われてしまう道通りの者の役でした。見ながら歌舞伎の『太刀盗人』ってこれを元にもしているのでしょうか?と思いました。すっぱが目代に呼ばれたときの返事がとぼけている感じで面白かったです。

シテ(すっぱ)大蔵彌太郎、アド(道通りの者)大蔵元誠、アド(目代)大蔵千太郎

観世流 能 『羽衣』 和合之舞
 和合之舞という小書がつくと、序之舞からいきなり破之舞に入る、天冠が鳳凰、羽衣は作り物にではなく橋がかりの松にかける・・・など演出が変化します。『羽衣』は大好きな曲です。ご当地ソング(笑)だからというのもありますが、分かりやすいし、装束や詞章が美しいですし、とても素敵な曲だと思います。
 後見が持ってきた羽衣は一の松の上にかけられます。こういうのもまたよいものですね。そういえば、一度だけ三保の松原の薪能に行きましたが・・・雨天のために現地で見られなかったんですよねぇ・・・。それ以来行ってませんが・・・(笑)
 
 さて、祥人師の羽衣はとても素敵でした。第一声の「のうのう~」から私は心躍っておりました(笑)羽衣を纏ってからは、もう「きれい~!!」と何度も思いました。序之舞から破之舞に変わったところはテンポがガラっと変わります。破之舞が終わるときの天女の動きも素敵すぎます。天上へ帰らないで、ずっと舞ってほしい・・・・とさえ思ってしまいました・・・。キリでは私、涙滲んでいました・・・。とってもよかったです!!!

シテ:関根祥人 ワキ:宝生欣也 ワキツレ:梅村昌功、御厨誠吾
笛:中谷明 小鼓:観世新九郎 大鼓:大倉三忠 太鼓:観世元伯 
地謡:関根祥六、関根知孝、高梨良一、藤波時昭、
   岡庭祥大、斉藤剛、高梨万里、渡辺洋子


 今日は久々にお能を楽しめました。もっと見たいです・・・お能・・・・。ちなみに帰りは偶然、嬉しい出来事が!!もう、最高でした!!

能に親しむ会 『屋島』

2007年09月08日 | 能・狂言
 今日は地元のホールへ当日券でお能を見に行きました。お昼まで仕事をしていたので、ちょっと疲れ気味で不覚にも意識不明箇所がありましたが(苦笑)、今日は小ホールということで今までのホール能よりはこじんまりしていたよかったかなと。開演に先立ち主催者の桑田貴志師によるご挨拶と、観世喜正師による本日の見どころ解説がありました。

狂言『昆布売』
 初めて見た曲です。大名が、通りがかりの昆布売りの商人を脅して太刀を持たせるけど、立場逆転という、狂言おなじみの下克上な展開(?)です。大名に昆布を謡わせながら売らせる姿が面白かったです。大名役の山本則秀さんの声がいいな~と思いながら見ていました。

 昆布売:山本則直  大名:山本則秀


仕舞 『景清』 『熊坂』
 『景清』は一昨年お能で見て、とても感動しました。動きは少ないような気がしましたので、仕舞はどういう風なのかな?と思いながら拝見しました。観世喜之師のシテです。盲目杖をつきながら屋島の合戦での様子を語る場面です。とても良かったです。結果、これが一番心に残りました。『熊坂』は一転、薙刀を使っての舞です。こちらは迫力がありました。やっぱり仕舞がかっこよく舞えるって素晴らしいな~と思いました。

 『景清』シテ:観世喜之 『熊坂』シテ:観世喜正
地謡:駒瀬直也、中所宣夫、佐久間二郎、坂真太郎

能 『屋島』
 去年、後半部分をお稽古しました。屋島には行ったことありますし、とても好きな曲なのですが・・・お能として初めて見ました(笑)しかし、やはり前半部分は意識が飛んでしまって・・・・。うーん・・・やっぱりここのところいろいろあったし、つい・・・・。もったいないことをしてしまった・・・(--;。

 さて気を取り直して後半です(^^;。屋島の合戦での「弓流し」のエピソードを語り、修羅道の戦いの有様をみせます。ここは、自身も稽古したことあるので、謡の文句は頭に入っています。やっぱり、この曲はかっこいいなぁ~と思います。また修羅物を打ちたくなりました。(密かに好きだったりします・・・・笑)

(追記・出演者を書くのを忘れていました・・・)
シテ:桑田貴志 
ツレ:小島英明 ワキ:安田登 ワキツレ:高橋正光 アイ:山本則秀
笛:藤田次郎 小鼓:後藤嘉津幸 大鼓:安福光雄
地謡:観世喜正、駒瀬直也、中森寛太、中所宣夫
   奥川恒春、遠藤喜久、鈴木啓吾、古川充


 今日は同会館大ホールで「めざましクラシック」コンサートが。こちらも行きたかったけど、お能でさえ予定を急に・・だったんで気がついたら完売ですよ。。。。能は小ホールでした。今までこちらで行われる能公演は大ホールでしか見たことなかったけど、能だったら小ホールでいいかなぁ~。

第23回MOA美術館薪能 1日目

2007年08月01日 | 能・狂言
 毎年8月1日と2日に行われる熱海のMOA美術館の薪能の1日目の方に行って来ました。無料というおいしい薪能です。協賛者は良いところの席で、無料は芝生席なんですけどね・・・。早く仕事を終わらせて、熱海へ。近いのでよいですね~。でも久々の熱海です。美術館の芝生がある広場が会場ですが、客席は斜面を利用しているので、ちょっと座りにくいです。で、下の画像のようなダンボール椅子(?)が配られます。



 ダンボール敷物を貸してもらっても、下は芝生・・・。一応、その下にレジャーシートを敷いています。ま、終る頃にはこのダンボールも私の重さで折り目がくっきりですがね・・・(苦笑)入場から開演まで1時間近くあったので、ご一緒していただいたあいらぶけろちゃんさんとおしゃべりしながらフカフカの芝生の上でお弁当・・・綺麗な海が見えるし、ピクニック気分です。一番上の画像はまだ明るいとき、夕暮れ時の空と海と特設能舞台のコントラストが綺麗で思わず撮影。


観世流能 『吉野天人』
 これは、謡を少しだけかじりました(笑)作り物の桜といい、前シテの里女も後シテの天人もとても綺麗です。薪能は、外での演能なので雑音は仕方ないとして(まあ、去年のようなお祭りでかかっていたベンチャーズがお能のBGMになるようなことがなかったからよかったですけど・・・)、スピーカーから聞こえてくるお囃子やら謡やらがあまり好きじゃないのですが・・・・。それでも、綺麗な自然と溶け合っている舞台はそれ以上のすばらしさです。

 さて、天人はとても美しかったです。紫の装束がとても素敵です。背景の木々や海などがまだはっきりと見えるので、とても幻想的です。中之舞は幻想的。私もこのようにできたらなぁ・・・(鼓を)と思いました。

前シテ(里女)後シテ(天人):山階彌右衛門 ワキ(旅人):殿田謙吉 ワキツレ(同行者):則久英志、梅村昌功
笛:一噌隆之 小鼓:鵜沢洋太郎 大鼓:佃 良勝 太鼓:観世元伯


大蔵流狂言 『箕被』
 初めて観る演目です。連歌が好きで家を顧みない夫に離縁を申し出る妻。箕(み)を被って家を出る妻を見て、歌を詠む夫。三日月と「箕(み)被(かずき)」とかけてあるのがしゃれています。妻の返しの歌も「箕」と「身」(自分のこと)をかけてあるのが面白いです。連歌の才能があった妻にまたやり直そうよ~と言う夫もちゃっかり?!(笑)シテの東次郎さんも謡が素敵でした。

シテ(夫):山本東次郎 アド(妻):山本則孝


観世流能 『小鍛冶』
 結構メジャーな曲ですけれども、初見です。前シテも後シテもかっこよいです!!!『吉野天人』には加わっていらっしゃいませんでしたが、密かにファンの関根祥人師が地頭でした。(こういうとき、ちょっとマイクが嬉しかったり・・^^;。関係ないけどここの美術館能舞台の11月定期能公演は祥人師の『羽衣』なんで行こうかな~と画策中です・・・。)

 前場の日本武尊の草薙剣のことを語るところなどは、謡もシテもかっこよい!!!後場の狐もかっこよすぎます!!!!しかし・・・私の席からは肝心の刀カチカチ(相槌)の場面が見えず・・・。というか・・・そもそも舞台前方に置かれている壇が見えなかったんですけどね・・・。


前シテ(童子)後シテ(稲荷明神):観世芳伸 ワキ(三条宗近):殿田謙吉 ワキツレ(勅使):大日向 寛
笛:一噌隆之 小鼓:鵜沢洋太郎 大鼓:佃 良勝 太鼓:観世元伯


 今日は6時開演、8時半終了予定とあるのに8時前には終りました。休憩時間がなかったのもありますが・・・・なぜか・・・アイがなかった・・・・・のですよね・・・。お能2番とも。。。。配布されたプログラムにはちゃんと番組にアイの方のお名前が書いてあったのですがねぇ・・・。繋ぎ(?)はお囃子とか・・・ワキのかたががんばっていらっしゃいましたが・・・ちょっと苦しくない?!でも、なんで省略なんだろう?時間の関係?!



 上の画像は、火入れ式後の風景です。だんだんと日が沈んで、熱海の夜景が見えて・・・とても綺麗です。鳥の鳴き声やヒグラシの声もまた風流。虫は虫除けスプレーしてあるとはいえ・・・我慢するしかないですが(笑)一昨年は雨天でしたが、去年に引き続き、今年も晴天でとても良かったです。

 明日(2日)は、どうしてもいけないのですが、宝生流で大小鼓は源次郎さんと広忠さんでした。ミーハー根性丸出しですが・・・ああ、行きたかった(笑)
 

小鼓と笛の七夕コンサート

2007年07月08日 | 能・狂言
 7日七夕の日は法事の後、一旦帰宅してから、地元の干物屋さん(レストラン?)「和助」という所で「小鼓と笛の七夕コンサート」という催しに行ってきました。最初は干物屋でコンサートって・・・?!と思いましたが、カフェのようなおしゃれな作りのお店でした。実際カフェもやっているそうですが一度も行ったことないので、又今度食事に行ってみたいです。宣伝も大々的にされてなく、お客さん少ないかな・・・と思いましたが(失礼!)会場がいっぱいになっていて、びっくりでした。

 小鼓と笛だけの演奏ということでどういうふうに行うのかと思いました。ちょっと寂しいなぁと思うこともありましたが、なかなか楽しかったです。能の上演形態の五番立ての順番どおりに「翔」「序之舞」「早舞」、祝言で「高砂」などが演じられました。(私の記憶違いのところもあるかも・・・。最初のを忘れてしまいました・・・)狂言神楽(だったかな?)を笛に合わせてお客さんが唱歌で・・・っていうのが楽しかったですね。でも法事だったり最近始めたビリーの筋肉痛で疲れて「序之舞」はウトウトしてしまいました・・・(^^;。

 あと笛のみのメドレーなども素敵でした。でもやはり小鼓と笛だけはちょっと寂しいですが、たまにはこんなのもよいかなぁと思いました。途中のトークも面白かったし。笛は舞台の上では掛け声もなにもないので、しゃべるのは苦手。。。と仰っていましたが、なかなか楽しかったですよ~。小鼓もそうですけど、笛もちゃんとしたものを作るのには大変な作業がいるのですね・・・。


 小鼓:久田舜一郎  笛:寺井宏明

 あ、お稽古日が近づいてきたのでがんばらなくては・・・。

 それと最初に司会の人が「こづつみ」と言っていたのがちょっと気になりました(苦笑)つい言ってしまうのは分かりますが・・・「こづつみ」「小包」=「ゆうパック」です。「小鼓」は「こつづみ」です!!!でも言いにくいのは確かだったりします(笑)

沼津御用邸能 『清経』恋之音取

2006年10月18日 | 能・狂言
 17日(火)に、沼津の御用邸記念公演で行われた薪能にお友達と行ってきました。今年で5回目で、毎回梅若六郎師による演能が行われています。昨年は、雨の中の鑑能でしたが、今年は晴れました。(驚異的雨女の汚名返上です!)ですが、去年は10月初旬でしたが、今の時期になるとさすがに冷えます・・・海岸のすぐ横だし・・・マフラーやカイロを持参しましたが、それでも冷えました・・・・。
 自由席なので、開場と同時に入場しました。舞台は毎年草月流の方が作った竹の舞台です。今年は、玉みたいなオブジェがありました・・・。(画像で所々光っているものがそうです。)舞台が始まりライトアップされたら、「へちまたわし」に見えて仕方ありませんでしたが(苦笑)

 まず、仕舞が3番ありました。チラシには『橋弁慶』しかなかったので、そんなにあるとは期待していませんでした(苦笑)
 梅若六郎さんのお孫さんの男の子(すみません・・・お名前を忘れてしまいました・・・・・)による『老松』は可愛かったです!!!舞台の上を元気に“動いている”という感じですが、楽しそうに笑顔が可愛かったので、癒されます(笑)
 『橋弁慶』は弁慶が晋矢さんの息子さんの慎太郎さん、牛若丸が美和音ちゃんです。慎太郎さんを、初めてしっかりと拝見しましたが・・・素敵ですね・・・(毎度のことながら視点がずれてすみません・・・・・^^;。)ストーリー性も、動きもあり面白い仕舞でした。
 そして最後は晋矢さんの『高砂』です。キリの「げにさまざまの舞姫の」からだったかな。(記憶が確かならば。)晋矢さんの舞、素敵でした!!



能 『清経』 恋之音取
 チラシには小書きが書いてなかったので、通常演出だと思っていたら、特殊演出である「恋之音取(こいのねとり)」での上演で、嬉しいサプライズでした。シテは梅若六郎師です。『清経』は昨年、クセからキリまでお稽古しましたが、観るのは初めてです。シテの清経の出の時、笛方は橋掛かりの方へ向き笛のみの演奏です。会場のすぐ横が海で、潮の音が聞こえる中、澄んだ笛の音が聞こえ、とても幻想的でした。
 クセの最後の方の「腰より横笛抜き出だし・・・」の部分は実際に笛が入るんだと思ったり、入水する様子は、実際に波の音が聞こえてくる中だったので、イメージしやすかったです。
 公達物は儚く美しいですが、入水自殺の清経に対してはどこかで奥さんのように「なぜ戦死ではなく、自殺?」と思ってします・・・^^;。まあ観ている間は、幻想的で、儚げな雰囲気に浸っていますが。

 浜風が冷えて、観ている間もとても寒かったですが、とても良かったです。帰りは余っていた清経のポスターを頂いてしまいました!来年もまたあるなら是非行きたいです!

野村万作・萬斎による狂言の世界

2006年08月12日 | 能・狂言
 8月11日(金)三島市民文化会館で行われた万作さん、萬斎さんの狂言の会に行ってきました。久々の万作さん、萬斎さんです。
 まず、石田幸雄さんによるお話がありました。半分以上のお客さんが狂言は初めてということで、とにかく狂言もそうだけど能や歌舞伎も最初はとっつきにくいかもしれないけど、楽しんでくださいということです。そして、最後に小舞も舞ってくださいました。

『附子』
 入門編としてはかなり最適な演目かな?萬斎さんの太郎冠者で見るのは初めてです。何度か見ているけど、太郎冠者が附子の中身を気になって見ようとするのを次郎冠者が止めるのを振り払うところの謡・・・「名残の袖を振り払い~」というのが分かって面白かったです。
 この狂言は、砂糖を食べてしまうところもそうですが、その後の物を壊しまくり、主人に泣いてわびるところなどが、ばかばかしくて面白いです。

太郎冠者:野村萬斎  主:深田博治 次郎冠者:高野和憲


『六地蔵』
 初めて見ました。万作さん扮するすっぱのどたばたぶりも面白かったですけど、地蔵になりすましたすっぱ3人衆がかなり面白かったです!!それぞれポーズをつけるところとか。田舎者が来て、あわててポーズをつけたり。それを見て「なんかちがうな~」ということを言われたり(笑)

 終演後は主催者の方から万作さん、萬斎さんへの花束贈呈がありました。楽しいひと時でした。子供たちの素直な笑いも聞こえてきて、とても楽しかったです。
 

MOA薪能 2日目

2006年08月05日 | 能・狂言
 事前申し込みですが、無料で見られるので薪能を見に熱海まで行きました。毎年8月1,2日に行われますが、今年は2日の方に行きました。昨年は私が行く薪能はすべて雨に見舞われるという驚異的雨女なので、当日の天気が心配でしたが、無事に屋外(芝生広場)で鑑賞することができました。舞台を見ると、真正面には熱海(相模湾)の海が広がっていて、ヒグラシの鳴き声や月の光など自然と一緒になってとても綺麗でした。まあ屋外なうえ、祭りシーズンなので、時々ベンチャーズの音楽とか「月が〜でたでたぁ〜月がぁ〜〜あ、でたぁ〜あヨイヨイ!」なんてミスマッチなものが聞こえてきましたが・・・(苦笑)でも一昨年はちょうど熱海海上花火大会と同じ日で、もっとすごかったそうです(^^;。

能 『藤』
 初めて観ました。後シテの藤の精がとてもかわいいです。藤の精というと歌舞伎舞踊の「藤娘」を思い浮かべてしまいますが、それとはまた違うかわいさなんですけどね。冠から顔に藤の花が垂れていて・・・。まだこの時は薪に火を入れる前でしたが、海や山の自然とマッチしてとても幻想的な舞(序の舞)でした。

シテ:小倉敏克 ワキ:森常吉 ワキヅレ:館田義博、則久栄志
笛:一噌幸弘 小鼓:大倉源次郎 大鼓:國川純 太鼓:観世元伯

 この後、火入れ式がありました。画像は火を入れた後の様子です。芝生の斜面に座って観ていました。


狂言 『茶壺』
 これも初めてみましたが、面白かったです。すっぱが必死に使いの者の真似をして舞うところとか。微妙に(真似しているからなんだけど)ずれている相舞が面白かったです。オチは想像していた通りでしたが、楽しかったです。

シテ(すっぱ):大蔵吉次郎 アド(道通り):大蔵基誠 (目代):大蔵彌太郎

能 『鵜飼』
 3年位前にお稽古で前半の見せ場である「鵜の段」をお稽古しましたが、ちゃんとしたお能を観るのは初めてです。殺生を生業とする者(=漁師や鵜飼など)が、地獄で苦しむというお話は、『阿漕』にも似ているなと思いましたが、後シテは閻魔王なので、雰囲気がかなり違います。でも迫力があり面白かったです。あと、前シテが持っていた松明(?)の小道具が気になりました(笑)←オペラグラスで確認。
 

シテ:辰巳満次郎 ワキ:森常吉 
笛:一噌幸弘 小鼓:大倉源次郎 大鼓:國川純 太鼓:観世元伯

 細かいところ(面など)は、オペラグラスがないと全く分かりませんでしたが、自然とマッチしてとても良かったです。ただ・・・やっぱり雑音が多くて集中し辛いかも(^^;。とにかく晴れて良かったです。

MOA美術館定期演能会『景清』

2005年11月19日 | 能・狂言
 MOA美術館、今年最後の定期演能会を飾るのは関根祥六師の『景清』です。これが良かったです!!語り物って私は苦手かな?!と勝手に思っていましたが、最後は涙が止まらなかったです・・・。この日は久々に着物でお出かけしました。着物って暖かい(^^)実は着物でお能を見に行くのは初めてだったりするのです(笑)

能楽ミニ講座・・・浅見重好(解説)
 今日の『景清』の演出について解説がありました。景清の登場の仕方(藁屋からの現れ方)や面などこういうパターンがありますよ。という説明だけでなく、今日はどういう風になるかご覧下さいという導き方でした。そして、今日人丸を演じるのは子方の祥丸君です。小学校六年でお能が大好きです!という紹介をされていました。普段は大人がツレの人丸(景清の娘)を演じるのですが、本日は祥六師のお孫さんの祥丸君。トモの従者は祥人師と親子三代の舞台になりますという紹介をされていました。

狂言『栗焼』
 すみません・・・・記憶がございません・・・・。気が付いたら、もう終わりだった・・・(==;。またここの能楽堂での居眠り率を高めてしまった私(爆)

仕舞『班女』『山姥』
 山姥が印象的でした・・・。とその途中で隣りの騒がしいおばさん集団が、指輪の見せ合いっこを始める・・・私キレそうになるも、終盤でテンポが速くなるとおばさんたちもさすがにおとなしくなった。このおばさん達に後々もイライラさせられることになるとは・・・。

観世流能『景清』松門之出
 冒頭でも述べましたが、私は勝手に動きがない語り物って苦手かな?と思ってしまっていましたが、それは喰わず嫌いのようでした^^;。反省。景清の娘の人丸役の祥丸(よしまる)君が良かったんですよ!!うーん泣かせる。従者の祥人師も相変わらず声素敵だし、良かったです。日向の国(宮崎)に流された父景清を探し求め相模から二人で旅立ちます。私はこれを普通に大人が人丸を演じる方のものを見ていないので、何とも言えないのですが、子方の方が「お父さんを捜している」というのは説得力あるかなと思いました。
 この「松門之出」の小書きは、藁屋の引き回し(布)が落ちるタイミングが違うのと、あとシテ謡の前に笛の演奏が入ります。この笛がなんとも切なくて、良かったです。改めてお囃子の効果というものを感じました。
 娘が尋ねてきたのに、盲目になってしまった自分を恥じ娘のためにも「そういう人はきいたことあるけど、盲目だから見たことがないので知らない」と追い返す景清。その後出会った里人(ワキ)にあのあばら屋にいた者こそ景清と教えられます。ここで、人丸が景清の側へ行き名乗る所で涙。そして、屋島の合戦の様子を語り、私の亡き跡を弔いなさいと返すのですが、さらばと言いつつも、娘の肩に手をかけ思わず引き留めてしまいます。ここでもう号泣してしまいました。本当は、娘と一緒に居たいという気持ちがあると思うのです。今でも神奈川から九州って遠いのに、昔はもっと遠かっただろうに・・・。でも、娘を思うが余り最初は名乗らなかったし、返したんだろうと思うのです。でも、感情がどうしても出て、手を・・・。でも人丸は返っていきます。シテの退場の時、盲目杖をつきながら、去って行かれたのですが、いつもなら拍手が起きるところですが、この日は拍手がなく、静寂の中「コツ、、、コツ、、、」という杖をつく音のみが響いて、それがまた余韻を誘い涙が出ました。うーん・・・素晴らしかった。たぶん私、お能を見てここまで泣いたことはたぶん今までなかったと思います。小鼓は源次郎先生でしたが、ご自身のHPの日記で直接触れてはいないものの、仰りたかったことはこういう事かな?と感じました。

シテ:関根祥六 ヒメ:関根祥丸 トモ:関根祥人 ワキ:宝生欣哉
笛:松田弘之 小鼓:大倉源次郎 大鼓:安福建雄

(以下・愚痴など・・・・・読みたくない人は読まないでね)
 ただ・・・ものすごく良いお舞台でしたが・・・それだけにそれだけに・・隣のうるさいおばさん軍団にはほんとーにむかつきました!!仕舞の時にもうるさく嫌な予感がして、囃子方が舞台に出てきた時もおしゃべりを止めなかったので「演能中は私語を慎んで下さい」と注意したのですが・・・所々でおしゃべり。シテの語りでは「聞こえない」「言葉が分からない」としゃべりはじめる始末。「私はお前らのせいで台詞が聞こえづらいんじゃ!!どアホ!」と心の中で思い、血管切れそうになり、前のおじさんも私も注意したのですが、聞こえないのか止めず(私も大声出して注意したくないので)、「あの外人さんもつまらなそうにしているわ」という一言で私・・・キレました声を出さず・・・おばさんと目を合わせ・・般若の如く睨み付け、人差し指を口に「シーッ」という仕草で注意。若造に言われてはたまらないでしょう・・その後は静かになりましたが・・・ああ・・・もう!!!舞台が良かっただけにとても残念。もちろん感想や受け止め方は人それぞれ。そのおばさんが「つまらなかった」と思っても、それは感じ方の違いだから何も私は言うことはない。しかし、お能であろうが何であろうが、何かを見る時、公の場でのマナーは守ろうよ!!自分がつまらないからって、しゃべるのは他の人に迷惑だし、目の前で演じている方達に対して失礼極まりない!ああいうおばさんにはなるまい!と心に堅く誓うのでした・・・。

(以下・嬉しい独り言)
 その後、帰りに熱海駅ではんぺん(美味しいのよ!!)をいくつか買って券売機で切符を買おうとしたら・・・私の後方で先ほど舞台で拝見した祥人師に遭遇!!撤収早い!と思いつつも(私がバスを待っていた時間が長かったとはいえ)、偶然の出来事に嬉しくなりちょっと興奮!!その後まもなく祥六師が。お知り合いのお客さんにご挨拶されていて、私もじーっと見つめていたら祥人師がニコニコしてくださっていて(面識は全くございません、ニコニコもその別の方にかもしれません!)、これはきっと神の思し召しと思い、私のような若造が声をかけて失礼になりはしないか?とちょっと思ったものの、目が合ったことですし、勇気を出して祥六師に声を掛けさせていただきました。といってもきっとお忙しいでしょうし、「先ほどのお舞台を拝見した者ですが、とても感動いたしました。」とだけ声を掛けさせていただきましたが、とても素敵な笑顔で「そうですが、それはありがとうございます。また見に来て下さい。」と丁寧なお辞儀までして頂き、お返事を頂きました。お疲れの所、またお忙しい所、ありがとうございました!!ああ、もう嬉しいやら有り難いやら。ほんの少しのやりとりですが、やはり凄い方は違う!と感じました。(生意気な事言ってすみませんが)初めて見たお能も祥六師の『阿漕』でとても良かったし、前から好きなシテ方の方達でしたが、一気にますますファンになってしまいました^^;<ミーハー?!。そして、ますますお能の魅力に取り憑かれてしまいました。見れば見るほど、知れば知る程新たな発見がある能・・・。うーんますますはまってしまうのがちょっと恐くもあるが、たまらない。

第二回三島能

2005年11月03日 | 能・狂言
 昨年から開催されている三島能に行ってきました。会場はゆうゆうホールです。私は2階バルコニー席。深く腰掛けると手すりが目線に・・・しかし・・・幸いというべきか何というか、私の周りのスペースには誘導の係員以外誰もおらず、貸切状態(階下を見下ろす貴賓席状態?!)だったので、見やすい姿勢で見ていました(笑)去年は満席だったんですよ。私チケット買えなかったですから。(M斎さん出演だったから。)まず開演に先立ちまして、一ヶ月前の能楽体験教室でも講師を務められた宝生流の辰巳満次郎師によるお話がありました。内容は体験教室の時と同じようなお話(能楽全般の歴史についてなど)と、今回の演目についてです。仕舞はご当地ものと例によって大河の影響で義経が絡んでいる演目ですねー。『春栄』は本当にご当地の三島が舞台。羽衣よりも近かった(笑)

仕舞『春栄』『羽衣・クセ』『安宅』
 安宅は瞬殺でした(笑)アッという間だった。『羽衣』はおなじみのクセの部分だった。舞った方は大友順さん。一瞬、女性かと思った程の顔立ちでした。『春栄』はご当地ソングだけど、全く初めて見ました。

和泉流狂言『蝸牛』
 テレビ「にほんごであそぼ」で一気にお茶の間ブレイクしたと思われる『蝸牛』を万蔵さんで見ました。万蔵さん・・やはりつい昨年亡くなられた万之丞さんに、ふとした表情が似ていらっしゃるので、ちょっと切なくなったり・・・。と、それはさておき、呪文のような「でんでんむしむし、でんでんむしむし・・・」は頭から離れません!!(笑)最後は、かたつむりを取ってくるように命じた主人まで、怒っているはずなのに、例のフレーズを一緒になって唱えるのが面白すぎです!!

宝生流能『殺生石』
 今年6月にも見ました『殺生石』です。辰巳満次郎師は私はいつも解説とか後見とか地謡でしか拝見したことがないのですが^^;今回初めてシテで拝見しました。話し声も低くて素敵な声だなぁと思っていたのですが、謡も低くて渋い声でした。前に見た晋矢さんと比べると、晋矢さんは後シテも含めて「妖女」という感じでしたが、辰巳師は結構迫力を感じました。後は晋矢さんの時は替装束という小書きで、(梅若の型なのかな?)頭が白だったし面も女性的だったような気がしますし、頭には狐みたいな飾りが乗っかっていた演出でしたが、今回は赤い頭で面もいかにも化け物という感じでした。そういう面でも違いを感じたのかもしれません。石がパッと割れてシテが現れるのは格好良い!!
 ワキの宝生閑さんもいらっしゃって(こんな田舎にありがとう!笑)やっぱり渋くていいなぁと思いました。あと割と、私の地元で行われる時にはよく見かける柿原光博さんの大鼓も良かったですが、小鼓の曽和正博さんの音色がとても素敵でした。深みがあるというか・・・。やはり流派関わらず良い音を打たれる方の小鼓を聞くと、「自分もああいう音を出せるようになりたい。」と思うのであります・・・。

シテ:辰巳満次郎 ワキ:宝生閑 アイ:吉住講
笛:寺井宏明 小鼓:曽和正博 大鼓:柿原光博 太鼓:梶谷英樹

グランシップ能楽鑑賞教室

2005年10月29日 | 能・狂言
 1部は関連イベント(?)で仕舞や謡を習われている方達の発表があったようです。本当は同会場で行われている、いろいろな展覧会を見に行きたかったのですが、体調もいまいちだし、用事も一段落してから・・と思い私は1部を途中から見るつもりで出かけたつもりが、電車をギリギリで乗り遅れ(駆け込み乗車は危険だし・・)、次の電車は20分待たなければいけなかった・・・。なので、開演ギリギリ間に合ったものの、ちょっと冷や汗ものでした(^^;(この会場が駅と近くてよかったぁ・・・)。この日は、お稽古で仲良くさせていただいているお友達と一緒に鑑賞しました。

能楽師による解説
 まずちょっとした能楽の解説の後、『巻絹』の装束付けがありました。神に仕える女性なので、いろいろと身につけるものも、解説してくださいました。男性が段々と女性らしくなっていくのが面白いですね。以前、三島の能教室では、鬘は人毛(外国で髪を売りの男性の毛)を使っているとおっしゃっていましたが、「馬の尾」の毛も使うそうです。どちらも使うということでしょうか?!衣装を付ける二人が黙々と作業をする様は、長年の修行の成果という感じです。髪を結い上げる課程が一番難しそうな・・気がしました^^;。その後、装束を付けての『巻絹』の仕舞を見ました。

観世流能『三輪』(ダイジェスト)
 シテは関根祥人師です。ダイジェストということで、三輪明神が現れるところからの上演です。ぱっと作り物の中から現れた三輪明神はとても素敵です。紫の衣装が印象的です。神楽もお囃子のメロディ(といっていいのか?)が綺麗でした。

 ただ、やはりダイジェストだったからか、私が慌ただしかったせいもあるのか、いまいちな体調のせいもあるのか、前日に超濃密な会を見てしまったからなのか、別に不満というわけではないのですが、不完全燃焼という感じは否めない・・・^^;。

 そして会場ロビーで能面を体験できるスペースがありました。昨年も体験したのですが、今回は別の面を・・・恥ずかしながら公開です。やっぱり洋服だから、全体的にみると・・・滑稽かもしれない(苦笑)で、やはり目の穴は小さいし、自分の目の位置ともずれるので、視界がぁ・・・見えないわ!!(『花よりも花の如く』の憲ちゃんの気分がよーく分かります・笑)




ところで、開演前は慌てていたので気がつかなかったのですが。。。。。同会場で行われるこんなイベントの告知ポスターを発見!!!
言の葉コンサート 坂東玉三郎が語る『天守物語』
ポスターを発見した時は、一人で「おぉぉぉ!!」と 騒いでしまいました^^:(一緒にいた方、ごめんなさいね・・・)詳細はまだ分かりませんが、笛に藤舎名生さんのお名前も。玉さまは語り?!とにかく楽しみです。地元といえども、電車で1時間ですが東京よりは近いし、行きますとも!!!来年3月31日とまだまだ先ですが・・・・。一応、お知らせまで・・・。
いずれ詳細はこちらのグランシップHPに掲載されるそうです。

MOA美術館定期演能会10月公演

2005年10月23日 | 能・狂言
 某能楽サイトで当選したご招待チケットで見に行ってきました(^^)ご招待といっても、特別に良い席という訳ではないですが・・・。それでも、やはり御招待席と書いてあるチケットでのお能鑑賞というのもは、大変気分が良いものであります。

 いつもの如く、開演前にはミニ解説コーナー。私の中では、解説ではおなじみの(?)辰巳満次郎師。この日の演目『融』についての解説がありました。今回は主にあらすじについてでした。

仕舞 『春日龍神』『松風』『鵜之段』
 仕舞が三番ありました。『鵜之段』は昨年お稽古したので、思い出しました。舞はどういう風になっているかは分かりませんでしたが、結構面白かったです。『春日龍神』は若手の方が舞っていて爽やかでした。

大蔵流狂言 『二人大名』
 どうも、ここの能楽堂の空調が快適すぎて眠くなってしまった(^^;。(結構睡魔と闘う率高いんですよ・・・)そんな中、うつらうつら見ていました(苦笑)
 このように前半はちょっと危うかったものの、後半は目が覚めました(苦笑)二人の大名が刀を預けた者に脅されて、いろいろやらされたりするところが面白かったです。「びょうびょう!」と犬の真似をしていたり、起きあがり法師の真似をささえられたりと・・・ばかばかしい仕草が面白かったです。

シテ:大蔵吉次郎

宝生流能 『融』
 解説にもあったように、汐汲の様子、名所の語りをポイントに見ていました。解説では京都の六条で汐を汲む・・・というのは海がないから、大阪から大勢の人を使って運ばせていたそうです。贅沢です(笑)
 前半は正直、そのままの眠気をひきずっていたせいか眠かったですが、間語りも籠もっていて聞きづらかったし、、、だけど太鼓が入ってから目覚めました(^^;。お囃子のテンポも良く(特に笛が良かった)、優雅でした。後シテの衣装も素敵だったし。

シテ:高橋章 ワキ:宝生閑 アイ:大蔵彌太郎
笛:一噌隆之 小鼓:幸正昭 大鼓:國川純 太鼓:小寺佐七

 と・・せっかくなんですけど、あまり感想になっていないかもしれません^^;。また思い出すことがあれば書き足すかもしれませんが。一日をアート&お能鑑賞と楽しむことができました。

三保松原羽衣薪能は雨・・・

2005年10月08日 | 能・狂言
 またまた・・・私は雨女です・・・ただ、言い訳をさせて頂くと、昨年(私は行かなかった)は台風のために、中止で払い戻しをしたそうで・・・。清水在住の友人にホールまでの行き方を聞いたら、どうやら羽衣まつりは、「雨乞いの舞」とも呼ばれているらしい(爆)雨を呼んじゃうそうです。季節柄、雨の多い時期ですしね・・・。ということで、三保とは真逆の方向(海側とは反対)の清水文化センター付近を通過のバスへと乗り込むのでした。



 これは、会場で地元の物産を売っていたのですが、「羽衣どらやき」(右)と「羽衣煎餅」です。見にくいかもしれませんけれど、どらやきにも天女が!!食べるのがもったいないですが、早速頂きました(笑)美味しかったです!!あといくつか家族へのおみやげに購入しました。
 始まる前、地元の中学生による仕舞の発表会がありました。私が見た時はもうクライマックス(^^;。『土蜘』で糸をまいているところでした。羨ましい・・あれ、一度やってみたいんだよね(^^;。


宝生流 能『巴』
 今年はやたらと義経ものが多いですが、『巴』は義経は出てこないものの、『平家物語』にも登場する女性。巴御前は、源義仲の愛妾であり、女ながらも甲冑を身にまとい、 女武者と呼ばれています。(個人的には『日本のジャンヌ・ダルク』はどうよ・・と思う^^;)巴御前は、宇治川の合戦で義仲と共に死ぬ覚悟でしたが、女である巴の身を案じた義仲は一緒に死ぬことを許さず、一人落ち延びます。とても強いけど、悲しい女性ですね。鎧を身にまとい、長刀持って戦うなんて強すぎですが、これも義仲を思うが故なのでしょうね。
 前シテは意識が飛んでしまいましたが・・(^^;。後場の巴御前は「かっこいい!」という思いと「悲しいな」という思いで見ていました。女性の美しさも出さなくてはいけないし、強さや切なさも出さなくてはいけないですよね。義仲の形見を泣く泣く受け取る姿は、心を打たれました。そして、その形見を身にまとい、去っていく姿も切なかったです。
 
 シテ:小倉伸二郎 ワキ:高井松男 アイ:深田博治
 笛:一噌幸弘 小鼓:森沢勇司 大鼓:柿原弘和


和泉流狂言 『鐘の音』
 萬斎さんがシテです。『にほんごであそぼ』でも、鐘の音の擬音をやっていましたね、あれです。「金(gold)の値」を聞いてこいと主人に言われた太郎冠者は「鐘の音」と聞き違えて、鎌倉の有名なお寺の鐘をつきまくって、音を聞き比べます。
 「じゃあもんもんもん〜〜」「ぱーん」など擬音でお寺の鐘を分けているのが面白いです。以前、建長寺へ行った際、これが一番良い音の鐘か・・・と思ったものです(突きませんでしたよ!!)
 萬斎さん、お忙しいのか表情がお疲れのように思えました。体には気を付けてほしいものです。

 シテ:野村萬斎 アド:深田博治


宝生流 能『羽衣』
 メイン曲『羽衣』でございます。やはり、実際の羽衣の松の前で見たかったです・・・。でも、『羽衣』は小鼓で一番始めにお稽古したり(クセ)、馴染みのある土地の曲なので、一番好きなお能です。
 見ながら、愛鷹山・富士山の方へ飛んでいった天女とはどういう存在だったのか考えてしまいました。宇宙人なのか?本当に天女か?女神様か?!富士山信仰も関係あるのか?などと余計なことを考えていました。(関係ないけど、富士山の周りって・・信仰宗教の総本部とか多いんですよね・・・10年前に話題になって●●●とか・・・ーー;)
 それはさておき、羽衣を返してもらった天女が羽衣を身にまとい、舞う姿は綺麗です。席が遠かったので、装束をオペラグラスでチェックしました。本当に綺麗です(^^)ただ、何度も思いましたが、三保の松原で実際に見たら、どんなに幻想的なんだろうか?と思いました。

 シテ:佐野登 ワキ:高井松男 ワキツレ:井藤鉄男
 笛:一噌幸弘 小鼓:森沢勇司 大鼓:柿原弘和 太鼓:小寺真佐人

 全体的な感想としては、ちょっと音響が悪かったかと思います。どこにマイクを着けているかは知りませんけど、シテの謡が籠もって聞こえたり、思いっきりガサゴソ装束の衣擦れの音が聞こえてきたり・・・(^^;。そして、アナウンスも何度も何度も「三保羽衣“薪能”」と言っているのが、余計現地で見られなかったことに対して悔しくなります(苦笑)・・(;_;)終演後、雨は降っていませんでした。薪能の判断は難しいから仕方ないですね。来年は、現地で見たいです。


 この羽衣まつりでは、「エレーヌ祭り」というお祭りも兼ねていて、どういうお祭りかといいますと・・・(以下、パンフレット引用)フランス人舞踊家エレーヌ・ジュグラリス夫人は1940年代の半ば、フランスにて独学で能を勉強し、能「羽衣」の公演に力を注いでいました。彼女は、「羽衣」発祥の地、三保に愛着を抱きながらも、三保を訪れることなく、1951年、病の為に35歳の若さでこの世を去りました。
 「私の魂は三保に愛着している」という夫人の遺志を果たす為に、夫のマルセル氏は、遺髪を手に三保を訪れました。夫人の三保へと羽衣を愛する心に、清水の人の心は動かされ、羽衣の松の側に記念碑が建てられました。(遺髪が眠っている)

 私も心動かされました。ここまで彼女が愛した「羽衣」と三保。私もだいぶ三保へは行っていないし、改めて羽衣の松やこのエレーヌの碑を訪れたいと思いました。
静岡観光ガイド・三保