MOA美術館、今年最後の定期演能会を飾るのは関根祥六師の『景清』です。これが良かったです!!語り物って私は苦手かな?!と勝手に思っていましたが、最後は涙が止まらなかったです・・・。この日は久々に着物でお出かけしました。着物って暖かい(^^)実は着物でお能を見に行くのは初めてだったりするのです(笑)
能楽ミニ講座・・・浅見重好(解説)
今日の『景清』の演出について解説がありました。景清の登場の仕方(藁屋からの現れ方)や面などこういうパターンがありますよ。という説明だけでなく、今日はどういう風になるかご覧下さいという導き方でした。そして、今日人丸を演じるのは子方の祥丸君です。小学校六年でお能が大好きです!という紹介をされていました。普段は大人がツレの人丸(景清の娘)を演じるのですが、本日は祥六師のお孫さんの祥丸君。トモの従者は祥人師と親子三代の舞台になりますという紹介をされていました。
狂言『栗焼』
すみません・・・・記憶がございません・・・・。気が付いたら、もう終わりだった・・・(==;。またここの能楽堂での居眠り率を高めてしまった私(爆)
仕舞『班女』『山姥』
山姥が印象的でした・・・。とその途中で隣りの騒がしいおばさん集団が、指輪の見せ合いっこを始める・・・私キレそうになるも、終盤でテンポが速くなるとおばさんたちもさすがにおとなしくなった。このおばさん達に後々もイライラさせられることになるとは・・・。
観世流能『景清』松門之出
冒頭でも述べましたが、私は勝手に動きがない語り物って苦手かな?と思ってしまっていましたが、それは喰わず嫌いのようでした^^;。反省。景清の娘の人丸役の祥丸(よしまる)君が良かったんですよ!!うーん泣かせる。従者の祥人師も相変わらず声素敵だし、良かったです。日向の国(宮崎)に流された父景清を探し求め相模から二人で旅立ちます。私はこれを普通に大人が人丸を演じる方のものを見ていないので、何とも言えないのですが、子方の方が「お父さんを捜している」というのは説得力あるかなと思いました。
この「松門之出」の小書きは、藁屋の引き回し(布)が落ちるタイミングが違うのと、あとシテ謡の前に笛の演奏が入ります。この笛がなんとも切なくて、良かったです。改めてお囃子の効果というものを感じました。
娘が尋ねてきたのに、盲目になってしまった自分を恥じ娘のためにも「そういう人はきいたことあるけど、盲目だから見たことがないので知らない」と追い返す景清。その後出会った里人(ワキ)にあのあばら屋にいた者こそ景清と教えられます。ここで、人丸が景清の側へ行き名乗る所で涙。そして、屋島の合戦の様子を語り、私の亡き跡を弔いなさいと返すのですが、さらばと言いつつも、娘の肩に手をかけ思わず引き留めてしまいます。ここでもう号泣してしまいました。本当は、娘と一緒に居たいという気持ちがあると思うのです。今でも神奈川から九州って遠いのに、昔はもっと遠かっただろうに・・・。でも、娘を思うが余り最初は名乗らなかったし、返したんだろうと思うのです。でも、感情がどうしても出て、手を・・・。でも人丸は返っていきます。シテの退場の時、盲目杖をつきながら、去って行かれたのですが、いつもなら拍手が起きるところですが、この日は拍手がなく、静寂の中「コツ、、、コツ、、、」という杖をつく音のみが響いて、それがまた余韻を誘い涙が出ました。うーん・・・素晴らしかった。たぶん私、お能を見てここまで泣いたことはたぶん今までなかったと思います。小鼓は源次郎先生でしたが、
ご自身のHPの日記で直接触れてはいないものの、仰りたかったことはこういう事かな?と感じました。
シテ:関根祥六 ヒメ:関根祥丸 トモ:関根祥人 ワキ:宝生欣哉
笛:松田弘之 小鼓:大倉源次郎 大鼓:安福建雄
(以下・愚痴など・・・・・読みたくない人は読まないでね)
ただ・・・ものすごく良いお舞台でしたが・・・それだけにそれだけに・・隣のうるさいおばさん軍団にはほんとーにむかつきました!!仕舞の時にもうるさく嫌な予感がして、囃子方が舞台に出てきた時もおしゃべりを止めなかったので「演能中は私語を慎んで下さい」と注意したのですが・・・所々でおしゃべり。シテの語りでは「聞こえない」「言葉が分からない」としゃべりはじめる始末。「私はお前らのせいで台詞が聞こえづらいんじゃ!!どアホ!」と心の中で思い、血管切れそうになり、前のおじさんも私も注意したのですが、聞こえないのか止めず(私も大声出して注意したくないので)、「あの外人さんもつまらなそうにしているわ」という一言で私・・・キレました
声を出さず・・・おばさんと目を合わせ・・般若の如く睨み付け、人差し指を口に「シーッ」という仕草で注意。若造に言われてはたまらないでしょう・・その後は静かになりましたが・・・ああ・・・もう!!!舞台が良かっただけにとても残念。もちろん感想や受け止め方は人それぞれ。そのおばさんが「つまらなかった」と思っても、それは感じ方の違いだから何も私は言うことはない。しかし、お能であろうが何であろうが、何かを見る時、公の場でのマナーは守ろうよ!!自分がつまらないからって、しゃべるのは他の人に迷惑だし、目の前で演じている方達に対して失礼極まりない!ああいうおばさんにはなるまい!と心に堅く誓うのでした・・・。
(以下・嬉しい独り言)
その後、帰りに熱海駅ではんぺん(美味しいのよ!!)をいくつか買って券売機で切符を買おうとしたら・・・私の後方で先ほど舞台で拝見した祥人師に遭遇!!撤収早い!と思いつつも(私がバスを待っていた時間が長かったとはいえ)、偶然の出来事に嬉しくなりちょっと興奮!!その後まもなく祥六師が。お知り合いのお客さんにご挨拶されていて、私もじーっと見つめていたら祥人師がニコニコしてくださっていて(面識は全くございません、ニコニコもその別の方にかもしれません!)、これはきっと神の思し召しと思い、私のような若造が声をかけて失礼になりはしないか?とちょっと思ったものの、目が合ったことですし、勇気を出して祥六師に声を掛けさせていただきました。といってもきっとお忙しいでしょうし、「先ほどのお舞台を拝見した者ですが、とても感動いたしました。」とだけ声を掛けさせていただきましたが、とても素敵な笑顔で「そうですが、それはありがとうございます。また見に来て下さい。」と丁寧なお辞儀までして頂き、お返事を頂きました。お疲れの所、またお忙しい所、ありがとうございました!!ああ、もう嬉しいやら有り難いやら。ほんの少しのやりとりですが、やはり凄い方は違う!と感じました。(生意気な事言ってすみませんが)初めて見たお能も祥六師の『阿漕』でとても良かったし、前から好きなシテ方の方達でしたが、一気にますますファンになってしまいました^^;<ミーハー?!。そして、ますますお能の魅力に取り憑かれてしまいました。見れば見るほど、知れば知る程新たな発見がある能・・・。うーんますますはまってしまうのがちょっと恐くもあるが、たまらない。