今年初の映画館は歌舞伎座のドキュメンタリー映画です!本当はもっと前に行こうかと思いましたが、近隣映画館での上映はないために、DVDでもいいかな~なんて思っていたのですが、歌舞伎系ブロガーの皆様や周りの歌舞伎ファンのお友達の評判もなかなかのものでしたので、見に行くことを決意しました!!料金は通常より高くて(2千円)各種サービスデー割引も関係なく、さらに私の場合は交通費もかさみましたが、見に行く価値はありました!
【あらすじ(?)】
わが心の歌舞伎座 - goo 映画より引用。
2009年、東京・中央区にある歌舞伎座の建て替えが決まり、その工事のために2010年4月30日をもって休場が決定。やがて歌舞伎座さよなら公演が始まった。数々の名舞台を生み出してきた役者たち、観客、関係者が歌舞伎座への思いを語る。役への一念、受け継がれてきた名跡と芸、初舞台や想い出の舞台、先達の言葉など……全員の万感の思いと共に歌舞伎座は幕を閉じ、2013年春、5代目の歌舞伎座誕生に向けて新たに動き出す。
昨年4月の
歌舞伎座閉場式に運良く参加できた私は、なんだかこの日のことが昔のようなついこの間のような・・・そんな不思議な気分になりました。シネマ歌舞伎も鑑賞経験がないので、映画館の大きいスクリーンで歌舞伎の舞台や歌舞伎座の裏側まで見るのは不思議な気分でもあり、またテレビとはちがった臨場感もありました。
役者さんのインタビューを軸に、歌舞伎座の歴史と歌舞伎の舞台(主にさよなら公演から)、そして歌舞伎座の裏側を追ったドキュメンタリーという構成になっています。インタビューは出演順に
芝翫さん、吉右衛門さん、團十郎さん、玉三郎さん、富十郎さん、勘三郎さん、幸四郎さん、梅玉さん、仁左衛門さん、坂田藤十郎さん、菊五郎さんたち現在の歌舞伎界を代表する役者さんたちです!観客として歌舞伎座に通った歌舞伎ファンとはまた違う思いがたくさんあるのでしょうね。
毎月のように通うのは無理でしたが、歌舞伎ファンとして歌舞伎座に慣れ親しんできた自分としてはこの映画を見て思わずウルウルしてしまったエピソードが多々ありました。芝翫さんのように戦災に遭った歌舞伎座、そして戦後復興した歌舞伎座の歴史を知っている方は本当に貴重ですし・・・改めてこうして歌舞伎を歌舞伎座で見ることができたことは先人たちの努力があったからなんですね・・・。そして先月亡くなられた富十郎さん・・・もう新しい歌舞伎座を見ることはできないのですよね・・。このドキュメンタリーのインタビューや舞台映像はお元気で・・・だから亡くなられたなんてまだ実感できないのが余計悲しくて・・・。歌舞伎座ロビーでのおさらい(お稽古)の時に休憩するときは時計の側に・・という富十郎さん。あの時計にはそんな思い入れが・・と。新しい歌舞伎座にもあの時計は置いて欲しいですね。そして富十郎さんの歌舞伎への熱い思いに涙です。エンドクレジットにも追悼文がありましたが、改めてご冥福をお祈りするばかりです。そして小さい頃からお世話になっていた歌舞伎座の受付の女性のことを話す勘三郎さん。このお話は以前に勘三郎さんの密着番組などでも放送されましたが、これもいろいろな思いが重なって・・・涙涙でした。
吉右衛門さんの熊谷の引っ込み、團十郎さんの弁慶が飛び六方で花道の鳥屋へ引っ込むところ、忠臣蔵四段目の判官切腹の場面で観客から見えないところでも家臣が平伏しているところ・・・などおなじみの舞台でもカメラならではの目線で見ることができたのも貴重です。そして歌舞伎ファンになる前に亡くなったり舞台から遠ざかったりして見ることができなかった役者さんたち、花形役者さんを支える大部屋の役者さんたち、裏方の大道具、小道具、衣装、床山、そして音楽・・・普段はスポットライトを浴びることはない方たちまで・・・・たくさんの人たちが歌舞伎や歌舞伎座を支え、伝統を受け継いでいるんだな・・と改めて思いました。
個人的には歌舞伎で一番のご贔屓の仁左衛門さんのお姿を多く見ることができたのもうれしかったです。柱に千之助クンの身長を刻むって・・・ファンでもおい!と突っ込みたくなったけど(苦笑)菅丞相役へ向けて楽屋ではこんなことをなさっていたのかということなど、歌舞伎座の楽屋への思い入れ(愛!)が伝わってきました。菅丞相と与兵衛という真逆なキャラを演じられるのもすごいなぁと・・・。舞台の前に大道具さんへの注文など仕事に対するプロフェッショナルなときの顔も素敵ですが、最後に孫と手を繋いで笑顔で手を振りながら去っていく素敵なお姿もお茶目でした。
そして気がついた・・・歌舞伎ファンとして映画ファンとして・・・・こんなことは初めてかつきっと最後であろうことが!!昨年最後に見た映画
『最後の忠臣蔵』でもスクリーンで仁左衛門さんを拝見し、今年初めて見たこの映画でも仁左衛門さんをスクリーンで拝見し・・・2作品連続でスクリーンにて仁左衛門さんを拝見しました!次は劇場で生の仁左衛門さんを見たいな。
感想はまだまだ書き足りないことばかりですが、この映画を見て、改めて歌舞伎を好きになってよかったな~と思いました。歌舞伎を見たことがない方が見るには約3時間という上映時間は長めですが、歌舞伎って何?という人たちへの歌舞伎の紹介的な映像にもなっていると思います。とにかく歌舞伎を愛するすべての方にオススメの映画です!まだご覧になっていない方は是非。
(追記)閉場式の日のとあるシーンでは一瞬私が映っているかもしれん!と思ったシーンがありましたが、幸い(?)映りこんではいなかった模様(笑)
最後に、新しい歌舞伎座も役者さんにとっても、私たち歌舞伎ファンにとっても素敵な芝居小屋に生まれ変わることを願っています。