みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
心に留まった風景など
私の好きなことを綴っているブログです♪

平成中村座十月大歌舞伎 『仮名手本忠臣蔵』 Bプロ

2008年10月25日 | 歌舞伎
 24日平成中村座に行ってきました。今まで少し気になっていたんですけど、仁左衛門さんがご出演されるからという理由で(笑)今回初中村座となりました。4つのプログラムがあってどれも気になるのですが、日程や予算の都合、そして仁左衛門さんの本蔵は観たことあるけれど、由良之助は未見ということで、Bプロのみの観劇となりました。本当は通して観たいんですけどね・・・。お席は松席2列目の一番上手。花道は遠いけれど、舞台がとても近くて良いお席でした。(それに松嶋屋ポジションかな?)椅子席ではなく座布団プラス座椅子で長時間正座覚悟していたので(爆)快適でした。座椅子も家にあるのと同じようなのだったし(笑)

五段目 山崎街道鉄砲渡しの場、同 二つ玉の場
六段目 与市兵衛内勘平切腹の場


 この日は生憎の雨でした。劇場内にいたときが結構振っていたんですが、雨音が結構するんです・・・。でも、なぜかこの五段目には雨音がある意味ぴったりの天然演出(?)でした。特に定九郎が与市兵衛を殺した時とか、芝居の雰囲気が妙に雨音がぴったりで、ゾクゾクしてしまいました。そして、暗闇の中で起きる五段目は歌舞伎座とは違った中村座ならではの密な空間のよさを感じることができました。
 さて、この五・六段目は通しや単独で何度か見ていますが、誤解と不運の連鎖が哀れすぎるので個人的にはあまり好みではないお話なのですが、今回は今までで見た中でもかなりウルッときてしまったかもしれません。勘三郎さんの勘平がよかったです。忠義に厚いのに、おっちょこちょい・・・・周りも周りで検死というか傷を確かめれば・・・というような・・・。愛情深い孝太郎さんのおかるの健気さ、そして二人の別れシーンは思わず涙してしまいました。


七段目 祗園一力茶屋の場

 中村座に来た一番のお目当てです(笑)仁左衛門さんの由良之助は大きくて、敵を欺き遊んでいても、時折見える本心。私は七段目はそういった芝居がとても好きです。そして、由良之助が顔世御前からの密書を読み、2階からおかるが鏡で盗み見、縁の下で手紙を盗み読みする斧九太夫の3人の絵が美しいですしね。祗園の華々しさもあり、それぞれの登場人物の思惑が絡み合うドラマがあって単独で見ても好きな段です。

 仁左衛門さんの由良之助は初めて拝見。想像以上にとてもよかったです。かっこよかったし孝太郎さんの遊女おかるは綺麗というかかわいらしかったです。ひたすら勘平や家族のことを想っている姿が愛らしくて・・・。橋之助さんの平右衛門とのやりとりも兄と妹という感じが伝わってきてなかなかよかったと思います。あと今まで播磨屋さんの由良之助でしか七段目を観たことなかったのですが、由良之助がおかるに九太夫を討たせるやり方とか、細かいところでいろいろやり方が違ってくるのだなと思いました。でも見立てがなかったのは少し残念。祗園でのお遊び場面好きなのに(爆)けれど、前回見た七段目が巡業で遊びシーン全くなかったんで、贅沢は言いません!!(笑)


十一段目 高家討ち入りの場、同 奥庭泉水の場
     同 炭部屋の場、引き揚げの場


 ここは気軽にと言っては何ですけれど、日本人ならやはり忠臣蔵の締めくくりは討ち入り!ということでいつ見ても高揚感が(笑)(まあ、この後もいろいろありますけれど。)単純に立ち回りだけというイメージがありがちなこの十一段目ですけれど、引き揚げの場面があったことにより本懐を遂げた後の由良之助はじめ四十七士の気持ちがより伝わってきましたね。勘三郎さんの服部が馬に乗って出てきて勢揃いしたところもよかったです。

 単純に仁左衛門さんの大星の装束姿がかっこよすぎ!と思ってしまいましたが、他には勘太郎さんが印象的でしたね。十一段目の小林平八郎の立ち回りもきびきびしていてよかったですが、千崎もよかったです。


 初回の中村座はテレビで放送されたときに見て、面白そうだなと思っていたけれど、機会がなくて・・・今回初めての平成中村座でした。古典の『仮名手本忠臣蔵』をきっちりと、しかも歌舞伎座での興行ではできないような形で上演できたことは大変意義があることなんだなと思いました。観終わってからやっぱりAプロも見たかったなぁと思いましたが・・・。でも、念願だった仁左衛門さんの由良之助も見ることができましたし、ちょっと寒かったのが難ですが、中村座も体験できてとてもよかったです。来月は観劇すらできるか不明な状況なので無理ですが、また機会があれば中村座に行きたいですね。開演前に久しぶりに浅草寺をぶらぶらと・・・。でも小雨とはいえ雨だったので、そんなに楽しめませんでした。またこのときのことも後日・・・。

公文協東コース 松竹大歌舞伎

2008年07月29日 | 歌舞伎
 28日、歌舞伎の巡業東コース沼津公演に行ってきました。今年は亀治郎さんと段四郎さん一座です!仕事がどうなるか分からなかったんで、当日券で見ました。前はにぎわっていましたが、後ろの席が寂しく、私の前後と横は誰もいませんでした(苦笑)一番通路側だったんで、本当周りに誰もいないという状況(苦笑)


一、『操り三番叟』
 歌舞伎にはいろいろなパターンの三番叟がありますが、こちらは三番叟人形を人間が踊って演じるという趣向になっています。亀治郎さんは踊りが上手いな~と思いました。人形が途中で糸がからまってしまって動かなくなってしまったり、また動かし始める人形のしぐさが面白かったです。あと動きもすごくて膝が壊れないかな~と余計な心配までしてしまいました(笑)

二、『御目見得口上』
 亀治郎さんがメインのご挨拶です。一座全体の紹介を段四郎さんが。その他は竹三郎さん、大谷桂三さん、亀鶴さん、巳之助君という顔ぶれ。巳之助君が後ろの高校生段立ちに「私も今年3月まで高校生でした!」とご挨拶。同年代がいると確かに興味は持ちやすくなりますよね。(高校生団体の私語に迷惑したこともあったけど、今回はみなさん静かでお行儀がよくて感心しました!ってこれが普通か・・)


三、『弁天娘女男白浪』 浜松屋から勢揃いまで
 亀治郎さんの弁天小僧、段四郎さんの日本駄右衛門、亀鶴さんの南郷力丸という顔ぶれ。つい先日、菊五郎さんの弁天小僧をテレビで少し見ましたが、途中で寝てしまい・・、今回も途中で眠気が(^^;
 亀治郎さんの弁天は娘の時もかわいいです。正体がばれた時などの演技は菊五郎さんと比べるのがかわいそうですが、これからが楽しみかもしれません。
 そして、本公演ではなかなか見ることができない役がつくのも巡業ならでは。私が今回おぉ!と思ったのが亀鶴さんの南郷です。正直今まで注目したことはあまりなかったんですが(襲名のお披露目の舞台も見ているはずです。)、声も良いし、なかなか良いな~と思ってしまいました。これから注目してみようと思います!!


 気が早いですが、来年の巡業東コースは・・・仁左衛門さんです!!!!!公演のアンケートにもしっかり「来年は沼津に仁左衛門さんを呼んでください!」と書いてきました(笑)本当、気が早いけれど演目何かな~~・・・

七月大歌舞伎 昼の部 『義経千本桜』

2008年07月21日 | 歌舞伎
 19日、歌舞伎座七月大歌舞伎昼の部を見てきました。昼の部は『義経千本桜』の狐忠信を主人公にした忠信編の通しです。今まで権太や知盛の物語は見ていますけど、狐忠信の編は舞踊単体としての『吉野山』でしか見たことがなかったんですよね。(こちらは結構見ていますが^^;)なので『鳥居前』と『川連法眼館』は初見になります。

一、『鳥居前』
 この幕は、なんだかんだ言ってもやっぱり海老蔵ってかっこいいな~と思ってしまいますね(笑)隈取も似合うし、立ち回りなども決まってますしね。六方もかっこよかったです。
 段治郎さんの義経は気品がありましたし、権十郎さんの弁慶、市蔵さんの藤太はコミカルで楽しかったです。春猿さんの静もとても素敵なんですが、欲を言えば・・・・通して玉三郎さんの静で見たかったな~・・と思いましたが(^^;

 あと、上演中に地震がありました。去年も歌舞伎座で地震に遭遇しているんですが、歌舞伎座で地震に遭うと、そんなにたいしたことなくても、古い建物だけにちょっと不安になります(^^;
 
二、『吉野山』
 以前、南座の玉三郎さんの舞踊公演を見に行ったときに、玉三郎さんの静と当時まだ新之助だった海老蔵の忠信で見ているので、その時のことも思い出しました。そのほかの人の組み合わせでも、この踊りは結構見ていますが、今回のは私が気がついただけでも演出が結構違っているところがいくつかありました。藤太は『鳥居前』で同じことをしているので出てきませんし(同じことやったらさすがに飽きるので、これはこれでありでしょうね。)音楽は通常の竹本と清元の掛け合いではなく、竹本のみなので、単調になってしまうような気がしましたが・・・。
 
 冒頭の舞台セットもおぉ!といった感じですね。いかにも玉三郎さんがお好きそうなというか、玉三郎さんのこだわりなんだろうな~という・・・。
 玉三郎さんの静ですが、やはり綺麗ですね海老蔵の狐も、以前見た時(何年前だ~ですが^^;)よりも狐っぽくなっていてよかったです!!藤太が出てこないので、二人で踊るシーン満載で、とても絵になるお二人でした筋書を始まる前に少し読んだ時、配役に「人形遣い」とあったので、舞踊でよくあるような人形振りでもあるのかしら?と思ったら・・・狐のお人形でした。狐が身支度をする静を手伝ってあげるのが可愛かったです。


三、『川連法眼館』
 海老蔵が猿之助丈指導の下、澤瀉屋の型で演じるので、早替わりや宙乗りなどの演出で魅せてくれます!狐であると正体がばれてからの狐言葉は、台詞のしゃべり方とかおもだか屋さんそっくり・・・と思ってしまいましたが(笑)本物の忠信と源九郎狐の早変わりや舞台のいろんな所から源九郎狐が現れたりするのは楽しいですね。海老蔵の身体能力もすごいなと思いましたし。鼓を慕う様子はなんだかかわいかったです(笑)

 そういえば『義経千本桜』はメインの人物がこの狐忠信、権太、知盛・・と題名の義経はあんまり目立たないんですよね・・・。義経ってよく人気のある人物という割には、歌舞伎にしろ能にしろ義経が主役のものってあまり思い浮かびません。(能『屋島』くらい?)
 でも、権太、知盛は両者とも最後は死んでしまう話なので、ハッピーエンドかつちょっと不思議なお話の忠信編は見ていて楽しいですね。

 あと、これはよく書いていますけど・・・鼓を忠信がコロコロ転がしているのを見ると・・・そんなこと私がやったら師匠に半殺しにされるだろうなぁとか思ってしまいます(笑)しかも翌日は稽古だったんで・・・余計にそう思ったり(^^;。でも、鼓は馬皮を使っているのですが、だいたいが仔馬の皮なので、狐皮って鳴るのか?というか鼓が作れるのか?ということも考えてしまったりします(笑)いろんな意味で・・・お道具は大事に扱おう・・・と改めて思いました(笑)。
 

四月大歌舞伎 夜の部

2008年04月25日 | 歌舞伎
 『勧進帳』の感激で、そのほかの記憶が薄れています(苦笑)、なのでこちらは申し訳ありませんが、手短に・・・・。

一・『将軍江戸を去る』
 私は、この手の歌舞伎が苦手なんですよね・・・(^^;江戸幕府最後の将軍慶喜は三津五郎さん。山岡鉄太郎の橋之助さんはああいう役が似合いますね。


二・歌舞伎十八番の内 『勧進帳』
 感想はこちらから
 
 今思い出しても、ドキドキしてしまうくらいです(笑)


三・『浮かれ心中』
 前の幕の「勧進帳」の余韻に浸っていた休憩時間・・・。それもあるのか、舞台と客席のテンションについていけませんでした(苦笑)これは個人的な好みの違いだとは思いますが・・・。確かに笑えたところもあるんですが、ちょっとなぁというところも・・・。会場の爆笑にポカーンとするようなこともありました・・・・。あくまで個人的な好みの問題だと思いますが・・・。

 といってもこのお芝居では三津五郎さんと時蔵さんがよかったですね。時蔵さんの花嫁姿は綺麗だったし、ドスの効いた声も最高でした(笑)三津五郎さんは、『籠釣瓶』のパロディ部分と式亭三馬になって・・・という場面がよかったです。三津五郎さんのあの『籠釣瓶』もどきを見て、三津五郎さんの次郎左衛門も見たいな~なんて思ってしまいました(笑)

 ちゅう乗りは、もうこれでもかってくらいで・・・。色々撒いていたのが落ちてきましたよ。あのねずみかわいかったな(笑)


 ということで、『勧進帳』しか見ておらんのか?とお叱りを受けそうですが・・・。申し訳ないのですが、そうなんですよね(爆)帰りも『勧進帳』の後遺症(?)でぼ~っとしちゃっていましたし(苦笑)

 あと、気になったのが昼夜通していえることなんですが、観劇のマナーでしょうか。何回か、途中で携帯が鳴っていました。劇場は圏外になるはずなんですが、完璧ではないんでしょうね。それでも鳴っちゃうのがなぁ・・・。自分は外出時は常にマナーモードなんですが、それでも必ず電源を切ります。まあ、人の振り見て我が振り直せなので、これから私自身も気をつけたいと思います。

四月大歌舞伎 昼の部

2008年04月25日 | 歌舞伎
 23日の昼夜通し観劇、まず順番は逆になってしまいましたが、夜の部の「勧進帳」から書き、お次は昼の部の感想です。昼の部は3階2列目中央やや上手よりで観劇。

一・『本朝廿四香 十種香』
 歌舞伎の三姫のうちの一つがこの『十種香』の八重垣姫。私、実はこの演目は初見なのです。テレビなどでは見たことあるから、見た気にはなっていたけれど(苦笑)で、その八重垣姫を時蔵さんがなさるということで楽しみにしていました。やはり綺麗です!!
 許婚の勝頼が死んでしまい(でも死んだのは偽者。)勝頼の肖像画を眺めながら弔い、そして勝頼の絵にそっくりな花造り蓑作実は勝頼に恋してしまうという・・・・。そんなに絵がそっくりだったのかな?と思ったりするんですが(スミマセン・・・)私の席からは肖像画の首から上は見えませんでした(苦笑)
 複雑に入り組んでいるストーリーですが、事前に予習していけば大丈夫です。ただ、次の奥庭の場面も見たかったです。


二・『熊野』
 これも能『熊野(ゆや)』を元にした長唄の舞踊劇。最近の玉三郎さんはこのような能取りものの舞踊が多いですね。私自身、この『熊野』は実際に舞台で打っていますし、今度も舞台でやるので大変思い入れの深い曲なんですよね。正直言うと、これはくまで私自身の好みなのですが、この手の能取り物よりも元ネタ(能)の方が好きです。ですが、今回のような華やかな舞台装置などがあったりすれば大丈夫みたいです(^^;。とても素敵に歌舞伎舞踊にアレンジされていました。去年の『紅葉狩』よりはこの『熊野』とかの方が好きです。

 平宗盛に寵愛を受けるくらい、そして故郷に返すのが嫌なくらいに美しい女性だったというのも納得の玉三郎さんの熊野です熊野が美しくないと、返したくない、手許に置いておきたいという宗盛にも納得できませんからね(苦笑)二人での道行も美しいですね。やっぱり仁左衛門さんと玉三郎さんのコンビは大好きです!!
 能だと、道行(ロンギ)は、熊野のみが作り物の牛車の中ですからね、そして、清水寺の舞台からの眺めが綺麗です。桜の季節の清水寺に行ったことはないけれど、行った気分になりますね。
 清水寺での舞の場面も、去年舞囃子で打ったので、こんな風に謡がアレンジされているのねぇとしみじみしながら見ていました。一言だけ言わせてもらうと・・・「南を遥かに眺むれば」よりも前から舞ってほしいなと思ったんですが・・・(^^;。村雨が降ってきて、散る花を見て母の命も・・・と思う熊野が切ないのよねぇ・・・・
 
 「いかにせん都の花も惜しけれど、馴れし東の花や散るらん」

 という和歌を仁左衛門さん、玉三郎さん、長唄で分けて詠みあげていたのはどうかな?と思ったけれど、やっぱりこれは良い歌だなぁ・・・。これに心を打たれたわけですもんね。

 本当、絵になるお二人でした。朝顔の七之助さん、従者の錦之助さんも素敵でした!!

 かなり個人的な話なのですが、熊野の生まれ故郷の池田(現・磐田市)に熊野のお墓もあり(その隣はお母さんのお墓)ここに能舞台もあるんです。ここの舞台にお世話になっているご縁もあって、「熊野」は勝手に馴染み深い曲になっています(笑)また近々伺うので、そちらのことも詳しくご紹介もしたいなぁと思っています・・・。

三・『刺青奇偶』
 これは前に勘三郎さん(勘九郎時代)の著書で勘三郎さんの思い入れが深いお芝居ということを知り、興味を持った演目です。長谷川伸原作のお芝居です。全体的に暗~い舞台(証明が)でした。けど、良かったですね。
 勘三郎さん演じる博打好きの半太郎は博打好き・・・・。玉三郎さん演じるお仲は、薄幸だけど綺麗でした。お顔は『牡丹燈籠』の時のような限りなく薄い感じでした。冒頭のお仲の投げやりなところがよかったですねぇ。こういう綺麗綺麗じゃない玉三郎さんも好きです!!
 半太郎は結構良いやつなですが・・・・博打だけはいけません・・・・・・。病床のお仲が、半太郎の腕にさいころの刺青を入れる・・・・もう泣けてきますよ・・・・。それだけに「あんた、またやるんかい~!!」と何度も思いましたが(苦笑)いくら薬のためとはいえ・・・。
 それで賭場を荒らしたために痛めつけられて・・・・そこにやってくる賭場の元締めの親分の仁左衛門さんがッカッコイイ!!先月の「お祭佐七」のときと同じで出番少ないのにいいところ持っていきすぎ(笑)

 ラストは、この後に続きがあるかと思ってしまった(^^;あ、明かりついちゃたよ・・・という感じでしたが、良かったですね。ちょっと涙ぐんでしまったところもあったし。

 昼の部では自分自身が思い入れがある『熊野』が一番印象的でした。

四月大歌舞伎 夜の部 『勧進帳』

2008年04月24日 | 歌舞伎
 23日、歌舞伎座昼夜通しで観劇してきました。丸一日観劇は疲れましたが、居眠りしませんでした(苦笑)昼は3階、夜は一等席にて観劇。いつもなら順番どおりに観劇記を書きますが、余韻に浸っているうちに夜の部の感想を。。。。と思いましたが・・・・かなり熱く語ってしまいそうなので(笑)、『勧進帳』のみの感想を書きます(笑)他の演目はまた後日。


注・いつにも増して暴走していると思います・・・・・お許しを・・・・・・

二・歌舞伎十八番の内 『勧進帳』

 私は今、歌舞伎(長唄)ではなく、元ネタである能の『安宅』の舞囃子の稽古をしています。しかもそれをもうすぐ舞台でやります。能と歌舞伎が違うのは重々承知していますけれど、タイミングよく『勧進帳』がかかったので、いつもよりも楽しみにしていました。なんてったって、私の大のご贔屓、仁左衛門様の弁慶です仁左衛門さんの富樫は拝見していますが(平成14年の南座顔見世)、弁慶を見るのは初めてです。前回、松竹座で仁左衛門さんが弁慶をなさったときは、見にいけなかったのですが、お友達から「良いよ~」ということは伺っていました。個人的には仁左衛門さんは弁慶よりも富樫の方がぴったりだと思っていました。弁慶だと線が細いのかな?!と・・・・。贔屓目入っているけれど、体型的には線が細い仁左衛門さんだけど、声も低音で迫力ありますし、そんなことを感じさせない弁慶さんでした!!もちろん仁左衛門さんの富樫も好きですけどね。

 今日の夜の部のお席は、この『勧進帳』のために一等席をお願いしました。そしたら、届いたチケットが6列花横!今日会ったお友達に「仁左さま弁慶が素敵すぎるから、失神しないように!」と言われましたが、失神寸前でした(苦笑)失神したらもったいないからしなかったけど^^;。

 さて、幕が開き富樫の勘三郎さんが登場。ちょっと声が掠れていたような気がしましたので、ちょっと気になりました。個人的には今月のこの座組なら、富樫は家元の方の大和屋さんで見てみたかったんですが、勘三郎さんの富樫も良かったですよ。
 そして、三味線とお囃子と共に花道に義経一行が。玉三郎さんの義経は品がよくて、綺麗で花道七三でのポーズにうっとり(笑)もっとなよっとした感じの義経になるのかな?と思ったのですが、なよっとしたというよりも良い感じに柔らかい感じの雰囲気のある義経でした。
 そして弁慶の仁左衛門さん登場!本当、いつも3階席だけど、一等にしてよかった・・・・・・心から思いました。今回は席運もありましたしだって・・・・すぐ目の前弁慶だし!!端正な弁慶さんです(←大げさでなくこんな風だったと思います。スミマセン、痛くて・・・
 花道の出のところで義経の「いかに弁慶」に対し、弁慶が座って応えるは仁左衛門さんのやり方だそうです。義経に従い、主人を守るという忠義の弁慶というのが熱く熱く伝わってきました!!

 本舞台の演技でもそうです。玉三郎さんの義経は、ただただじ~っと我慢・・・顔もあまり見えないけれど、それがまた良いですね、哀れみがあって・・・・。
 決死の覚悟の「最後の勤め」は迫力があり、勧進帳読み上げの緊迫感・・・話の筋を知っているのに一挙手一投足熱演にハラハラしながら見ていました。
 「勧進帳読み上げ」もそうですが、「山伏問答」も、元ネタ『安宅』の謡本(よりも、むしろこちらの本)で自分がやる後半以外も勉強していたんでより前よりもぐっと理解できたというのもありました。

 そして、強力が義経だ!とバレそうになった時のやりとりは、本当に緊張しますね。あの富樫の留めの場面とか、弁慶たちと関守たちのやりとりは好きです・・・。その前に、泣く泣く義経を金剛杖で打ち据えるところも、ばれたらやばい、けれど主人を打つのも辛いというのがとても伝わってくるんですよね。
 無事に通過できた時、弁慶がホッと脱力してコツンと杖を落とすところ・・・あれは他の人もやっていたっけかな?と思いました。今まで見たことなかったような気がしますが・・・・あったかもしれません・・・・(^^;。危機一髪の場面を乗り越えた後の脱力・・・という感じで、なんか人間らしさを感じましたね。

 義経と弁慶のやりとりですが、義経のねぎらいに対し、恐縮する弁慶は涙と汗(失礼!)の大熱演でしたよ

 そして、「待ってました!」の飛び六方。仁左衛門さん、倒れちゃうんじゃないかって心配しちゃっていましたが(苦笑)肉体的な迫力・・・というよりも気持ち的に熱い六方です!!!!花道での一礼から揚幕に入るまで涙ぐみながら見ていました。

 綺麗綺麗ということばかり書いてしまっていますが(苦笑)、深い情愛と熱い心を感じた弁慶さんでした。



 なんだか・・・・・・かなり‘偏愛’に満ち溢れた文章になってしまっていますがお許しください。舞台の最中というよりも、終わってから、涙が出てきてしまいました。何とも言えない感動というか・・・・。本当にこの舞台を見ることができてよかった、そういう幸福感に満たされていました。「時間よ、止まれ・・・このままでいたい・・・」何度も思いました・・・・・・。
 そして、今日のこの仁左衛門さんの舞台を見ることができたことを神様仏様に感謝します。今日だけじゃなくて、「今までも」なんですが(苦笑)関西遠征はなかなかできなくても、これからの公演も一つ一つ大事に拝見したいです。とりあえず、6月の新派公演も申し込みました。

 勢いに任せて一気に書き上げたので、また後日修正や追記があるかもしれません。自分も「安宅」がんばります。って・・・・こんなことしている場合じゃないぞ、自分(苦笑)

三月大歌舞伎 夜の部

2008年03月23日 | 歌舞伎
 22日、歌舞伎座夜の部を観劇しました。『廓文章』を幕見しようと思っていたのですが、のんびり出発だったし食事したりしたら出遅れました(苦笑)今日の席は一階7列真ん中のお席。舞台全体も花道も見やすくてよかったです。ただ、ところどころ疲れていたのでいつもより睡魔と戦っていました・・・(苦笑)そういえば今年最初の歌舞伎です(苦笑)

一・ 『御存 鈴ヶ森』
 芝翫さんの白井権八、富十郎さんの幡随院長兵衛という配役。短い上演時間ですが、前半ほとんどわたくし・・・意識がなかったので(スミマセン・・・)コメントはできません(^^;が、芝翫さんと富十郎さんの組み合わせは豪華でした!!!

二・ 坂田藤十郎喜寿記念 『京鹿子娘道成寺』
 夜の部で一番良かったなぁ、見に来てよかったなぁと思った演目です。藤十郎さんの喜寿記念という今回の『娘道成寺』は道行から押し戻しまで付きます。押し戻し付きの『道成寺』は勘三郎襲名の時にも見ているけど、やっぱり楽しいですね。歌舞伎らしい大らかな華やかさがあって。

 藤十郎さんの『道成寺』を見るのは初めて。だいたいいつも道行での花子の衣装は黒地の着物ですが、この藤十郎さんの衣装は紫で柄も桜があしらわれていてとても素敵です。本当に77なの~?と何度も思ってしまいました。確かにお顔などはアップで拝見すると年齢を感じます・・・。けれども、舞台上にいる花子である藤十郎さんは本当に可愛くて若々しい花子そのもの。すごいなぁ・・・。鐘入りまでも、最後までも全然飽きることがなかったです。

 所化さんたちも豪華です。舞々づくしは藤十郎さんのお孫さんの虎之介君。台詞もとてもハキハキして、かわいいを超えてもう立派な役者さんと思いました。これからが楽しみですね!!

 そして團十郎さんの押し戻しはカッコイイ!!!!ザ・荒事という感じで・・・。こういうのはやはり團十郎さんしかできる人はいないよなぁと思いました。(先月の松竹座の海老蔵の押し戻しも見てみたかったです。)花四天たちとの立ち回りも決まってますし!!「市川團十郎」と「坂田藤十郎」という江戸歌舞伎と上方歌舞伎を代表する名跡が揃っているというのも豪華ポイントですし!!

 本当良かったです!!!かなり感激いたしました!!!

 てぬぐいは、前の列の人や2つ隣には飛んできましたが、ゲットはできず(残念!)あとロビーでは奥様の扇千景さんをお見かけしました!


三・『江戸育お祭り佐七』
 
 私は菊五郎さんの江戸っ子な役が好きです。今回もかっこよかったです。そして、時蔵さんの芸者姿も大好きですので、楽しみにしていました。あのすっきりした粋な着物姿がとても似合うと思うのです。(来月の八重垣姫も楽しみにしています。)
 冒頭のお祭りでの『道行旅路花聟』は忠臣蔵の道行を劇中劇(?)で踊るのですが、腰元お軽が芝のぶさん!!とてもかわいかったです!!!踊りの間にいちゃつく佐七と小糸がかわいいですね。

 仁左衛門さんは、小糸の養母に頼まれて、小糸を匿った佐七の元に小糸を返すようにと仲立ちする鳶頭の役。出番は少ないもののかっこよかったですよ。お席もちょうど仁左衛門さんの真正面でしたし

 でも、このお話の結末がどうしても納得できないというか・・・。『牡丹燈籠』を思い出してしまいましたが・・・・。あそこまで重くないものの・・・・。

十二月大歌舞伎 夜の部

2007年12月23日 | 歌舞伎
 (12月18日、1階19列下手側にて観劇。)
 今月に入ってからチケット予約をしたので、いつもの3階がチケットはなく、1階2等で観劇。それでも花道のすぐ横だったので、よかったかな?!今年最後の観劇です。

一・『菅原伝授手習鑑 寺子屋』
 前は仁左衛門さんの松王で拝見。今回は勘三郎さんの松王です。仁左衛門さんの松王の衣装は黒地でしたが、勘三郎さんの松王の衣装は、音羽屋型で演じるために銀鼠地の衣装です。衣装の色が違うだけで、印象も違う感じがします。疲れていて、首実検も意識あるようでない中で見ていたので、詳しいコメントは控えます(^^;。でも、思ったよりも海老蔵さんの源蔵と勘太郎さんの戸浪は良かったです。これからに期待というところでしょうか?!
 そして亀蔵さんの涎くりはぴったり(?)です。


二・『粟餅』
 三津五郎さんと橋之助さんの明るい舞踊。餅つきが、これからの季節にぴったりでもあるような(?)あの餅が気になりました(^^;


三・『ふるあめりかに袖はぬらさじ』
 今月一番のお目当ての演目。単独上演でもよいくらいのボリューム感たっぷりのお芝居でした。有吉佐和子原作の戯曲で、お園は玉三郎さん当たり役の一つですが、歌舞伎座では初の上演となります。期待以上に面白かったです。思っていたよりも喜劇性が強く、また前半はホロリとさせられたり・・・。そして笑いあり。
 時は幕末。横浜の遊郭の岩亀楼が舞台。病に臥している遊女亀遊と、亀遊を気遣う芸者お園。冒頭からぐいぐいこの物語の世界に引き込まれていきます。七之助さんの亀遊は儚げで、通辞の藤吉(獅童)への恋心が切なく、とても似合っていました。歌舞伎の獅童を見るのは久方ぶりでしたが、なかなか良かったです。またお節介なお園をコミカルに粋に演じている玉三郎さんはさすがと言う言葉しか出てきません。「ごちそうさま~」と2人の間に割って入るところなど爆笑してしまいました(^^;。そして、医師になるために留学をしたい藤吉に尽くしたいのに、病気の体で何にもできない・・・という亀遊のもどかしさが泣けてきました。

 2幕は岩亀楼に薬問屋(市蔵)と米人イルウス(弥十郎)がやってくる。弥十郎さんのイルウスは俳優祭で見たレッド・バトラーを彷彿とさせました。そして・・まさか歌舞伎座であんなにポンポン英語が飛び交う芝居を見るとは思いませんでした。(英語もなかなか?!だったと思います。)藤吉を通訳にしてイルウスに気に入った相手を選んでもらおうとする。外国人相手の遊女の唐人口が次々とやってくるのですが、これが物凄い(苦笑)イルウスじゃなくてもいやでしょう(?)特に福助さんのマリアはすごかった。この後も何度も出てくるのだけど(苦笑)亀遊を見請けしたいイルウスと、自分にとってその話はいやなのに通訳しなくてはいけない藤吉のもどかしさ、亀遊のはかない様子が後々に生かされています。
 勘三郎さんの岩亀楼主人も面白かったです。これから「往来」を聞いたら思い出しそう(^^;。芸者衆の春猿さん、笑三郎さん素敵でした!!

 亀遊が自害してしまって、物語はシリアス一辺倒になるのかと思ったんですが、亀遊が攘夷女郎という話が仕立て上げられて・・・、いつの間にか、お園も「その気」になってしまい・・・・果ては講談調に懐剣まで用意して亀遊自害の様子を語るのは、おかしい。きっとこんな風に話が大きくなってしまったものはたくさんあるだろうなぁと・・・。海老蔵の浪人は、はっきり言ってぴったりでした(笑)思誠塾の面々もそれぞれぴったりの役柄だと思いました。

 そして、玉三郎さんのお園は、饒舌で10月の『牡丹燈籠』を思い出しましたが、それ以上?!ものすごく綺麗という役どころではないですが、立ち姿が艶やかです。幕切れ、独りになって自棄になるところも、すばらしかったです。
 とても面白かったですが、さすがに疲れました。心地よい疲れですけど(^^;。今年最後の観劇がこれでよかったです!!!

幕見 『信濃路紅葉鬼揃』

2007年12月19日 | 歌舞伎
 今月に入ってからチケットを取ろうと思ったのですが、なかなか席がなく、夜の部を予約し、『信濃路紅葉鬼揃』は幕見で鑑賞。

 玉三郎さん、最近能取りものに凝っていらっしゃいますよね。通常の歌舞伎の『紅葉狩』とは違って、能っぽくなっているということで見てみようと思いました。『紅葉狩』は能で見る機会がなく、見てません(苦笑)が、前半のサシ・クセ・中之舞はお稽古しました。この中之舞のお稽古の時に師匠に何度も言われたことは「この中之舞は、まだ鬼になる前の妙なる女性なんだから、そんなに元気よく打たない!ゆっくりと!!」と(^^;。そう、元気よく打っていましたよ、最初(苦笑)結構難しいのですよね・・・。そんなことを思い出したりもしました。お稽古してある部分は、この謡は同じだ・・とか思いながら見ることができました。


 さて、お能の方の舞台は見ておりませんので、比較はできませんが、それでもシテは赤姫ではなく、台詞も装束も動きも「お能」ぽい舞台でした。幕見でしたので、オペラグラスで装束の模様をチェックしなくてはいけませんでしたが、全体の動きが見られました。動きもお能っぽいですが、歌舞伎役者と能楽師の体の使い方の違いというものを感じました。ツレのみなさんも綺麗でしたが、私は中でも春猿さんの構えなども、しっかり指先まで神経が行き届いていたのが印象的でした。
 中之舞から急之舞にテンポが変わり、「鬼」モードに突入。後シテの玉三郎さんも印象的でした。動きがないようでいて、ある。存在感もありました。また、ツレの毛振りなどもあり、見た目的にも楽しかったです。
 あと、山神の勘太郎さんの踊りはとても清清しく、良かったです!!平維茂の海老蔵もなかなか良かったです。この日は歌舞伎2度目の友人を連れて行ったのですが、初めて見た海老蔵やっぱりかっこいい!と言っていたし、楽しんでくれてよかったです。

 歌舞伎風お能という感じがした今回の紅葉狩。見る人によって、好き嫌いに分かれそうですが、私はこういう風に謡などがアレンジされているんだなぁと、私にしてはクールに楽しんでいました(笑)賛否両論、どちらの意見も分かるような・・・。けど、私はこれはこれで楽しめましたが・・・。前場の限りなくお能に近い動きだと、やっぱりお能の人たちとの動き方と比較してしまいますし、お能の方を見たくなります・・・。けど、こちらはこちらで後半の動きなど楽しめましたし。能の『紅葉狩』も見たいですが、公演形態が違く、1日しかチャンスがないから、なかなかめぐり合いが難しいのだけれど(^^;。

 あと最近私がよくみている「能.com」の『紅葉狩』演目事典をリンクしておきます。

吉例顔見世大歌舞伎 夜の部

2007年11月14日 | 歌舞伎
 夜の部は幕見しようかなと思っていたのですが、昼の部の前に当日券売り場に行ったら3階席があったので当日券を入手してしまいました(笑)昼の部が終って外に出たら幕見はかなり行列だったので正解だったかも?!夜の部のお目当ては『九段目』と『土蜘』です。

一・『宮島のだんまり』
 「だんまり」という、歌舞伎独特の様式美を見せる一幕です。前に時蔵さんの傾城浮舟太夫を見ました。舞台のあちらこちらに平家物語にちなんだ人物たちがいるのであちらこちら見るのが大変です(笑)芝のぶさんの赤姫姿がかわいいです。個人的には白拍子姿って好きなので、高麗蔵さんの祇王も目で追っていました。錦之助さんもかっこよかった!!あと清盛の歌六さんも、昼の部に引き続きよいな~と思ってしまいました。
 福助さんの浮舟太夫がスッポンからドロドロ出てくるところはかっこよかったです!!傾城六方もひたすらかっこよかったですが、3階席からは途中からはまったく見えませんので、ひたすら影を見て想像するばかり(苦笑)

二・『仮名手本忠臣蔵 九段目 山科閑居』
 今年2月の忠臣蔵の通しでは九段目は上演されませんでした。私が以前見た時は仁左衛門さんが本蔵、玉三郎さんが戸無瀬で全員初役という舞台でした。今回はそれ以来の九段目観劇となります。芝翫さんの戸無瀬、幸四郎さんの本蔵、吉右衛門さんの九段目の由良之助が初役というのが意外です。
 前半は本蔵妻の戸無瀬と由良之助妻のお石との女同士のやりとりがメインです。小浪と力弥を添わせたい母親と、力弥にどうしても逢いたい小浪。小浪の菊之助さんは可愛い白無垢姿です。一途に力弥を思う姿はかわいらしくも切ないです。縁談を断られて戸無瀬と死ぬ覚悟をするところなどは、縁談を断ったり引き出物として本蔵の首を要求するお石の腹が分かっていても泣けてきます。血が繋がっていない戸無瀬と小浪ですが、本当の母娘以上の繋がりというものがあるような気がします。魁春さんのお石も凛とした武士の妻という感じが良かったです。

 虚無僧姿の本蔵が現れてからまたがらりと物語は変わっていきます。今年の2月の通しを見たので、本蔵の苦悩が前回より、よく分かりました。本蔵の幸四郎さんと由良之助の吉右衛門さんの組み合わせはなんとも豪華です。吉右衛門さんの由良之助は今年3回目です。私の中では由良之助といえば吉右衛門さんという図式はもう固定されてしまいそうです(笑)
 主な役者さんたちが初役とは思えないくらいのたっぷりとした一幕でした。

三・新古劇十種の内 『土蜘』
 実は歌舞伎でもお能の方でも見たことなく、『土蜘』自体初見になります。富十郎さんの頼光の太刀持ち役の鷹之資君はお父さんにそっくりな顔と、そして堂々とした舞台姿はとても立派でした。菊之助さんの胡蝶も美しく、舞もとても素敵でした。
 さて、菊五郎さんの僧智籌ですが、このような凄みのある菊五郎さんを見るのは初めてで引き込まれてしまいました。そして智籌が花道から本舞台へ移動するときにハプニングが・・・・。
 なんと地震!!
 震度2でしたが、なんせ歌舞伎座・・・・なんせ3階席・・・・。揺れが収まってからも、若干揺れていたので・・・・びっくりよりも不安が(爆)そして舞台を見ると、ちゃんとしている鷹之資君・・・。立派です・・・・。
 智籌が本性を現して引っ込むと、仁左衛門さんと梅玉さんの番卒が登場します。ご馳走ですね。玉太郎君もかわいいです。

 さて、土蜘退治の場面はとても迫力あって「かっこいい!!」と何度も思いました。見てよかった!と思いました。糸を撒くのもこの演目の見せ場なんですが、後見さんがササッときれいに片付けているのも印象的でした。

 曲自体もストーリー性やエンターテイメント性に富んでいるし、よいですね。これはお能のほうも見たいです。(なかなか機会がなくて・・・・)

四・『三人吉三巴白浪』 大川端庚申塚の場
 松緑さんの和尚、染五郎さんのお坊、孝太郎さんのお嬢の三人吉三です。大川端の一幕だけです。ちょっと物足りない感じはありましたが、このメンバーだったら確かにこの配役かなと・・・。孝太郎さんのこういう役は初めて見ます。スッキリした染五郎さんにはお坊にぴったりですし、松緑さんの和尚も今後が楽しみではないでしょうか?!
 
(11月11日観劇)

 さすがに一日中歌舞伎座に篭っているのは疲れましたが、充実した1日を過ごせました。できることなら五郎蔵をもう一度見たいですが、もう無理だなぁ・・・。

吉例顔見世大歌舞伎 昼の部

2007年11月12日 | 歌舞伎
 毎年11月は歌舞伎座の顔見世です。顔見世というと、京都の年末の恒例行事である南座の顔見世を思い浮かべます。江戸時代は役者と各芝居小屋が1年契約を結んでいました。顔見世はその1年の役者の座組の顔ぶれを見せる興行です。今はその名残ですが、11月の顔見世公演では歌舞伎座正面に櫓が組まれています。
 11日(日)昼夜通しで観劇しました。実は、久々の休みだったので、疲れて時々眠気に負けた箇所もありましたが(苦笑)

一・『種蒔三番叟』
 歌舞伎にはいろいろなバージョンの三番叟があって、いくつか見ていますが『種蒔三番叟』は初めて見ました。梅玉さんの三番叟、孝太郎さんの千歳です。顔見世では三番叟を演じるのも慣わしだとか。翁は出てきませんが、おめでたい上品な一幕になってたと思います。

二・『傾城反魂香 土佐将監閑居の場』
 このお話は、たぶん私が歌舞伎で一番よく見ている演目かと・・・。一番最初に見た時の又平は吉右衛門さんで、おとくは雀右衛門さん。その後は猿之助さんの又平に勘九郎(現・勘三郎)や富十郎さんと芝翫さんで見ています。今回は吉右衛門さんの又平と芝雀さんのおとくです。
 鬼平や由良之助といった役どころの吉右衛門さんも好きですが、こういうお役の吉右衛門さんも好きです。吃音で苦しむ又平の姿、死のうとするところ・・・・もう涙出てしまいます。芝雀さんの女房おとくは初めて見ました。しゃべりな女房ですが、でしゃばらないで夫を愛情いっぱいに健気に支えている素敵なおとくでした。又平が師匠に苗字を許されて、おとくの鼓に合わせて又平が舞うところですが、芝雀さんはちゃんと鼓を打ってましたね。確か勘三郎さんの時もご自分で打っていらしたはずだと思います。専門の囃子方が打ったほうがそれは音は良いでしょうが、こういうのも味があってよいなと思いました。

 修理之助の錦之助さんもすっきり前髪の役ですし、歌六さんの将監もよかったです。

三・『素襖落』
 幸四郎さんが太郎冠者・・・・おそらく私はこの手のお役の幸四郎さんは初めて見たと思います。貫禄ありすぎてむしろ大名以上に大名みたいです(笑)
 那須与一語りといえば能『屋島』の間狂言というイメージがあります。(私が見た『屋島』は小書きなしなので、見ていませんが・・・・)このあたりで意識なくなってしまったんで・・・・これ以上のコメントは控えます・・・・・。

四・『曽我綉侠御所染 御所五郎蔵』
 4年前の『曽我綉侠御所染』の通しを見て以来です。通しで時鳥殺しから見たほうが分かりやすいですが、御所五郎蔵の場面のみでも見所たくさんですし、松嶋屋贔屓としては外せない五郎蔵です!!!前回の通しは皐月(時鳥と二役)は玉三郎さんでした。今回は主な配役は皐月が福助さんという以外はあまり変わらず
 今回は(前回も、ですが)3階でしたので、両花道を使っての華やかな場面はあまり見えませんが、辛うじて仮花道の五郎蔵は見えました。七五調の台詞が心地よく、白地に墨絵の衣装も素敵でスッキリかっこよく・・・。(贔屓目ですが何をやってもかっこいいと思ってしまうんで・・・・)
 土右衛門の左團次さんたちや門弟たちと五郎蔵と子分たちの対立も野暮対スッキリと分かれています。野暮ったいといっても土右衛門門弟たちも面白くて好きですけど(笑)二人の喧嘩を止める留め男の菊五郎さん。ほんの少しの間ですが、3人が揃うと豪華だなぁ~と思いました。
 福助さんの皐月は、五郎蔵のことを思うがための苦しい縁切りを切り出す姿が切ないですが、やはりこの場面だけですと分かりにくいところがありますよね・・・。孝太郎さんの逢州は前にも見ましたが、機転が利いてかわいらしいです。前よりも一回り立派になった逢州でした。
 
 最後、暗闇の中で間違って逢州を斬りつけてしまうところ、赤地に白い銀杏模様の襦袢が色っぽく、逢州が抵抗して懐紙をばらまくところなども歌舞伎独特の殺しの場の美しさが感じられました。最後は土右衛門が妖術を使って現れ、またお互いに斬り合います。最後は、切口上が入りました。

 前回通しで見ていると、今回は物語の展開に少し物足りなさを感じてしまいました。が、五郎蔵がかっこよすぎたんで満足!満足!です(笑)また時鳥殺しの場から、五郎蔵と皐月の二人が死ぬところまで通してみたいです。

芸術祭十月大歌舞伎 夜の部

2007年10月26日 | 歌舞伎
 昼とは打って変わって3階席です(苦笑)でも1等を買ってもよかったかな~とか、もう一度みたいな~と思いました。それくらい面白かったです。

一、通し狂言 『怪談牡丹燈籠』
 今月一番のお目当て演目です。今回の『牡丹燈籠』は大西信行が文学座のために書き下ろしたもので、劇中原作者の三遊亭円朝が登場して高座で『牡丹燈籠』を語るという演出です。といっても私は前回上演されたときは、見ていませんし、他の演出のものも見ていませんので比較できませんが(^^;。でも仁左衛門&玉三郎コンビのファンの私はとっても楽しめることができました。(あのポスターは超ヤバイですよね・・・。)怪談といっても、とても怖い話というわけでもなく、笑える部分もかなりありました。

 序幕の冒頭、新三郎(愛之助)に恋焦がれて死んだお露(七之助)と後を追って死んだ下女のお米(吉之丞)が幽霊となって、牡丹燈籠を手にして新三郎の元に現れます。吉之丞さんのお米は、本物の幽霊ぽくて(見たことないけど^^;)ハマリすぎます(笑)七之助さんのお露もかわいらしいです。愛之助さんは白い絣の着物が似合って素敵ですし、幽霊となっても新三郎に恋焦がれる怖いほど一途で純。それを応援するお米もまた怖いくらい。またお国(吉弥)と源次郎(錦之助)の二人もまた怖い。吉弥さんもよかったですし、かっこいいのにどこか情けない錦之助さんもよかったです。
 さて、仁左衛門さんと玉三郎さんの伴蔵とお峰夫婦ですが、序幕はいつもと違い綺麗綺麗の二人ではないのに、とてもかわいらしかったです。見ていてニンマリしてしまうようなやりとりも何度か(笑)伴蔵は、小心者で情けなくはあるのですが、なんでかっこいいのでしょう(贔屓目ありありです^^;)玉三郎さんのお峰も決して綺麗綺麗ではありませんが、粋でくるくる変わる表情が生き生きとしていて、私にとってはあのような玉三郎さんはとても新鮮でした。いつも見ているような(?)綺麗綺麗な役どころの二人ではないですが、そこは息の合ったコンビですから、二人が幽霊の頼みを聞いてあげるところなどは最高でした!!幽霊にもらった百両を数える「ちゅうちゅうたこかいな~」はツボにはまりまくってしまいました(笑)大金を手に入れた夫婦が頬を寄せ合うところもかわいかったです(笑)

 二幕のお峰と伴蔵夫婦は大金を手に入れたけど、序幕とは違い、夫婦の間が少しぎくしゃくしてしまいます。こういうのって現代にも通じそうだと思いました。伴蔵の浮気を疑うお峰が、馬子の久蔵にうまいことを言って聞き出すあたりは面白かったです。そして、そんなお峰もまたいじらしく可愛いです・・・。伴蔵は、デレっとしているところとか、もうお国とは逢わないからと言い訳したり、そんな決して決まりのよくない男の姿がとてもよかったです。
 好きだ嫌いのというのではなく、「自分の過去をばらされたくない。」からとお峰を殺してしまう・・・。この立ち回り(?)は帯をぶんぶん回すところなんかは、まるで『かさね』のよう。お峰を殺してしまって、それから悲しむ伴蔵。正直、ここで幕になって「これで終わり?」と思いましたが(苦笑)、この手のパターンでいくと、伴蔵にも報いがあるのかな?と思ったのですが、私はこのお峰を抱き寄せる場面を見て、伴蔵にとっての最大の報いは、自分が一番愛する人を殺してしまったこと・・・なんだろうなと思います。
 
 お国と源次郎の最期、お峰殺しの立ち回りは、歌舞伎ならではの残虐美を感じました。この二組の男女の行く末は、幽霊が直接・・・というのではなく、結局己の欲が自分たちを滅ぼしたもの・・・。そして、幽霊よりも怖いものは、人間と思いました。(って、京極夏彦の妖怪狂言『豆腐小僧』でも言ってたな~と思い出しました・・・。)

 最後になりましたが、進行役の三遊亭円朝の三津五郎さんは、口跡が良いので、噺家の役がぴったりでした!!馬子の役も面白かったし、今月は三津五郎さん大活躍だな~と思いました。


二、『奴道成寺』
 三津五郎襲名の時に三津五郎さんの『奴道成寺』を見ていて、それ以来になります。お面をつけて踊るところなどは覚えていましたが、こんなのだったけ?と記憶が(苦笑)元の『娘道成寺』とはまた違った華やかさがありますよね。鞠歌や、3つのお面を使ったクドキ、鞨鼓を使った山尽くしは花四天との立ち回りがあったり、派手で面白いですね。
 所化さんたちも、若手がたくさんで爽やかでしたね。そして、劇中口上があり、玉三郎さんの門下の玉雪さんと功一さんの名題昇進披露がありました。『牡丹燈籠』でも早速台詞つきのお役がありましたし、これからの活躍に期待ですね!

 
 ああ、やっぱり夜の部をもう一度見たくなりましたが、生憎今日が楽日なので、どうあがいても無理です(笑)来月は、先月末から今月半ばくらいまで忙しくてチケット予約のことをすっかり忘れていましたが(汗)、やっぱり仁左衛門さんが見たいので、行こうと思っています(笑)いや、本当に仁左玉ファンとして楽しめた舞台でした!!!思いがけない幸運も舞い込んできましたし、本当に良い日になりました♪

芸術祭十月大歌舞伎 昼の部

2007年10月25日 | 歌舞伎
 こういうわけで、幸運にも2階桟敷席で途中からですが、昼の部を観劇しました。


『恋飛脚大和往来 封印切』
 私、どうも心中ものが好きではないです(苦笑)途中から入ったのですが、既に八さんと忠兵衛がお金をコツコツ火鉢に当てているところで、封が切れてしまったところでした。そういえば、八右衛門は三津五郎さんだったのね。言い合い見たかったな~。(贅沢を言うなという・苦笑)秀太郎さんのおえんさんも好きだし(というか秀太郎さんの女将さん役は好きです。)時蔵さんもとても綺麗です。ただ、前にこれとほぼ同じキャストで見ましたが(八右衛門は富十郎さんの代役で仁左衛門さんでした)、こういうものは、「あんなアホ男・・・・」と思っても、どこか許せてしまう(?)雰囲気がいかに大事なのかという事をいつも思います。

『恋飛脚大和往来 新口村』
 我當さんの孫右衛門がとてもよかったです!!!前に見た仁左衛門さんの孫右衛門もよかったんですが、如何せん若々しいおじいちゃんだったので・・・(笑)親子の情というものが伝わってきました。時蔵さんは封印切の梅川は見たことあるけど、こちらの新口村の梅川は初見です。やっぱり、時蔵さん素敵だな~と思いました。

『羽衣』
 能では見ていますし、お稽古もしていますし、能の曲では一番好きな曲です。歌舞伎舞踊で見るのは初めてでしたが、本当にこれを2階桟敷席から見ることができて、夢見心地のようでした。玉三郎さんの天女に愛之助さんの伯龍という配役です。玉さまの天女はそれはそれは素敵でした。ピンクの着物もとても素敵ですし、羽衣を纏った姿も美しいです。能の謡を知っていると、「ああ、こういう風にアレンジしているんだな~」と思いました。舞も能のような厳かなところもありましたし、伯龍と一緒に踊るところも華やかでした。

お大尽気分

2007年10月25日 | 歌舞伎
 日付は変わりましたが、今日(24日)歌舞伎座へ行ってきました。夜の部がお目当てで、昼の部の最後の幕の『羽衣』だけを幕見しようと並んでいました。発売まで時間あるし、椅子に座れたので、本を読みながら時間を潰そうと思っていたら・・・・感じがよさそうな年配のご婦人が「お一人ですか?」近づいてきました。幕見に並びたい人かな~と思っていたら、

「これ、あなたさえよろしければ、見て。私、別のところ行くから。」


 と差し出されたものは、昼の部のチケット。どうやら、株主招待の席のようです。お礼は言ったものの、そのご婦人は風のように去っていってしまいました・・・。チケットをよく見ると・・・・

2階東側桟敷席

 と書いてあります・・・・。昼の部を途中からですがタダ見してしまいました。信じられません(笑)普通の席だったら途中入場が他の人の迷惑になるかな~と思っていましたが、ここならきっと大丈夫と思い、ダッシュで入場(笑)『封印切』の途中から見ました。ほんと、クライマックスで席に着いたら、封印切れちゃった。

 歌舞伎を熱心に見始めて7~8年が経ちますが、桟敷席で見たのは初めてです。いや~、いいもんですね。畳敷きのスペースに座椅子&座布団に、目の前にはテーブル。そして靴を脱いで足はぶらぶら~っとできますしね。そして、何もしなくても花道と舞台が同時に観察(?)できますよ~。

 まさにお大尽気分を味わってまいりました。ここ、ハマリそうですが・・・・・次座れるのいつなんだろうね?!当分はないな~と思います(苦笑)

 本当、見ず知らずの私にとても良い席を譲ってくださった方、ありがとうございます。

 舞台の感想は夜の部の『怪談牡丹燈籠』は書きたいことが山ほどあるので、また後日。でも一つ。仁左衛門さんは何をやってもかっこいい&綺麗じゃない役の玉三郎さんもかわいかったりした。

<追記>
 画像は削除いたしました。

秀山祭九月大歌舞伎・夜の部

2007年09月04日 | 歌舞伎
 成田さんの原画展を見に行った後、そのお友達と歌舞伎座夜の部へ行って来ました。初日の夜の部です。実は歌舞伎座の初日の舞台を見るのは初めてです。以前に南座で特別舞踊公演の初日に行ったことはありますが、歌舞伎座はまたそれとは違った独特の華やいだ雰囲気でよいですね。ま・・・手間取って時間が押すというのもありますが・・・。

一・『壇ノ浦兜軍記 阿古屋』
 平家の武将、平景清の愛人である遊君阿古屋が捕らえられ、景清の行方を問われ、口を割らない阿古屋に琴・三味線・胡弓を弾かせて心の内を探るという演目です。琴、三味線、胡弓を実際に舞台の上で弾かなくてはいけない、女形の大役です。これを実際に見るのは初めてです、以前の上演の時は見にいけなくて、後でNHKの放送を見たくらいでしょうか。
 捌き役の重忠役の吉右衛門さんも素晴らしいですが、段四郎さんが人形振りで演じる道化役(?)の岩永もとても面白かったです。胡弓を弾いているときに、胡弓を弾くまねをしたり・・・。本当は憎たらしい役のはずなのに、面白いです。

 さて、念願の玉三郎さんの阿古屋ですが、とても素敵でした。花道からの出、それだけで存在感がある玉三郎さんの美しい姿に心を奪われてしまいます。阿古屋を引き連れてくる竹田奴は顔が各々面白いのが面白いです。で声が・・・「ショッカーみたい」って思ったら・・・後方の男性もそんなことをつぶやいていたのが妙におかしかった(^^;。
 玉三郎さんの阿古屋は美しいだけでなく、景清のためなら自らの命も厭わない、そんな堂々としている姿も印象的です。演奏のことは私はよく分からないのですが、この3つの楽器を舞台の上で実際に弾きこなすというのは大変なことだと思います。そして、琴と三味線では伴奏もあるので、とても素敵です。
 ますます玉三郎さんの凄さを感じてしまいました。本当にこの人の舞台を生で見ることができて幸せ!!!と同時代を生きることができて幸せと思うのであります。


二・『身替座禅』
 これは、他の役者さんでも見ています。記憶に残るのは、仁左衛門さんの奥方。(仁左衛門さんは右京もなさいます。)今回は團十郎さんの右京、左團次さんの奥方玉の井です。やっぱりこれは分かりやすいし、面白いですね。團十郎さんは持ち前のおおらかさが発揮され、かわいいし。左團次さんはやっぱり凄い(^^;。特に地声になるところなんか(笑)太郎冠者は染五郎さん。こういうコミカルなのに合うなと思いました。

三・『二條城の清正』
 加藤清正を崇拝していた初代吉右衛門が懇願して、この作品が書き下ろされました。正直、私はこの手の演目が苦手で・・・(^^;。面白いなと感じる部分や、役者さんの熱演を感じることはできたのですが・・・・どう言ったらいいのか(^^:。
 最初の清正館の場では、出陣するところなどは面白かったです。清正が出陣の用意をさせるところは・・・なぜか鬼平を連想してしまったわたし・・・。二幕の二条城の場面はセットが「うん、二条城だよね。」と思ったり。腹の探りあいが、面白くはあるのですが・・・流れが悪かったり、どうも・・・という感じです。。。でも福助さんの秀頼は品があって素敵でした。吉右衛門さんの清正も、とてもよかったのですが・・・なんだろうか、この消化不良感(^^;。もしかしたら、日を重ねる内に良くなるかもしれません・・・。


 この日は、観劇日が偶然同じになった、いつもお世話になっている六条亭さんや、今までネットでお話したことはあってもお会いするのは初めてという方達にお会いすることができました。短い時間でしたが、ミニオフ会という感じで楽しかったです。この場を借りてお礼申し上げます(^-^)今後ともよろしくお願いします。