みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
心に留まった風景など
私の好きなことを綴っているブログです♪

松竹大歌舞伎 東コース

2007年07月28日 | 歌舞伎
 7月27日沼津市民文化センターの夜の部の公演を見に行ってきました。巡業は近いし、安いし、良質の舞台を見ることができるので嬉しいです。一等席で6千円ですし!!今回は売り出し時に5~6列目の真ん中の席がなく、最前列があったので最前列いわゆる「かぶりつき」で観劇しました。

一・清元 『玉兎』
 初めて見た舞踊です。照明を落とし、うっすらとした舞台真ん中にはまん丸お月様。月でお餅をつく兎の姿が浮かび、微笑みモードです。染五郎さんの玉兎は可愛かったです。特にあの鉢巻(?)が兎の耳みたいで・・・。かちかち山をモチーフにした踊りはとても楽しかったです。

二・『仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場』
 開演前に吉之助さんによる解説がありました。黒幕に舞台写真パネルがあり、忠臣蔵の史実の名前は芝居だとこういう名前になるとか、それまでの経緯の説明がありました。通しじゃないと、初見の人には七段目だとおかるがなぜ祇園にいるか分からないと少しきついと思うので、こういった試みは単独上演の時にはなかなか面白いと思います。

 二月の歌舞伎座で丸一日かけて通しを観劇しました。(その時の感想記事はこちらから。昼の部の感想夜の部の感想)私は今回の七段目を含めて3回七段目を見ていますが、3回とも吉右衛門さんの由良之助です。(うち2回は玉三郎さんのおかるです。)なので、すっかり私の中では由良之助役者といえば吉右衛門さんなんですよね。巡業の一番のお目当ては吉右衛門さんの由良之助ですし(笑)今回の公演は芝雀さんのおかる、染五郎さんの平右衛門、吉五郎さんの斧九太夫という配役です。

 省略箇所が何箇所かありました。由良之助の冒頭の遊興シーン、由良之助が力弥から密書を受け取る場面、冒頭の平右衛門とのやり取りなどはカットです。時間と人員の関係でしょうか。くぅ・・・あの由良之助の目隠し鬼ごっこ好きなのに(苦笑)鷺坂判内と九太夫が一力茶屋へやってくる場面から始まります。
 酔っ払ったといい、一人になり顔世御前からの手紙を読むシーンは短縮バージョンだとちょっと唐突でしょうか?力弥の場面は欲しかったなぁ・・・。縁側で由良之助が密書を読み、2階から鏡で手紙を盗み読むおかると、縁の下で九太夫が盗む場面は絵になりますね・・・。
 吉右衛門さんの由良之助は酔っ払っているんだけど、本性を見せるところは本当に凄いです。ああ、できることなら短縮バージョンじゃないので見たかった(しつこいですけど・・・。)芝雀さんのおかるは初めて見ましたが、かわいらしかったです。染五郎さんの平右衛門は初役ながら健闘していました。ただ、声がところどころ掠れていたのと、どう見てもお兄さんじゃなくて弟っぽい・・・・・。
 短縮バージョンでしたが、とても良かったです。


三・長唄『太刀盗人』
 これも初めて見ました。狂言の『茶壷』と『太刀奪』を元に作られた歌舞伎舞踊です。なかなか面白かったです。歌昇さんのすっぱが格好も仕草も面白いです。盗み聞きしたりごまかしながら舞ったりいかにも「すっぱ」です。悪事がばれて逃げ出す最後も面白かったです。
<追記>狂言の『茶壺』は見ていました。そういえば、すっぱが真似する相舞あったなぁ・・。



 おみやげコーナーもあり、吉右衛門さんのサイン入りガーゼてぬぐいが3枚1000円でした。パステルカラーで素敵です。家紋をモチーフにした蝶々の柄もまた素敵です。筋書きも全部カラーでなかなか素敵でした。



 あと、終演後は同じ敷地内の武道場で弓道の稽古をしている弟の稽古見学をするために移動していたら、こんなトラックを発見しました。弟は「ある意味デコトラだよね~」って(笑)7時過ぎでしたので暗くて、ボケボケですが。。。これで全国を巡業していたんですね。お疲れ様です。走っている姿も見たいです(笑)

『七月大歌舞伎 NINAGAWA十二夜』

2007年07月21日 | 歌舞伎
 20日夜の部を観劇してきました。前売り販売の時期はチケット購入していなかったのですが、行けることになりました。一昨年初演の蜷川幸雄演出のシェークスピア原作の歌舞伎『十二夜』は見ていなかったので今回の上演が初見です。(今ほどではないけど、たぶん入院していた祖父のお見舞いとかいろいろ忙しかったのもあったと思う・・・。)今回は若い人と男性と外国人のお客さんがいつもより多かった気がします。

 初演時の本やテレビなどで舞台の様子を少し知っていましたが、やはり生の舞台は別格です。シェークスピアの世界がまったく違和感なく歌舞伎に溶け込んでいます。鏡を使った演出やチェンバロなどの演奏はまったく新しいですが、歌舞伎の枠を壊さずに新しいものを作っているので、「歌舞伎」になっているんでしょうね。

 『十二夜』の主人公である双子の兄妹を菊之助さんが一人二役で演じます。ヴィオラ=琵琶姫、シザーリオ(ヴィオラが男に化けたときの名前)=獅子丸、ヴィオラの兄のセバスチャンが斯波主膳之助という名前になっています。でもぴったり?!

 定式幕が開くと一面鏡が。観客全体を映します。噂には聞いていたけど、やはり鏡だらけの舞台は幻想的で斬新です。この日3階後方席だったので自分の姿は見えませんが、自分自身が見えるという席も座ってみたいです。客席によって見え方や楽しみ方が違うのだろうなぁと思いました。花道の役者さんは思ったよりも見えませんでしたが、いろいろな角度から役者さんの姿が映るので面白いです。正面も後姿も同時に見えますからね。

 幕開きは大篠左大臣(オーシーノ公爵)の館で楽人たちの演奏と少年の合唱が。チェンバロと大鼓・小鼓の演奏なんて初めて聴きましたが、これがぴったりです。黒御簾でヴァイオリンなどの洋楽器が演奏されているのは不思議な感覚ですが、面白い試みですし、演目が演目だからぴったりなのかもしれません。

 次のシーンの琵琶姫と主膳之助が乗った嵐に遭い船が難破するのですが、菊之助さんの琵琶姫と主膳之助は美しいですし、早替りもお見事。男女二役、しかも男になりすました琵琶姫は菊之助さんだからこそできる役なんでしょうか。(もしも・・・玉三郎さんが演じたらどうなのかなとも思いましたけれど^^;・・・・)男になっているのに、恋する大篠大臣の前ではつい素の女の部分が出てしまい、あわてて男に戻る・・・というのは女形としても活躍している菊之助さんならではでしょうか?でも獅子丸と主膳之助の時の声の使い方は違いので凄いですね。琵琶姫は獅子丸の時もそうですけど、恋する姿が本当可愛いです。2幕冒頭の踊りは綺麗でした。

 助かった琵琶姫が獅子丸に化けて大篠左大臣に奉公。琵琶丸は大篠左大臣を、大篠左大臣は織笛姫を、織笛姫は琵琶丸が化けている獅子丸に恋しているという奇妙な関係が面白く、織笛姫に恋する坊太夫は皆にからかわれ最高に面白いです。特に全身うこん色の姿が(笑)
 時蔵さんの赤姫は素敵だし、亀治郎さんの麻阿は可愛いのにぶっとび具合が凄いです(笑)武田信玄と同一人物とは(笑)左團次さん、翫雀さん、團蔵さんたちの芝居が面白かったです。翫雀さんのピンクのメッシュがおかしいです・・・(笑)

 最後は主膳之助が現れてハッピーエンドです。とても楽しい舞台でした。機会があればもう一度くらい見たいけど・・・・来週は吉右衛門さんの巡業もありますしね。8月はどうか分かりませんが、9月は歌舞伎座夜の部に行きたいと思います。


 この日は久々に3階のカレーライスを食べました。食後は一階のお土産コーナーにあった「茹で上げあずき」にバニラアイスをのせたものを食べました。美味しかった!!


 

第34回俳優祭 その2

2007年05月28日 | 歌舞伎
 『白雪姫』
 メイン演目の『白雪姫』。第16回俳優祭で初演。6世歌右衛門が白雪姫、王子が初代白鸚、后が十七代目勘三郎という配役で、以来今回の俳優祭で4回目の上演。今回は白雪姫が玉三郎さんという豪華な配役。私3度目の俳優祭にして俳優祭で玉三郎さんを拝見するのは初めてです。(もちろん、模擬店にはいらっしゃいませんでしたけどね。)
 ストーリーは『白雪姫』そのまま歌舞伎にした感じです。これ本興行の演目としても通じそうです(笑)

 幕が開いて、玉三郎さんの白雪姫が登場。赤い振袖でいわゆる赤姫の姿。母親を偲び琴を演奏します。これだけでも素敵すぎます。そして白雪姫を慰めるために小鳥たちがやってきます。時蔵さん、福助さん、芝雀さんなど女形さんたちはとても可愛かったです。
 
 続いて、お后実は魔女の團十郎さん登場。八汐のような拵えでした。「鏡よ鏡~一番美しいのは誰~?」というお決まりの台詞もなんだか面白いです(笑)鏡の精は海老蔵。鏡なので、もちろん着付けや扇を差す場所も反対。動きも親子で鏡で合わせていました。これが素で親子で笑っていたのが可笑しかったです。しかも何度も一番美しいのは・・・という后に対して「くどい」って海老蔵のツッコミが面白かったです。親子だからできるというか(苦笑)

 鏡の精の言う一番美しい白雪姫を狩人に殺させるよう命令しますが、狩人はそれができずに逃がします。そこへ森の仲間の動物たちが。クマが橋之助さん、鹿が染五郎さん、狸が松緑さん、ウサギが菊之助さん、リスが勘太郎さん、猿が右近さん、キツネが愛之助さん、イノシシが獅童さんでした。皆さん着ぐるみで誰だかわからない人も・・・サングラスをかけている松緑さん、ほっぺが赤い菊之助さん、妙にしっくりと似合っていた猿の右近さんが印象的でした。

 次は七人の童の家の場面です。童が仕事から帰ってきます。はっきり言っていろんな意味でヤバイです(笑)だって、大きいし良い年した大人がアホメイク(?)でね。。。凄いです(笑)仁左衛門さんは頭のてっぺんに丸いハゲがあり、一番しゃべっていました。あとすごかったのが吉右衛門さん。赤丸ほっぺに黒い丸い眼鏡で、一番異様さを放っていました。鬼平とか・・・由良之助と同一人物とは思えません(苦笑)他には梅玉さんもアホ系の拵え、左團次さんは過去2回に比べたらおとなしいですが、やはり左團次さん。秀太郎さんはおかっぱでまるで禿(かむろ)。段四郎さんもなかなかでした。久里子さんは普通でしたが。家に帰ると赤姫姿のまま姉さん被りの白雪姫がものすごく大きいおにぎりを童にあげます。かわいいなぁ。そして童と白雪姫の踊りは楽しくて可愛くて素敵でした

 場面が変わり再び后が白雪姫が生きていることを知り激怒します。衣装がぶっ返り、はたきを持って花道で六方がありました。(幕見からはほとんどその時の様子が分かりませんでしたが・・・)ぶっかえった時かな、海老蔵の鏡の精が海老反りしてました。
 続いての場面は白雪姫が毒リンゴを食べて倒れてしまいます。そこへ動物さんや童や小鳥たちが来て、悲しんでいます。そこへ・・・・ガングロコギャル姿や後家節子など俳優祭には何かしらやってくださる菊五郎さんの北千住観音ご登場。白くて、派手メイクと衣装で、タイのカラフルな仏像を彷彿とさせます。バックには三階さんたちがパペットマペットのような覆面を被っています。そして長い指(爪?)をつけて、一糸乱れぬパフォーマンス。これがなかなかのもの。このために本興行の後に稽古していたことでしょう。ただのおふざけにとどまらないパフォーマンスはさすが人間国宝というところでしょうか。そして・・・・・白雪姫にはライトは当たっていませんが・・・・寝ているはずの白雪姫も起きて北千住観音を見ていました(笑)そんな玉さまも可愛いのですけどね。でも北千住観音が「白雪姫寝過ごさないように」「次は南千住」と去っていったら、白雪姫はまた倒れていましたが。北千住観音が去り、いよいよ王子。幸四郎さんは青いハンカチで汗を拭いてハンカチ王子だけでなく、最新ネタハニカミ王子ネタがあったのは驚き(笑)目覚めさせるのは口づけでなく、鏡で蘇らせます。そして一件落着。

 今までの俳優祭みたいな出し物みたいなお遊びは少なかったですが、白雪姫もしっくりと普通の興行でできそうなちゃんとした作りでしたし、役者さん全員集合!みたいな感じなのでやはりこういう時でないと無理でしょうね。

 最後は芝翫さんのご挨拶。富十郎さん、又五郎さん、三津五郎さん、勘三郎さんも袴姿で舞台に。北千住観音も全員舞台に。最後は富十郎さんの音頭で一本締め。その時、爪が長い北千住観音は少し戸惑ってました(笑)

 しかし、役者さんたちのエンタテイメント精神やサービス精神はすごいなと思います。直接交流できて、なおかつ面白い舞台。最高ですね。模擬店の戦争は疲れますけど・・・・。
 NHKのカメラも入っていましたので、例年通り放送があるようです。(放送は7月とのこと。)見ることができなかった方はぜひともご覧いただきたいですし、私もじっくり見たいです。

第34回俳優祭 その1

2007年05月27日 | 歌舞伎
 5月26日、3年ぶりに開催された俳優祭に参加してきました。私は3度目の俳優祭。メイン演目は『白雪姫』、しかも玉三郎さんが主役。3度目にして俳優祭での玉三郎さんは初めてだったりするのです(笑)『白雪姫』はまた別の記事にして、その1は前半の舞台と模擬店レポを。まずは三津五郎さんのご挨拶がありました。

『郷土巡旅情面影』
 全国の色々な芸能をその地域のみなさんや役者さんが上演。『勧進帳』の舞台である安宅の関のある加賀からは子供歌舞伎の『勧進帳』の演奏。大人の方3人いましたが、三味線、鼓も小中高生の演奏。鼓の音をちゃんと出すのも、みんなで合わせるのも大変だなぁと、ジャンルは違えど、鼓を稽古している自分は改めて思いました。けれど、歌舞伎座という大舞台でも、舞台姿が堂々としているし、立派でした。続いて山鹿(熊本、八千代座のある地域)の「山鹿灯篭踊り」。女性たちが頭に灯篭を載せて踊ります。暗闇の中に浮かぶ灯篭がとても幻想的でした。最後は「阿波踊り」。こちらも楽しくなるほど、みなさん楽しく踊っていましたが、千之助君が可愛く踊っていて思わずニッコリ。あと猿弥さん、ドリフの「エンヤ~コラヤット~」の「エンヤ」を繰り返していて面白かったです。

 続いて模擬店。3度目なのでコツが分かってきたとはいえ、相変わらず戦場と化します!!!なんと言ったって、役者さんと直接触れ合える機会ですからね写真も常識の範囲程度で撮影し放題ですしかし、こちらでは肖像権の関係もございますので、役者さんの写真の公開はもちろんしませんので、文章と戦利品画像のみでお伝えします。
 まず、私は当日券で幕見席なので、一旦外へ出て一階から入らなくてはいけません。事前にプログラムの模擬店案内図に誰がどこで何を売っているということが書いてあるので、開演前にシュミレーションです(笑)幸い第一の目的の仁左衛門さんは一階ロビーなので真っ先に行きましたが・・・・やっぱり凄まじいものがあります「押さないでください」と叫んでるのに・・・自然と。。。。仁左衛門さんはTシャツや巾着を売ってました。ようやくご本人の近くにたどり着いた私は仁左衛門さんに「布の巾着ください。」と伝えましたら、色が2種類あったのですが、仁左衛門さんから赤を手渡されました(笑)私もそちらの色の方が欲しかったので、嬉しかったですが(笑)しかし、ものすごい戦場でした。どうやら、後ほど自分の売り場から千之助君がやってきたそうです。その場にはいなかったので、ちょっと見たかったけど仕方ないです。


 上の画像は、その巾着です。かじったリンゴの絵にSnow Whiteのロゴが。この日だけしか手に入らず、しかも役者さんから手渡しで買えるというのはなんとも贅沢気分。

 その後は2階の食堂に行きました。ここのテーマは演目の白雪姫に合わせて、「7人の小人の広場」という趣向になっていました。りんご飴、りんごアイスなどリンゴのお菓子もたくさんですりんごアイスは歌昇さん親子が売っていらしていましたが、これが美味しかったです。果肉入りシャーベットって感じで。あとは孝太郎さんと千之助君のところで7種類のサンドイッチを買ったり、サービス精神旺盛の福助さんのところではお菓子を買った後、2ショットを撮っていただいたりしました

 あと3階に上がり、階段上がったところのいつもはカレーとコーヒーのお店に春猿さんと段治郎さんのバーが。女形姿の春猿さんがお客さんの応対を今テレビにたくさん出ていらっしゃるし、人気でした。私はアルコールが弱いので、ウーロン茶を頼みました。春猿さんに微笑み、見つめられながらウーロン茶の紙コップを渡され、嬉しかったですあと、ビールを春猿さんがオーダーするとき「おビール」と仰っていたのが印象的でした。ちなみに下の画像は記念に持ち帰ってしまった春猿さんから渡された紙コップです(笑)段治郎さんも阿波踊りの姿でかっこよかったです。



 あと三津五郎さんのおでん屋さんも行きたかったんですが・・・暑くて・・・おでんはパスしちゃいました。勘太郎&七之助兄弟のお店には名前がなかったけど、勘三郎さんがいらっしゃいました。袴姿で素敵でした。ここも3階だからか混んでいたには混んでいましたが、若干ましでした。勘三郎さんからエコバッグを手渡しで買いました。快く握手もしていただきましたちなみに下の画像がそれです。



 あとは、地下食堂の團十郎さんの握り寿司コーナーとその隣の海老蔵のから揚げコーナーを遠巻きに観察したり、錦之助さん隼人くん親子からおにぎり買ったりしました。その後、また一回出て、幕見席入り口から入り直すので一階ロビー周辺をうろうろ。富十郎さん鷹之資くん親子の素敵な笑顔の親子2ショットを撮影させていただきました。

 しかし、数年に1日(昼夜2回公演ですが。)とはいえ、このようにたくさんの役者さんと直接触れ合える機会はファンにはたまらないですね。しかもただの模擬店ではなく、各回ともそれぞれのテーマに合わせて趣向になっているのが、役者さんのエンタテイメント精神を感じます。そして・・・3回ともなると、子役たちの成長を感じます(笑)大きくなったなぁとか、もう全然あの頃と違うよ!みたいな(笑)

 その後、日本俳優協会の永年功労賞の授賞式がありました。昼は役者さん(主に脇役)への表彰がありましたが、夜は裏方さんへの表彰式です。床山さん、狂言作者さん、そして附け打ちさん。附け打ちの芝田さんは舞台上で拝見していますが、後の方は影で縁の下の力持ちになって歌舞伎を支えてくださっています。何でもそうですが、こういう方あっての歌舞伎ですし、役者さんたちだけではできない総合芸術でもあるんだということを感じます。

 この後はいよいよ『白雪姫』。ということで俳優祭レポ1はここまで。また後日アップします。

通し狂言『仮名手本忠臣蔵』 夜の部

2007年02月22日 | 歌舞伎
 昼の部の感想はこちらを

 夜の部は一等席9列真ん中という、舞台全体も花道も見やすいお席での観劇になりました。昼夜の通しの中での一番のお目当ては七段目。重々しい昼とは対照的に華やかな場面も多いので、時間があっという間に過ぎてしまいました。

五段目 山崎街道鉄砲渡しの場、同 二つ玉の場 
六段目 与市兵衛内勘平腹切の場


 正直、この話はちょっと苦手。なぜなら、勘平の切腹があまりにもかわいそうというかなんというか・・・最初から刀傷だと分かっていたら救われたのにと思っても、芝居ですから、あまり理屈で見てはいけませんけど(苦笑)でもその早とちり(?)の勘平も哀れだな・・・と思うかどうかは役者さん次第なんでしょうね。菊五郎さんの勘平良かったです。菊五郎さんは、昼では塩治判官で切腹、夜は勘平で切腹・・・。一日2回切腹を25日間するのか・・と別の意味で感心(^^;。
 女房お軽は玉三郎さん。勘平に尽くす姿が可愛く、夫あのために身売りも厭わない姿は、勘平への思いが伝わってきてとても素敵でした。
 あと、時蔵さんも良かったです(^^)昼のお軽もよかったですが、こういう感じの役も好きです。その他、吉之丞さんの母おかやも良かったです。そして梅玉さんの定九郎は・・・あまり悪人ぽくなかったです。。。


七段目 祇園一力茶屋の場

 期待通りというか、期待以上の舞台でした。吉右衛門さんの由良之助、玉三郎の遊女お軽、仁左衛門さんの平右衛門という豪華顔ぶれ。私が好きな役者さんが勢ぞろいということもありますが、それぞれの役者さんの魅力が引き立つ舞台でした。
 吉右衛門さんの由良之助は、たっぷりしていてなおかつ色気がありました。遊興にふけっているところは、敵も味方も欺きつつ本当に楽しんでいるような・・・。お茶屋遊びはとても楽しそうだなぁと思ってしまったりしました(笑)ちなみに見立ては、「播磨屋の当たり役の石切梶原」。思わず吉右衛門さんの反応を見てしまったり(笑)
 玉三郎さんのお軽もとても美しく、二階から鏡で手紙を盗み読みする姿などすべてが美しいです。仁左衛門さんの平右衛門は初めて見ましたが、愛嬌もたっぷりでとても良かったです。そして、玉三郎さんのお軽の兄という設定ですからね・・・。とてもお美しい兄妹です(笑)このコンビならではだなぁというのが、兄妹だということを忘れてしまうということでしょうか・・・。偶然再会して、「綺麗になったなぁ」と見とれて、お軽にいろいろポーズさせて・・・(笑)本当に見とれているような感じだったので・・・(笑)由良之助の手紙の内容を平右衛門に伝えるところなど二人のシーンは絵になりますね。ここでもお軽は終始、勘平だけでなく、家族への思いが伝わってきました。遊女でありながら、腰元であった時の気さ、女房としての勘平の気持ち・・・。すべてが詰まっていました。六段目のあの慎ましやかなお軽があってこそ、七段目のお軽が生きるんだなと思いました。
 とにかく絶品の七段目でした。いつか仁左衛門さんの由良之助を見たい。。。と思いました。確か前に大阪で関西の演出で通しがあった時に由良之助をなさっているはずですが・・・。七段目だけでもよいのでお願いします(笑)


十一段目 高家表門討入りの場
     同 奥庭泉水の場、同 炭部屋本懐の場


 実際に討ち入りの時は、雪は降っていなかったと言われますね。テレビで忠臣蔵がやるときも、討ち入りの場面というと雪・・です。人形浄瑠璃の方が先ですが、それだけ芝居の影響というものはすごかったのだろうなと思います。
 浅葱幕が振り落とされると、四十七士が門前に勢ぞろい。このときの吉右衛門さんがかっこよすぎます!!私だけではないと思いますが、鬼平を思い出しました・・・。十一段目はストーリーというよりも立ち回りで終りますが、一日かけて大作を見るのは疲れますが、観終わった後、すっきりした気分になれました。

 一日かけて通しを見るのは疲れましたが、歌舞伎の代表作を一日かけて観るというのも、とても贅沢だなぁと思いました。特に昼の部は、道行以外は単独上演というのはまずないので。でもその昼の部を観たからこそ、今まで観たことあった五・六段目、七段目、そして九段目に繋がりました。
 あと、劇場は人ごみでしたし、疲れたのもあって、次の日風邪をひきました(苦笑)熱はなかったですけど・・・。結構咳していた人もいたし、もらってきたのかも・・・。水分補給など気をつけていましたが・・・・(^^;。こういう時期の劇場は要注意かも(^^;

通し狂言『仮名手本忠臣蔵』 昼の部

2007年02月21日 | 歌舞伎
 20日は、久しぶりの歌舞伎座というか歌舞伎観劇というか・・・芝居観劇をしました。今月は『仮名手本忠臣蔵』の通し上演なので、せっかくなので通し観劇。11時開演の昼の部から、夜9時終演の夜の部まで約10時間も歌舞伎座に篭っていました。(昼夜入れ替えの時に、外でお茶したものの。)今まで、単独上演でよくかかる五・六段目や、七段目、八・九段目は見たことありますが、通し観劇は初めて。NHKから出ているビデオは見たことありますが。前回の歌舞伎座での通しの時は、わたくし・・・七段目のみ幕見だったので。一日中観劇ですと、正直・・・コクリコクリしたところもありましたが(^^;。でもやはり通し狂言の通し観劇は良いものですね(^^)

 歌舞伎をあまりご存知でない方は、忠臣蔵の登場人物と名前が違う!と思われるかもしれませんので一応説明。江戸時代に赤穂浪士の討ち入り事件が起きた後に人形浄瑠璃や芝居になったのですが、そのままの名前で上演すると、まずいので(幕府が・・・・)時代を鎌倉に移し、登場人物の名前も違います。たとえば、大石内蔵助→大星由良之助など。

大序・鶴岡社頭兜改めの場
 まず、開演前に口上人形が配役の紹介。前に本で開演前(だから11時より前)に口上人形があると思ったのですが、所定の時間からでした。見ることができない人もいるからかしら?!「エヘン!」というのが面白いです。幕開きも四十七士にちなみ、柝を四十七回打ち、それぞれの役の紹介(?)が竹本によってされると、動きが人形ぽく儀式性が高いので、「これから通しを見るんだ!」という気分になります。そして、いかに歌舞伎で忠臣蔵は大切な狂言かというのもわかります。
 憎たらしいはずの高師直(いわゆる吉良ですね。)も富十郎さんが演じると、憎たらしいだけでなく、人間性あるといいましょうか・・・(笑)三段目もそうですが、色と欲が好きなじいさんという・・・。桃井若狭之助の吉右衛門さん、ああいう血の気が多いような役が似合うなぁと思いました。塩治判官の菊五郎さんはここではひたすら仲裁役であまり目立たないので、次への刃傷へ繋がります。ここでは登場人物の衣装の色がそれぞれの役柄を表していて、視覚的に面白かったです。

三段目・足利館門前進物の場
    同 松の間刃傷の間


 以前見た九段目に繋がりました。桃井若狭之助の家老の加古川本蔵が、高師直に袖の下を贈ったので、怒りの矛先が若さ之助から塩治判官に向けられて、刃傷に及ぶので。賄賂をもらったから若狭之助の態度が変わったのと、顔世御前に振られて、塩治判官をねちねちいじめる嫌な感じの富十郎さんが良かったです。松の廊下の刃傷・・・「殿中でござる!」は有名ですよね。私・・・これでなくても思いますが、武士が二度も老人を斬りつけておいて、殺せなかったのかと忠臣蔵を見る度にいつも思います。(突っ込んではいけないかもしれませんが・・・^^;)


四段目・扇ヶ屋塩治判官切腹の場
     同 表門城明け渡しの場


 入場制限があるくらいの場面なので、やはり一番重い場です。切腹するまでもそうですが、それからも・・・・長い・・・・。緊張感がありますが・・・。すみません、これ菊五郎さんというか・・・塩治判官がいなくなってから記憶が・・・(T-T)
 ここの場面で私が一番良いと思ったのが、梅枝君の力弥が良かったです。綺麗で品があって、所作もとても綺麗で・・・。さすが時蔵さんの息子さんと思いました(^^)これからも注目しようと思いました。

浄瑠璃『道行旅路の花婿』
 全体が重い昼の部の最後を飾るのは華やかな舞踊。梅玉さんと時蔵さんコンビはちょっと地味な感じはあるものの、桜と菜の花と富士山の舞台がとても素敵ですし、晴れやかな気持ちになりました。時蔵さんの腰元お軽素敵でした!!翫雀さんの鷺坂伴内もコミカルで、幕を自分が引っ張りながら引っ込むのが面白いです。

 しかし・・・昼の部は三階で見ましたがさすがに疲れました。観劇前から疲れていたのもあったんですけど・・・。この後、夜の部までちょっと外でお茶をしていました。夜の部の感想はまた後で(^-^)

亀治郎の会 in しずおか

2006年08月14日 | 歌舞伎
 ふとしたことからチケットが舞い込んできて、8月12日(土)18時半公演を観劇してきました。京都や東京で開催されている「亀治郎の会」ですが、今回は静岡でも開催されました。
 会場は東静岡グランシップ中ホール。ロビーでは、亀治郎の会がきっかけで亀治郎さんを撮り続けている静岡県(富士宮)在住の写真家、長塚誠志さんの写真展もありました。(もちろん被写体は亀治郎さん。)

口上
 もちろん亀治郎さんお一人です。亀治郎の会を静岡で行うことになった経緯を述べられていました。静岡新聞で亀治郎さんの連載があったのがきっかけで、最初は社交辞令で「やりましょうよ!」と言われたと思っていたけど、あれよあれよという間に現実に・・・と仰っていました。これからも静岡で亀治郎の会があるのでしょうか?!

歌舞伎入門
 これが、面白かったです。上村吉弥さんによる解説だったのですが、入門といえど、初心者の方でもかなり歌舞伎を見ている人でも楽しめた内容だと思います。私はこういう歌舞伎入門講座とかがある公演に行ったことがなかったので、いろいろと面白かったです。
 まず普段は見ることができない黒御簾の中の大太鼓を出してきて、実演。演奏は田中傳左衛門さんでした。歌舞伎の効果音である風の音、雨の音、雪の音などを演奏しながら、吉弥さんが演技していました。こうして普段の公演では当たり前に感じていることもこうして改めて見たり聴いたりすると、改めて歌舞伎の音のすごさに気づいたり・・・。あとは附け打ちの効果音についても実演がありました。
 そして、立ち回りは、お客さんの中から4人舞台に上がってもらって、実演がありました。私は内心どうしよう・・と思ったけど、見ていました(笑)これも面白かったですよ。

長唄 『鷺娘』
 口上で亀治郎さんが「静岡でしか見ることができない鷺娘をします」と仰っていたので、何だろう?と思っていましたが、すごかったです。白無垢は鷺っぽかったし、引き抜いて赤い振袖になるのも可愛いらしいです。亀治郎さんの娘姿はやはりかわいらしいです。かわいらしい中にも情熱的です。
 そして鷺の精になり、静岡でしかない演出というのが分かりました(笑)なんと・・・・
客席に雪が降ってきました!!!
 開演前にひらひら紙の雪が上から落ちていたので、お友達が「客席に降るのかしら?」と言っていたのですが、まさかそれが現実になるとは思っていませんでした(笑)しかもすごい量!!でも雪を降らせる機械のブオーンという音がちょっとすごくて、お囃子の音を掻き消すくらいの勢いだったので、それはどうかと思いましたが・・・。私の席は一階の一番後ろで、二階席が頭の上にありますので雪は降ってきませんでしたが、客席にも降る雪が余計幻想的でした。(振られていた人はどうかは分かりませんが^^;。)
 最後は玉三郎さんバージョンと違って、見得で終ります。その時にも舞台に向かってドドーンと雪が(笑)すごいです。さすがおもだかの血を引く亀治郎さん!と思いました。
 カーテンコールもあり、とても盛り上がりました!!!

 客席が明るくなり、後ろから見ると、お客さんの頭に雪が積もっているのがよーく分かりました(笑)着物の人・・襟に入っていないかな?(^^;。亀治郎さんの今後の活躍が楽しみです。また亀治郎の会inしずおかはあるのでしょうか?!そちらも楽しみです。

七月歌舞伎座夜の部『山吹』『天守物語』

2006年07月30日 | 歌舞伎
 玉三郎さんによる泉鏡花強化月間(withおもだか屋&海老蔵)の7月歌舞伎座。帝劇の帰りに、立ち見覚悟で幕見に並んで見てきました。幸い『天守物語』は座ってみることができました。立ち見は5年ほど前の『末摘花』(勘三郎さんの末摘花に玉三郎さんの光源氏)以来。さすがに疲れました・・・^^;

『山吹』
 幕見だからでしょうか?!でも幕見も何回もしていますが、台詞が全く聞こえてきません・・・。注意深く聞いているのですけど、それでも全然聞き取れなくて・・・。特に藤次の声が・・・。ずっと立っていたので疲れる→聞こえない→分からない→疲れる・・・の悪循環にはまり・・・
 疲れましたが、それでも不思議で美しい雰囲気を味わえました。話は難解でしたが・・・。笑三郎さんの縫子はとても素敵でした。段治郎さんは、歌舞伎座ではかなり珍しいシャーロック・ホームズのような洋装でした。珍しいものを見ました・・。(大正時代の話です。)


『天守物語』
 こちらは映画で何度か(レンタルでですけど・・・)、そして3月末の朗読会で玉三郎さんおひとりによる『天守物語』を鑑賞しました。(その時の感想の記事はこちらからどうぞ)歌舞伎を見始めてから=玉三郎さんのファンになってから念願の生舞台『天守物語』です。
 舞台はやはり幻想的で、最初の“釣り”の場面から非日常・間界な世界に誘い込まれます。簑を纏った富姫さまは美しすぎます。「案山子から借りてきたのだよぉ〜」「誉められてちと重くなった。」色っぽい・・・。幕見なので、オペラグラスで見つめっぱなしです・・・。富姫は間で幻想的な存在でありながら、お百姓さんのこと、武士のことなどリアリスティックに見つめている存在でもあると思いました。
 前半は亀姫たちとの楽しい場面。亀姫は春猿さん。赤い振り袖が可愛いです!!首などちょっとグロテスクだったりしますが、舌長婆(門之助さん)の長い舌で首をなめ回すシーンは面白いです。亀姫との関係は、ちょっと妖しくもあるけど、とても面白かったです。

 そして後半は図書之助(海老蔵)との恋模様を描きます。富姫の「涼しい言葉だねぇ」「帰したくなくなった・・・」という言葉に相応しい海老蔵の図書之助です。麗しいし、綺麗!!!いつも感じるような台詞の違和感などはあまり感じませんでしたし、とてもぴったりでした。
 二人の目が見えなくなってから、死を決意し、そして再び目が見えるようになり明るくなるシーンは、ものすごく幻想的で綺麗でした。
 非人間的世界と人間世界の交わり、不思議さ、美しさを感じた『天守物語』でした。朗読公演では、鏡花作品の言葉の美しさを感じ、今回のこの舞台では、視覚的な美しさも感じることができました。また原作を読み直してみようと思います。(『山吹』も読まないと・・^^;。)

六月大歌舞伎 昼の部

2006年06月21日 | 歌舞伎
 20日の昼の部を見てきました。お目当てはもちろん『荒川の佐吉』です!!5年前に上演された時にも見ていますが、その時に初めてこの演目を見て以来の鑑賞、そして大好きな作品です筋書は20日ともなれば舞台写真入りかなと思っていたのに、入っていませんでした。次の日からだったみたいで・・・うー残念。私は写真入りが欲しいから楽近くにいつも行くのに・・・。

『君が代松竹梅』
 長唄の舞踊です。昨年に玉三郎さん一人のバージョンとだいぶ前に愛之助さん、進乃助さん、信二郎さんという3人とも立役バージョンを見ましたが、今回は孝太郎さんが竹の姫君という姫が入るパターンです。華やかな舞踊です。で、、、愛之助さんが素敵です!!麗しい!!
 途中、能の『羽衣』みたいな歌詞を聞き取れたのですが、筋書をみたら天女が舞い降りた三保の松原に因み「駿河舞」を舞うとありました。こんなところにも『羽衣』がありました。『羽衣』について調べてみると面白そうだなと思いました。

『双蝶々曲輪日記〜角力場』
 初めて見ました。高麗屋親子共演です。江戸時代は芝居も相撲も庶民の娯楽だったんだよなーと改めて感じました。染五郎さんは放駒(相撲取り)と与五郎の2役。なんかかわいいお相撲さんでした。与五郎は与三郎みたいな拵えで、いかにもぼんぼんというのが似合っていました。

『藤戸』
 今年2月にお能の『藤戸』を見るつもりでしたが、事情で見に行けず、元ネタは見たことがないままこちらを見ました。吉右衛門さんの作った創作舞踊です。初演は宮島の特設舞台、今回は松羽目の舞台です。
 この話は源平合戦の際、佐々木盛綱が漁師から馬で渡れる浅瀬を聞き出し、口封じのために盛綱が漁師を殺してしまった・・・。というお話です。前シテは漁師の母。吉右衛門さんの女形を見るのはたぶん初めて(^^;。盛綱に訴える姿が哀れみを帯びていて、想像していたよりも良かったです。
 そしてびっくりしたのは後シテです。確か能の方は地味なので、そういうおどろおどろしいものをイメージしていたら、なぜか龍神と合体しています!!藤戸の悪龍となってしまったようです!!頭に龍のっけてるし、青い隈取りが迫力ありすぎ!ちょっと『船弁慶』が入っています。ちなみにお能の後シテの画像はこのページの下の方にあります。
 盛綱との戦いが派手で・・・。それはそれで迫力があったし、工夫なんだと思います。だけど、お能の方は見たことないけど、地味なのを想像していたため、漁師の霊が龍神になっているというのがびっくりで唖然としてしまいました(笑)でもかっこよかったですけど。


『荒川の佐吉』
 これが一番のお目当てです。仁左衛門さんの当たり役の中でもわたしが大好きな役の一つです。前に見たときと多少演出が変わっていました。清五郎は冒頭、茶屋の前で殺されていたし。その時、お八重(前回は菊之助さんでした)にお守りを渡されていたかな、確か。)今回は前より一場増えて、見舞いに来た成川(段四郎さん)を殺そうとして返り討ちにされます。この場面の冒頭、愛之助さん扮する清五郎が座っていますが、3階から見ていたのですが、普通に仁左衛門さんと間違えました(笑)なんであんなに似ているんだろうね。で、愛之助さんは出番が短かったけど、とてもよかったです!!
 
 次の場面でおちぶれた仁兵衛が娘の子供の卯之吉を預かってくる場面から、もう目がウルウルモードそして、胸はドキドキ(笑)仁左衛門さんは、ご自分でも子供が好きと仰っていますが、本当に好きなんだろうなぁと感じました。あと、30過ぎではしかのおすそわけ・・・という台詞に客席は笑っていたけど・・・私は23ではしかになったので笑うに笑えず。はい、本当に大人になってからのはしかは死ぬかと思ったほど辛いですから・・・・。と横道に逸れましたが、子守歌を歌ってあげたり、実の親子以上にいっぱい愛情を注いでいる佐吉の姿にほんわかモードになってしまいます。ていうか自分も子供好きだから、子供好きな男性には弱いのかも(^^;。
 染五郎さんの辰五郎は人のよいあんちゃんという感じが良く出ていました。孝太郎さんのお八重は、ちょっと大人っぽいけどやっぱまだ子供で、プライドを捨てきれない感じでした。菊五郎さんの相政の親分もかっこよかったです。駕篭から出てきた姿のかっこよいこと!!卯之吉の母親お新も前回と同じく時蔵さん。前回よりも、子供を手放してしまった悔いや辛さが伝わってきました。佐吉が泣く泣く卯之吉を返すことを決心したところで、卯之吉がかけよって「ぼうはどこかへ行くの?おとうちゃんは一緒じゃないの?」で分かっていても涙が止まりません・・・。桜が咲き誇る朝日の中旅立つ佐吉の姿は、悲しい別れでなく、爽やかな旅立ちでした。やっぱりこの話、大好きです!!

『伊勢音頭恋寝刃』幕見

2006年04月22日 | 歌舞伎
 有明から新橋まで再びゆりかもめで。妹と妹の友達は久々の再会ということもあり、お台場で遊んでいたようで。私は友人と一緒に新橋から地下鉄で銀座へ。銀ぶらして、時間も余裕でしたので、幕見をすることにしました。その前に5時頃、やっと昼食兼夕食にありつきました(試合中にご飯食べるのも途中抜けも嫌だし、飴で空腹感をしのいでいました・笑)歌舞伎座すぐ横の「you」のオムライスです。おいしかった!!幕見に並ぶ前に、歌舞伎座の中に入れて貰い、舞台写真や筋書を購入しました。

 はい、幕見した夜の部のお目当ては仁左衛門さんの貢さんです。お人好しの「ぴんとこな」から狂気にとりつかれる貢さんは素敵です白絣の着物がなんて似合うのでしょう。話の筋は、つっこみどころはあるものの(早く、刀身を確かめればよかったのに等)歌舞伎は理屈でつっこんではいけません(^^;。

 福助さんの万野は意地悪っぷりとコミカルなところが良かったです。貢に切られて倒れるところは、八ッ橋が切られるところを思い出しました。そして、時蔵さんのお紺さん素敵すぎ!!私、時蔵さんの粋な遊女(芸者)姿が大好きなんです!!あのすっきりとした柄がとてもお似合いだと思うのです。今回のお紺さんもとても素敵で艶やかで・・・縁切りの場面は、「嘘」だと分かっていても、辛そうなところが良かったです。

 そして人斬りまくりの仁左さまの表情が素敵すぎる!!!写真は刀を持って血塗れになっているところを思わず買ってしまったくらいです(笑)奥庭へ場面が変わり、「ひとごろしー!!!」の声がし、障子を破って仁左さまが登場!!!ああ、格好良すぎです。歌舞伎独特の残虐美というものを改めて感じました。写真も血塗れで刀を持っている写真を買ってしまったくらいですから(笑)
 
 幕見でも、仁左さまの伊勢音頭をみることができて良かったです。歌舞伎初めての友人も「面白かった!」と楽しんでもらえて良かったです。松竹座の愛さんの貢はどうだったのかな?そちらも気になりました。

 今月の歌舞伎座は歌右衛門丈追善と、松江&玉太郎襲名。松江というと、どうしてもまだ魁春さん=女形のイメージが強いので、ごっちゃになってしまいます^^;。が、新松江像を作っていって下さい!!

三月大歌舞伎・十三世片岡仁左衛門追善

2006年03月25日 | 歌舞伎
 十三代目さんの十三回忌追善興行の歌舞伎座公演昼の部へ行ってきました。お目当ては当代仁左衛門さんの菅丞相の『道明寺』です。私は十三代目さんの存命中にお舞台を拝見したことはありません・・。ですが、とても素敵なお人柄に惹かれる一人です。松嶋屋揃い踏みの舞台なので楽しみにしていました。お席は一階の7列5番(花道のすぐ脇)という最高のポジション。私なんかのような者がこんなVIP席に等しいところの切符を頂いてよいのだろうか?と何度も思い、「それは間違えて手配したので返して下さい」なんて夢にまで見る始末。(正夢にはならなかったけど〜・笑)花道ブロックで観劇したことはあるけど、花道のすぐ脇は初めてだったので、本当にドキドキわくわくでした(笑)この日は友人(小学校&高校の後輩)と一緒に観劇しました。気合いを入れて着物で行きましたら、友達には「気合い入りすぎ!」と言われました(笑)

『吉例寿曽我』
 初めてみました。短いけど曽我物らしい一幕です。けど、曽我兄弟は印象薄(爆)やっぱり愛之助さんです♪花道からは進之助さん。横顔が十三代目さんに似ているかな?と思いましたが、正面から見るとやっぱり我當さんに超そっくりです。そして愛之助さんは白塗りすると仁左さまそっくりなのが不思議です。(誰かの血が混じってるんじゃ?と常に思う・・・)この二人の階段での立ち回りが面白かったです。がんどう返し・・すごいなぁ・・・と思いました。次の場面では、だんまりが豪華。友達は芝雀さんファンですが出番がほんの少し・・とも嘆いていました・・・。でも素敵でしたね。

『吉野山』
 福助さんの静と幸四郎さんの忠信です。私、歌舞伎を見始めた学生の時にこれを見て、「鼓って狐の皮でできているんだ」と思っていまして・・・、初めて鼓を触った時先生に「何の皮でできていると思う?」と聞かれ、思いっきり「狐ですか?」と答えました(爆)狐の皮のもあるのか知りませんが、一般的には「馬皮」です。そして鼓をお稽古している人間としては、「あんな風に鼓を転がしたら、滅茶苦茶怒られるだろうなぁ」と、だけどそんな風に思ったら芝居見られないわとも・・・(苦笑)、無駄話が多くなりましたね^^;。
 花道の福助さん、まじまじと観察。衣装とかも素敵!幸四郎さんの忠信は貫禄ありすぎて、あまり狐っぽくなかったかな?!藤太が出てきてからがパッと明るくなりました。荒川静香がイナバウアーってネタがありました。

『道明寺』
 前回見た時は4年前の菅原の通し。今回は『道明寺』のみの上演です。通しで・・というか筆法伝授がついていた方が分かりやすいとは思うのですが、これだけでもとても良かったです。4年前と苅屋姫、宿彌太郎以外はほぼ同じキャストでした。(ちなみに苅屋姫は玉三郎さん)
 仁左さまの菅丞相は、4年前よりも神々しさを感じました。4年前のは人間ぽさを感じたので・・。前見た時もそうですけど、木像の菅丞相が印象的です。やはり、これを演じるには精進潔斎をされて臨まれるんだな・・・と感じる場面です。苅屋姫との別れの場面では、もらい泣きしてしまいそうになる・・・。前回見た時は、同じ7列でも上手側だったので花道の涙は見えませんでした。ですが、今回はバッチリ拝見。仁左さま号泣でしたよ目の前であの涙を見たら、いろんな意味で心がきゅんとなりました・・・。前回は玉三郎さんの苅屋姫ももちろん素敵でしたが、あまり親子っぽくなく恋人っぽかったです。しかし、今回は孝太郎さんでしたので、玉三郎さんの時よりは親子感は強かった。(当たり前か・・・^^;)
 その他では芝翫さんの覚寿と秀太郎さんの立田、そして富十郎さんの判官代輝国が印象的でした。
 
 今回はとても良いお席で見ることが出来て良い思い出になりました。特に仁左衛門さんの菅丞相の涙。目の前での演技に大感動でした。また、仁左さまの菅丞相を何年後かに拝見したいです。(その時は渋いけど、菅原の通しで是非・・・)

  

 左は、歌舞伎座入り口すぐの所にあった十三代目さんのお写真。二階ロビーにもたくさんの写真が展示されていました。『荒川の佐吉』の親子共演見たかったなぁとかいろいろ思いました・・・・。これからも松嶋屋さんのお舞台を楽しみにしています!!

熊谷陣屋(歌舞伎座顔見世)

2005年11月22日 | 歌舞伎
 幕見で『息子』『熊谷陣屋』のセットを見てきました。もちろんお目当ては仁左衛門さんの熊谷です。

『息子』
 登場人物が3人の短い台詞劇です。これは思っていたよりも良かったです。(正直あまり期待していなかった^^;)でも新歌舞伎(といのか?)独特の効果音は元々あまり好きじゃないのですが、、雪の降る風の音の「ヒュ〜〜」というのってちょっと苦手だな^^;しかもシンプルな舞台だっただけに。雪の中の小屋が舞台で、なかなか良かった。

『熊谷陣屋』 
 初めて仁左衛門さんの熊谷を見ました。前から見たい見たいと思っていましたが、やっと見ることができました。(襲名の時は見ていないので・・・)熊谷は腹が難しい役だなぁと思います。前半は「敦盛」との戦の様子を語り、首実検は我が子の首を敦盛として義経に見せる。妻の相模も、敦盛の母も表向きは敦盛ということで、小次郎の首と対面する。わがこの首を、相模に渡す熊谷の胸中はやりきれないものがあるでしょうが、これが親子三人の最後の姿・・・。我が子の首を抱きながら嘆く相模がとても悲しいです。熊谷も出から、悲しみをぐっとこらえている・・・。生きながらにして修羅の苦しみを味わっている・・・。出家して、陣屋を後にする幕外の演技は、幕見だからあまり見えなかったが、涙をいっぱいの目に、、、私もうるっとしてしまった・・・。
 仁左衛門さんの熊谷は、やはり実も花もあると思いました。(贔屓目多いにあり・笑)首を差し出すところ、制札の見得なんかゾクゾクものである。そして、やはり涙にこちらもうるうるとしてしまうのですよ・・・。
 そして、藤の方の秀太郎さんも良かったです。私、女将だけじゃなく、こういう渋い役の秀太郎さんも好き。雀右衛門さんも良かったですが、所々動きに不安が(爆)愛之助さんは・・・とても仁左衛門さんに似ていた堤軍次。いつか愛ちゃんの熊谷も見てみたいと思いました。左團次さんも、前に見た時と同じく弥陀六。こういう役はもうぴったりですね。梅玉さんの義経は気品ある、頭が良さそうな義経でした。

 この幕の後、食事をして、歌舞伎座のおみやげ屋さんに寄りました。熊谷の舞台写真(首桶を持っているのと、制札の見得)二枚と、仁左さまカレンダーを買ってしまった(爆)いやぁ・・・どうしようかなぁと思ったのですが、三五郎のあまりにの色っぽさにやられました(^^;

九月大歌舞伎『勧進帳』幕見

2005年09月17日 | 歌舞伎
帝劇→松屋銀座→歌舞伎座と徒歩で流れて幕見してきました。松屋のデパ地下でおにぎりを買い、いざ観劇と相成りました。さすがに三連休初日の土曜日は満員御礼でした。私は何とか座ることができました。やっぱり播磨屋さんの弁慶は人気です。

幕見は遠く、ちょうど斜め前の人で舞台真ん中が見えにかったですが
(花道は言わずもがな・・・・)
それでも、吉右衛門さんの弁慶は素敵でした。
力強くて、情と知恵がある吉右衛門弁慶でした。
義経の福助さんも良かったですよ(^^)綺麗だしね。
富樫の富十郎さんも口跡が爽やかで良かったです。
太刀持ちには児太郎君。ああいう風に動きがないのは大変だけど、
でも、良いお勉強になることでしょう(^^)

最後の飛び六法ははっきりいって最初の方しか見えず・・・
引っ込みは音を聴いて楽しんでいました。

東銀座から地下鉄で新橋へ。そこから在来線で帰りました。
小田原まで快速。新幹線はこだまを待たなくてはならず、
たった20分早いだけ。鈍行も結構良いもんだ。

二代目松緑の『達陀』(DVD)

2005年09月03日 | 歌舞伎
 図書館にあったので、借りてきました。
昨年3月の歌舞伎座で菊五郎さんの僧・集慶、菊之助さんの青衣の女人で見ました。とても面白かったお坊さんダンスというイメージ(笑)だったので借りました。このDVDは昭和45年、NHKスタジオで収録されたもの。(割と、こういう形で残っている映像って多そう・・・)

 僧は二代目松緑、青衣の女人は菊五郎さんでした。松緑さんは、私は映像で見るたびに、生で拝見したかったと強く思う役者さん。勧進帳の弁慶なんか、すごく格好いい。そして、何より口跡が素敵。今、改めて見ると、團十郎さんと吉右衛門さんに似ているなーと思ってしまう。(叔父・甥の関係ですよね、忘れがちだけど。目が似ている・・^^;)
 菊五郎さんは、若い!細い!綺麗!!情報なかったら分からなかったと思う・・^^;

 スタジオ撮影の利点と言いましょうか、回想場面の二人の踊りが印象的です。そして、僧侶の一人で三代目を追贈された初代辰之助さんもご出演(ややこしい・・・)この方も私は生で拝見したかったと思う役者さん。

東大寺二月堂のお水取りをテーマとしたこの舞踊はやっぱ面白いですね。お経を読む松緑さんの声は渋すぎ!!(謡を謡ったら素敵そう!!と妄想・・^^:群舞は私も思わず踊りたくなってしまいます(笑)

歌舞伎名作DVD、また借りてきたいと思います。

『新口村』(VTR)

2005年08月19日 | 歌舞伎
やっとこさ、先日放送された『新口村』の録画を見ました。
(遅いよ・・・^^;)
染五郎が忠兵衛のもので、6月に上演されたものです。
私も以前、仁左さまの孫右衛門で見たことがありますが、
その時は、忠兵衛との2役でした。(早変わりで)
この時は、代役(?!)の忠兵衛が愛之助で、そっくりぶりに騙されたもんでした(笑)

仁左さまの孫右衛門だけという新口村は初めて見ました。
やっぱり、こっちの方がしっくり来るようになってしまったのでしょうか?
(数年前までは、まだ孫右衛門だけというのは・・・と仰っていました。)
いつまでも若々しい仁左さまですが、枯れた芸はこれから楽しみですかね?
(若々しい役も、いつまでも見たいものですけど。)
やっぱり、情愛に満ちあふれた孫右衛門でした。

以前見た時は、昼に「封印切」夜に「新口村」があった。
昼の雁治郎忠兵衛相手の八右衛門は富十郎さんの代役で仁左さまでした。
妙に、この仁左さまの八っさんが気に入ってしまったのを思い出します。
また「封印切」の放送してくれないかなー?!