みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
心に留まった風景など
私の好きなことを綴っているブログです♪

『レ・ミゼラブル』(中日劇場)

2006年03月07日 | ミュージカル
 名古屋公演3月5日マチネを見てきました。前日は発表会に参加し鼓を打たせて頂き、翌日は同じ時に名古屋で『レミゼ』が上演されているし見たいな〜と思って都合良い日程でご贔屓の山口祐一郎さん出演日に当たったので、チケットを予約し観劇してきました。名古屋でお芝居を見るのは初めてなので、もちろん中日劇場も初めて。へぇ、9階に劇場があるのですね。でも行き帰りのエレベーターが混むのでちょっと不便・・・^^;。遅れてしまった人もいないか心配になります。ほぼ一年振りの『レ・ミゼラブル』です。CDも封印して(正しくは、何かを聴く時は、本番が近いので、必死にお稽古の録音したものを聴いていた。という・・・。)この日に臨みました・・とは大げさか(^^;。私の席はケチってA席にしたのですが、2階10列真ん中通路側。一番後ろですが、見やすかったし、後ろに誰もいないのも気を遣わなくてよいかも。
 
 まずは全体の感想をば。冒頭の「♪ジャ、ジャーーン、ジャージャジャーン♪」の音楽はやはりゾクゾクと鳥肌が立ち、一気にレ・ミゼの世界に引き込まれます。そして、今まで帝劇の一階席でしか見たこと無かったのですが、今回初めて2階席で上から見るのも良いものだなぁと思いました。全体の動きをよく観察できますし。(役者さん観察はオペラグラスで・・・^^;)あと、お客さんはお子さん連れが多かったし、ノリが良かったかも。いつもテナルディエの酒場の歌や結婚式のところで手拍子起きたし。(東京でもあったっけ?と思ったけど、なかったような・・)そして、やはり2幕は涙流れっぱなしでした・・・てか、今回は司教様の銀の燭台のエピソードでもきたんですけどね・・・。特にガブローシュの死とバリケード陥落の場面からラストまでは止まらなかった・・・。愛と許し、バルジャンの負い目と変わりたいという気持ち、誰かを幸せにすることの意味というものを今回は深く考えるようになれたかな・・・?

 さてお目当ての山口バルジャンですが、相変わらずの歌声に惚れ惚れだけど、相変わらずの手足の固定された角度と動きに目がいっちゃうけど・・・。きっと歌いやすい姿勢なのかな?と思います・・・。で、今回はパパ度がアップしていたように思いました。コゼットを引き取って、例の抱っこでグルグルする前に「おいでっ!」と笑顔で抱き寄せて・・・すごい愛情を感じたのですよね。例のコゼットクルクル回し(?)は激しかったです(笑)その時ほど「ああ、リトル・コゼットになりたいわ・・・」と思うのですが・・・とっくに年齢はオーバーしていますが・・・(^^;。バリケードで『彼を帰して』の後の祈りにも涙。最初はマリウスに対しては複雑な気持ちがあたのでしょうが・・・必死になり傷ついた彼を助ける慈悲深さに涙です。コゼットとマリウスの二人を見つめる姿に胸がきゅんとしてしまいます・・・。やっぱり、祐一郎さんは優しいパパだなぁ・・・。それは、今まで犯罪者として過ごし、脱走して社会的地位を築いてからも抱き続けていた罪ほろぼしをどこかでしているというのもあるのでしょうけど、コゼットに対する愛情の深さはとても感動的です。最期、天に召される場面では神々しさすら感じました。「私は父じゃない」と告白して・・・だけど二人は強い絆で結ばれているし、きっといつまでも二人を見続けることでしょう・・・。

 お初の今ジャベールです。今まで岡さんのジャベールしか見ていないので、当たり前のことながら役者さんによる違いを楽しみました。岡さんは冷静でちょっと高貴というかプライド高そうなんですけど、今ジャベールは人間っぽさを感じました。そして非常に熱い男というか・・・(笑)とても細かい演技をする方だなぁというのが印象。『対決』では激しいぶつかり合いです。その時の警棒の持ち方がフェンシングっぽいなぁと思いました(^^;。で、バリケードでガブローシュに正体を見破られた時の「みつかっちゃった?」なんてちょっとまぬけな表情も人間臭かった。そして、捕まった後の「好きにすれば?お前らにできるのかな?」という開き直り態度と、バルジャンに解放され「殺せ!今すぐ!」と喉元をナイフで切る振りをするのが印象的でした。そして、最も印象的でしたのが、事前にはななさんに情報を教えて頂いていたのですが、バリケード陥落後にジャベールは死体を見て「バルジャン」を探すじゃないですか・・・で結局その中にバルジャンはいないですが、その後にバリケードで祈るんですよね・・・。ジャベールは警察だから、学生たちとは敵対する関係。だけど、一人の人間として沢山の学生たちの死という惨状に祈りを捧げているのかな・・・?と思い、かなり泣けてきました・・・。この祈りも人間ぽさを表しているし、後の傷ついたマリウスを見てバルジャンを逃がし、そして精神的に崩壊しての自殺に繋がると思うのです・・・。岡さんはプライド崩壊、今さんは職務と人間としての感情に悩んで精神崩壊という感じがするのです・・・。うん・・・今さん良かった。またジャベールという人間の奥深さを考えてしまいます・・

 ジャベールも「牢獄で俺は生まれた」と言っているので、親が犯罪者?(例え無実の罪であろうが)ですが、今は司法の側にいる人間。バルジャンと同じく過去の自分を嫌い変わろうとしている結果、悪を追放しようとしているのでしょう。それが神の御心だと。しかし、自殺して神を裏切ってしまう・・・(キリスト教では自殺は大罪)でも彼は悪人ではない。バルジャンにどのような理由や事情があろうと彼の目からは「脱獄犯」という事実しか見えない、だから追い続ける。けれども最期は神に召されたバルジャンとの違いは、彼は罪を犯した者は罰を受けるべきで、神の道を行くのは自分という考えで生き、愛、施し、許しということを知らなかったからなのでしょうか・・・?うーん奥が深いなぁ・・。

 その他キャストの感想をば・・・岡田マリウスは二度目の鑑賞ですが、安定していて、相変わらず優しい感じがとても素敵!!エポニーヌの気持ちに全然気づかない天然君な感じですし(笑)誠実で、コゼットが好きになり、バルジャンが安心してコゼットを預けられる!と思えるマリウスです。『カフェ・ソング』では、自分だけ生き残ってしまていいのだろうか?と苦悩する姿に涙・・・。河野コゼットもおそらく二度目。上品なお嬢様といった感じ。エポニーヌはお初の新妻さん。かわいいな〜。なんか元気いっぱいな感じ。でも打たれた傷をあんなに見せたっけ?とふと思いました。学生メンバーでは、評判通り岸アンジョルラスがかっこよかった!!戦隊物でレッドをやっていたらしく、まさにぴったりの赤チョッキのリーダー、レッドです!!(笑)前に見たアンジョがちょい地味だったから、リーダーはかくあるべし!!なんて余計にそう思ったのかも(^^;。
 ファンティーヌの井料さんは二度目。美人なんだけど・・・歌声が以外と低い?オペラ座のクリスティーヌ(CDだけですけど・・・)よりも低いような?だから、いまいち見た目に比べて儚げが足りない・・?!初めてみた時の高橋由美子さんのを見たくなってしまうのよね・・・。
 テナ夫妻は佐藤さん&瀬戸内さん。どちらもお初に観劇。前回見た徳井&森くみさんはノミの夫婦でしたが(笑)今回は意地悪夫婦?!常にがめつい感じです。でもさすがWAHAHA本舗団長佐藤さん・・結婚式のメイクやばすぎだし(笑)瞼に目を書いているし(笑)

 カーテンコールは数えるのを忘れましたが、何回もありました。今さんとのがっちり握手が印象的でした。引っ込む時の山口さんの走り方(小走り)がやっぱりカクカクって感じで可愛いです(笑)最後はリトル・コゼット、リトル・エポニーヌの真ん中に立って、ガブローシュ君もすぐ隣にいたし、完璧に保護者でした(笑)リトルコゼットとの演技でも思いますが、きっと山口さんは本当に子供が好きなんだと思います。で、やはり拍手が鳴りやまない時は祐一郎締めです(笑)この日は、そんまま両脇にリトルコゼット&エポニーヌと手を繋いで、何度もお辞儀していらっしゃいましたほのぼの〜♪

 今回も改めてレ・ミゼラブルは素晴らしい作品だと感じました。日本と文化の違う国の作品ですし、きっと奥深い宗教的メッセージがあると思いますが、でも国境を越えた普遍的なものがあるから素晴らしいし、ずっと愛されるのだと思います。いつかウエストエンドで見てみたい作品です。