吉良吉影は静かに暮らしたい

植物の心のような人生を・・・・、そんな平穏な生活こそ、わたしの目標なのです。

吾妻ひでお『失踪日記』イースト・プレス/2005年5月18日第6刷発行

2018-05-18 06:32:12 | 紙の本を読みなよ 槙島聖護
 私の愛読書を紹介します。


※吾妻ひでお『失踪日記』・・・『全部実話です(笑)』と書いてあるのが凄い(私小説マンガ!?)。
 表紙はホームレス生活中にあたりが一面の銀世界に変貌した日の朝を描いたもの。

 世間では『逃げちゃダメだ!』というらしいけど、本当のところ『逃げても生きていけるンだ(笑)』と気づかされる本。本当にダメだったら逃げてもイイんです!

 売れっ子漫画家をやっていた著者が、締切の重圧に耐えきれず失踪()ホームレス生活に転落する(極端だなあ・・・)。
 警察に保護されるまでを描いたのが第1部、再度の失踪とガス工事のアルバイト生活を描いたのが第2部、アル中になって病院に強制収容された経験を描いたのが第3部。けっこうヒサンな現実なんだけど、絵がホノボノとしていて笑えます(ちょっとだけ救いもある)。

 ご本人は現在食道癌の治療中だとか、ご回復をお祈りします。

 TOKIOの山口クンで有名になったアルコール依存症ですが、この本ではその症状と治療が詳細に紹介されています。

 特にアル中が進んで禁断症状で幻覚を見るようになったときの描写は(もともとファンタジー漫画を得意としていただけあって)圧巻!鬼気迫るものがあります。経験者でないと描けないマンガです(経験したくナイけど・・・)。

 以下第3部『アル中病棟』から抜粋。


※だんだん酒の力に頼る頻度が増えていく・・・。


※ついに強制入院(見かねた家族が手続きをする)。


※アルコール依存症は不治の病。


※みんなの力で断酒しようとセミナーで宣言する。


※でもスグ飲んでしまう。

 でも読み終えると不思議に『生きてさえいりゃ何とかなる』と思えてきます。生きる元気を貰える本です。
 続篇で『アル中病棟(失踪日記2)』も出ています(これも持ってる)。