吉良吉影は静かに暮らしたい

植物の心のような人生を・・・・、そんな平穏な生活こそ、わたしの目標なのです。

NHKスーパープレミアム『八つ墓村』・・・10/12(土)午後9:00~放映

2019-10-15 07:35:06 | 映画・ドラマを観て考えよう

 最初に・・・台風19号で罹災された皆様には心からのお見舞いを申し上げます。

 さて、久々の金田一耕助が登場するスペシャルドラマの登場です。
 台風19号が襲来する中『ちゃんと映るのかしらン?』と思いながら観始めたヒトも多かったのではないかと思います(被害に遭って『それどころぢゃねーよ!』という方も多かったことと思います。ゴメンナサイ⤵💦)。


※NHKスーパープレミアム『八つ墓村』・・・10/12(土)午後9:00~放映

 で、様々な悪条件の中放映されたこのドラマ、出来は『予想外に良かった!』のでした。
 これまで映像化された中では、最もキチンと犯人の動機と連続殺人の筋立てがキレイに説明されていた1本ではなかったかと思います。
 
 これまでの作品はどちらかといえば『たたりじゃー!』のセリフに代表されるように『惨殺された八人の落武者の祟り』に焦点が絞られて『いかにおどろおどろしい恐怖を盛り上げるか』に重点が置かれていました。

 今回のドラマは『えー!?このご時世に祟りなんてバッカバカしい!』という考えが根底にあって『祟りの伝説を利用しようとしたドロドロの愛憎劇』に仕上がっているところが、新しい解釈で良かったのでした。

 と、いう訳で濃茶の尼が叫ぶお馴染みの『タタリじゃー!』という台詞も、明るい日中に聞くと全っ然怖くナイ。完全に『何だ!?この気〇い婆ァ!』ってカンジで、もはや風景に溶け込んでます。


※津山事件を熱演する音尾琢真(よく演った!これは手放しで褒めたい!)。

 さて見どころはもちろん『前半のヤマ場となる津山事件をどう演じてくれるのか?』ですが、今回はロングのショットを最後に使って淡々と描写していきます。『長閑な田舎の風景の中に乾いた銃声が響く』というカンジで『あっ!よく見ると事件あったンだ!』というくらいのイメージ。『人間の営みは自然の中ではごく些細なことである』と強く印象づける演出でした。
 観ながら私はピーテル・ブリューゲルの『イカロスの墜落のある風景』を思い出しました。


※ピーテル・ブリューゲル『イカロスの墜落のある風景』・・・悲劇は点景として扱われる

 後半の鍾乳洞のシーンは今回『祟りを怖れた村人たちがリンチに掛けようと主人公を追う』ことに重点を置き、結局は『祟りにおびえた村人たちの妄動』に終始させています。

 今回は犯人は洞窟の中で亡くなるのではなく、収容された病院で亡くなります。
 これにもちゃんとした『伝説の科学的な解釈』が持ち込まれて、あくまで明るい理性の光に照らされて事件は解決し、最後に國村隼がつぶやく『なぜ人は愛を求めるんですかね』という台詞が心に残ります。

 これは現代に即した新しい『八つ墓村』の成立です!

 ご覧になれなかった方は、再放送(↓「Data」に書いてます)を見逃さないようにしましょう。

 さて、少し気になった点は、

①説明的な台詞が多い:どだい2時間で『八つ墓村』を演じること自体に無理があるので、これは仕方のナイことだと諦めてください。

②不自然な台詞が多い:台詞に漢字が多いンです。具体的な台詞が思い浮かばないのですが、『愛していたんですね』を『愛情を抱いていたんですね』と言うような『日常の喋り言葉でない台詞』が多いのが気になりました。

③吉岡秀隆(金田一耕助)の演技はともかく声が耳障り()もっと発声を勉強した方がイイのでは?と思います(真木よう子はさすが無名塾崩れだけあって熱演)。


※吉岡秀隆(金田一耕助)はもっと発声の訓練を!

④磯川警部は最初に金田一耕助を『鬼首村の事件を解決した名探偵』と紹介するンですが、ドラマの最後に『亀の湯といういい温泉があるンです』と、これから『悪魔の手毬唄』に続くことを暗示する台詞も出てきます。あれ?時系列、どっちが先ナンですかぁ?

【Data】スーパープレミアム「八つ墓村」
初回放送 10月12日(土)午後9時~午後10時59分
再 放 送 11月17日(日)午後1時30分~午後3時29分

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4 コメント

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Unknown (rosegarden223)
2019-10-15 14:43:26
見逃しています。
原作を普通に読むと 角川事務所が 妙に色を付けているのが
分かるんですが
モバちゃんは さすがですね〜
NHKの作りは 横溝さんの原作に
忠実だったのでしょうね。

再放送チェックします。
返信する
コメントありがとうございます。 (管理人)
2019-10-16 08:27:52
今回の映像化は、実は全くミステリーにはなってナイんです。
だって犯人は・・・観るヒトはほぼ全員犯人を知っていますし・・・最初から実に怪しい(笑)。
これは『お昼に東海テレビでよくやってるドロドロの愛憎劇』と思って観るのがイチバンです。
でもイイ出来なので11月17日の再放送、ぜひご覧になってください。
返信する
祟り  (もののはじめのiina)
2020-03-08 12:07:59
また、金田一耕助ものが見直されているのでしょうね。
2月に劇場版「八つ墓村」を見てまいりました。2年前には 『犬神家の一族』を採り上げました。

新橋演舞場の方は、主役スキャンダルとコロナウイルスが影響して閉館に追い込まれました。
         まさか、落ち武者の祟りが遠因ではないでしょうね・・・。

返信する
Re>祟り (管理人)
2020-03-09 10:47:18
今回のNHK版はブログ本文にも書いた通り淡々とした描写に現代的な解釈(祟りなんかあるもんかい!)でなかなか良かったです。
-------🌟🌟🌟-------
新橋演舞場の公演は新派でしょうね。
これがどのような解釈であったのかはとても興味があります。
-------🌟🌟🌟-------
また、ご感想等聞かせてください。
今後ともよろしくお願いします。
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