SAM CARR'S DELTA JUKES / LET THE GOOD TIMES ROLL
今年も悲しいことに沢山のアーティストが逝ってしまいました。忌野清志郎とマイケル・ジャクソンの訃報には本当に驚き、しばらく呆然としてしてしまいました。
でも私にとって一番の喪失はスヌークス・イーグリンでした。大好きなギタリストでした。そしてエディー・ボーも。この二人のニューオーリンズ・レジェンドの死は悲しすぎます。
レス・ポール。学生時代ギタリスト志望だった私はストラトより断然レス・ポール派でした。
さらにピーター・ポール&マリーのマリー・トラヴァース。
ザ・フラミンゴス~ザ・デルズのテナー、ジョニー・カーター。
メンフィスの名鍵盤奏者にしてかのディキシー・フライヤーズの中心人物ジム・ディッキンソン。
スワンプやカントリー・シーンでの名演も光った西海岸の名キーボーディスト、ラリー・ネクテル。
ニュー・ロスト・シティ・ランブラーズのメンバーで60年代フォーク・リヴァイヴァルの立役者マイク・シーガー。
チェス時代のリトル・ウォルターをはじめ、70年代以降もボビー・ブランドやジョン・メイオールなど数々のセッションをこなした名ブルース・ギタリスト、フレディ・ロビンソン。
悲しいですね。「ルーツな日記」としてもとても無視出来ない方達が沢山亡くなられてしまいました。なのに満足な追悼記事を書かずじまいのうちに年を越えてしまいそうです…。そしてもう一人、個人的に大好きだったアーティストが亡くなられています。それはサム・カー。サザン・ビートはこの人にあり!って感じの南部ブルース・ドラマーです。9月21日、ミシシッピ州クラークスデイルの養護施設で亡くなられたそうです。心不全だったとか。享年83歳。
1926年ミシシッピ州生まれ。父親はかのロバート・ナイトホーク(ロバート・リー・マッコイ)です。サム・カーと言えば、名サザン・ハーピスのフランク・フロスト、ギタリストのビッグ・ジャック・ジョンソンと組んだジェリー・ロール・キングスが有名ですね。3人のローカル色濃厚な演奏が堪らなくディープで、特にサム・カーの叩くいなたいシャッフル・ビートは、聴く者を瞬時に南部へとトリップさせてくれました。
そしてサム・カーはフランク・フロストと共に来日もしています。97年のパークタワー・ブルース・フェスティヴァルでした。今思えばよくぞ呼んでくれました!って感じですね。あの頃のパークタワーのブッキングは神がかっていました。もちろん私も観に行きましたよ。もう彼らのライヴは完全に異空間。新宿の高層ビルの中なのに、ほとんど自分家の庭先で演っているような雰囲気でした。それがまた良い味わいなんですよ。南部の空気をしっかり感じさせてくれました。
その後サム・カーはフランク・フロストと二人名義のアルバムを出したり、フロストが亡くなられた後はSAM CARR'S DELTA JUKES名義で作品をリリースしたりと、地味ながらも確実にサザン・ビート・マスターとしての存在感を示しくれていました。でもそんなマニアックな活動の他に、実は最近、意外なところで彼の名を見つけたのです。それは今年のフジロックを熱いファンク魂で沸かした、イーライ・リードのデビュー作「ROLL WITH YOU」の日本盤解説。
それによりますと、イーライ・リードは18歳でクラークスデイルに移り住み、そこでサム・カーから個人授業を受けていたそうなのです。デビュー前のイーライ・リードがまさかサム・カーからレッスンを受けていたなんて! でもイーライ君はサム・カーから何を習ってたんですかね?やっぱりドラムですか? 何はともあれ、イーライ君のあの熱き南部魂は、サム・カーから伝授されたものなのかもしれません。
それにしても今をときめくイーライ・リードのライナーにサム・カーが出てくるなんて! そんな予想外なサプライズに喜んでから間もなくの訃報でした。
サム・カーさん、安らかに。
*上写真はSAM CARR'S DELTA JUKESの07年作「LET THE GOOD TIMES ROLL」。おそらくサム・カー名義では最後の作品。DELTA JUKESというバンドでの録音ということだと思うのですが、バンド・メンバーをはじめ録音データの記載がいっさいないので、よく分かりません。写真もサム・カーだけですしね。サウンド的には妙に骨太すぎてサム・カーの魅力が若干損なわれているようにも思えますが、ふくよかなシャッフルビートは健在です。
FRANK FROST / HARP & SOUL
そしてこちらはフランク・フロストの66年ジュウェル・セッションを収めたアルバム「HARP&SOUL」。サザン・ブルースの聖典的な大名盤。色々な装釘で出されていると思いますが、これは90年にP-VINEからリリースされたもの。フロスト名義ではありますが既にジェリー・ロール・キングスの3人が揃っています。 何故かハーピストのフロストはほとんどハープを吹かず、ほぼヴォーカルに専念。代わりにこちらもサザン・ハープの代表格アーサー・ウィリアムスが土臭くも勢い満点のハープで歴史的な大熱演をしています。全編でドラムを叩くサム・カーのビートはまるで南部の風ようです。
JELLY ROLL KINGS / ROCKIN' THE JUKE JOINT DOWN
ジェリー・ロール・キングス名義での初アルバム「ROCKIN' THE JUKE JOINT DOWN」。79年の作品。驚異的なローカル色を全面に出した奇跡のトリオです。三者三様の個性が南部の臭気をまき散らします。特にフロストの弾くキーボードの音色とフレーズが恐ろしい程にチープで、これが絶妙な味わいを醸します。そのチープさと、サム・カーを中心にしたハネたリズムはまさに“ ROCKIN' "です! こちらも大名盤。
JELLY ROLL KINGS / OFF YONDER WALL
ファット・ポッサム入りしてエグ味がさらに増した97年作。ちょうど来日した頃にリリースされた作品で、私もよく聴きました。フロストはハープを吹かず、キーボードに専念。その分、ビッグ・ジャック・ジョンソンのギターがフューチャーされた作品。
FRANK FROST & SAM CARR / THE JELLY ROLL KINGS
ビッグ・ジャック・ジョンソンが抜けてバンドではなくなり、フランク・フロスト&サム・カー名義となりましたが、アルバムタイトルが「ザ・ジェリー・ロール・キングス」。ってどんだけこの名が好きなんでしょう?って感じですね。でもジャクソンが居ないせいか、フロストがハープを吹きまっくていて、サム・カーのドラムも軽快に走る、まさに痛快な作品。相当良いですよ! サザン・ブルースここにあり!
今年も悲しいことに沢山のアーティストが逝ってしまいました。忌野清志郎とマイケル・ジャクソンの訃報には本当に驚き、しばらく呆然としてしてしまいました。
でも私にとって一番の喪失はスヌークス・イーグリンでした。大好きなギタリストでした。そしてエディー・ボーも。この二人のニューオーリンズ・レジェンドの死は悲しすぎます。
レス・ポール。学生時代ギタリスト志望だった私はストラトより断然レス・ポール派でした。
さらにピーター・ポール&マリーのマリー・トラヴァース。
ザ・フラミンゴス~ザ・デルズのテナー、ジョニー・カーター。
メンフィスの名鍵盤奏者にしてかのディキシー・フライヤーズの中心人物ジム・ディッキンソン。
スワンプやカントリー・シーンでの名演も光った西海岸の名キーボーディスト、ラリー・ネクテル。
ニュー・ロスト・シティ・ランブラーズのメンバーで60年代フォーク・リヴァイヴァルの立役者マイク・シーガー。
チェス時代のリトル・ウォルターをはじめ、70年代以降もボビー・ブランドやジョン・メイオールなど数々のセッションをこなした名ブルース・ギタリスト、フレディ・ロビンソン。
悲しいですね。「ルーツな日記」としてもとても無視出来ない方達が沢山亡くなられてしまいました。なのに満足な追悼記事を書かずじまいのうちに年を越えてしまいそうです…。そしてもう一人、個人的に大好きだったアーティストが亡くなられています。それはサム・カー。サザン・ビートはこの人にあり!って感じの南部ブルース・ドラマーです。9月21日、ミシシッピ州クラークスデイルの養護施設で亡くなられたそうです。心不全だったとか。享年83歳。
1926年ミシシッピ州生まれ。父親はかのロバート・ナイトホーク(ロバート・リー・マッコイ)です。サム・カーと言えば、名サザン・ハーピスのフランク・フロスト、ギタリストのビッグ・ジャック・ジョンソンと組んだジェリー・ロール・キングスが有名ですね。3人のローカル色濃厚な演奏が堪らなくディープで、特にサム・カーの叩くいなたいシャッフル・ビートは、聴く者を瞬時に南部へとトリップさせてくれました。
そしてサム・カーはフランク・フロストと共に来日もしています。97年のパークタワー・ブルース・フェスティヴァルでした。今思えばよくぞ呼んでくれました!って感じですね。あの頃のパークタワーのブッキングは神がかっていました。もちろん私も観に行きましたよ。もう彼らのライヴは完全に異空間。新宿の高層ビルの中なのに、ほとんど自分家の庭先で演っているような雰囲気でした。それがまた良い味わいなんですよ。南部の空気をしっかり感じさせてくれました。
その後サム・カーはフランク・フロストと二人名義のアルバムを出したり、フロストが亡くなられた後はSAM CARR'S DELTA JUKES名義で作品をリリースしたりと、地味ながらも確実にサザン・ビート・マスターとしての存在感を示しくれていました。でもそんなマニアックな活動の他に、実は最近、意外なところで彼の名を見つけたのです。それは今年のフジロックを熱いファンク魂で沸かした、イーライ・リードのデビュー作「ROLL WITH YOU」の日本盤解説。
それによりますと、イーライ・リードは18歳でクラークスデイルに移り住み、そこでサム・カーから個人授業を受けていたそうなのです。デビュー前のイーライ・リードがまさかサム・カーからレッスンを受けていたなんて! でもイーライ君はサム・カーから何を習ってたんですかね?やっぱりドラムですか? 何はともあれ、イーライ君のあの熱き南部魂は、サム・カーから伝授されたものなのかもしれません。
それにしても今をときめくイーライ・リードのライナーにサム・カーが出てくるなんて! そんな予想外なサプライズに喜んでから間もなくの訃報でした。
サム・カーさん、安らかに。
*上写真はSAM CARR'S DELTA JUKESの07年作「LET THE GOOD TIMES ROLL」。おそらくサム・カー名義では最後の作品。DELTA JUKESというバンドでの録音ということだと思うのですが、バンド・メンバーをはじめ録音データの記載がいっさいないので、よく分かりません。写真もサム・カーだけですしね。サウンド的には妙に骨太すぎてサム・カーの魅力が若干損なわれているようにも思えますが、ふくよかなシャッフルビートは健在です。
FRANK FROST / HARP & SOUL
そしてこちらはフランク・フロストの66年ジュウェル・セッションを収めたアルバム「HARP&SOUL」。サザン・ブルースの聖典的な大名盤。色々な装釘で出されていると思いますが、これは90年にP-VINEからリリースされたもの。フロスト名義ではありますが既にジェリー・ロール・キングスの3人が揃っています。 何故かハーピストのフロストはほとんどハープを吹かず、ほぼヴォーカルに専念。代わりにこちらもサザン・ハープの代表格アーサー・ウィリアムスが土臭くも勢い満点のハープで歴史的な大熱演をしています。全編でドラムを叩くサム・カーのビートはまるで南部の風ようです。
JELLY ROLL KINGS / ROCKIN' THE JUKE JOINT DOWN
ジェリー・ロール・キングス名義での初アルバム「ROCKIN' THE JUKE JOINT DOWN」。79年の作品。驚異的なローカル色を全面に出した奇跡のトリオです。三者三様の個性が南部の臭気をまき散らします。特にフロストの弾くキーボードの音色とフレーズが恐ろしい程にチープで、これが絶妙な味わいを醸します。そのチープさと、サム・カーを中心にしたハネたリズムはまさに“ ROCKIN' "です! こちらも大名盤。
JELLY ROLL KINGS / OFF YONDER WALL
ファット・ポッサム入りしてエグ味がさらに増した97年作。ちょうど来日した頃にリリースされた作品で、私もよく聴きました。フロストはハープを吹かず、キーボードに専念。その分、ビッグ・ジャック・ジョンソンのギターがフューチャーされた作品。
FRANK FROST & SAM CARR / THE JELLY ROLL KINGS
ビッグ・ジャック・ジョンソンが抜けてバンドではなくなり、フランク・フロスト&サム・カー名義となりましたが、アルバムタイトルが「ザ・ジェリー・ロール・キングス」。ってどんだけこの名が好きなんでしょう?って感じですね。でもジャクソンが居ないせいか、フロストがハープを吹きまっくていて、サム・カーのドラムも軽快に走る、まさに痛快な作品。相当良いですよ! サザン・ブルースここにあり!