ルーツな日記

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今年のフジロックを振り返る その3 モリアーティ!

2010-12-31 16:14:52 | フジロック
MORIARTY / GEE WHIZ BUT THIS IS A LONESOME TOWN

しぶとく続いている個人的フジロック・ベスト・アクト。今回はいよいよ第2位! 苗場食堂のモリアーティ!!!!!


モリアーティは色々なステージに出演しました。私にとって今年のフジロックはモリアーティを追いかけたフジロックと言っても過言ではありませんでした。木道亭も良かった! オレンジも最高だった! アヴァロンは残念ながら最後の1曲しか観れなかった…。でも一番盛り上がったのは2日目土曜日の苗場食堂です! これはホント凄かった! 正直、純粋な“興奮度”では間違いなく今年1番でした。なので、実質的なフジロック・ベスト・アクトはモリアーティになるんですけど、なんて言いますか、苗場食堂というステージの性格や、モリアーティと言うバンドの不思議な魅力は、「裏メイン」的な立ち位置の方が似合うんじゃないかと…。なので1位はもっと堂々とした大物に譲りまして、ここでは敢えて2位という順位にさせて頂きました。


2日目土曜日、ヘヴンでデレク&スーザンを堪能した私は、パレスでのトロンボーン・ショーティを諦め、モリアーティの待つ苗場食堂に向かいました。モリアーティというバンドは、古き良き時代のジャズやブルース、カントリー、フォークなどをベースに、三文オペラや場末のキャバレーのような演劇要素を飲み込みつつ「どこにもない架空のアメリカ音楽」を作り出すバンド。そしてフランスのバンドだけあって、どこかシュールなアート感覚に溢れている。木道亭やオレンジ・コートではでは、そんな一癖も二癖もあるモリアーティ・ワールドをじっくりと堪能させてくれました。そして苗場食堂。これはモリアーティにとってフジロックでの最後のライヴでした。しかも深夜の苗場食堂ですからね、メンバー間でも「もうこの際だからハメを外しちゃおう!」的な空気があったんじゃないでしょうかね。それまでのモリーアティは、“モリアーティらしさ”のようなものをストイックに演じている雰囲気があり、そこがまたアート的で面白かったのですが、この夜のモリアーティは、まるでフェス空間の中で自制心を失ったかのような開放感に溢れ、とにかくワイルドで最高でした!


苗場食堂というのは、フジ・ロックの飲食エリアにある地元越後の料理を扱う野外酒場のようなところ。その裏側を小さなステージとしてライヴが行なわれる。当然、ステージに隣接する食堂スペースでは大勢の酒飲み達が飲んだくれてる。こんな所でライヴやるの?的な一種独特の雰囲気があり、そんな小さなスペースに、ウッド・ベースを抱えたズィム、ギターのシャルルとアルチュール、ハーピストのトマが並び、奥にはサポートのドラマーもいる。そして真っ赤な衣装に身を包んだローズマリー嬢が登場。そしておそらく新曲と思われるフォーク・ロック調のノリの良い曲からスタート。さらにギター・リフが格好良い「Bacom」なんかもやったかな? とにかく狭いスペースで身を寄せながら躍動感溢れるリズムを繰り出してくる様が格好良い! 特にスウィング溢れるズィムのウッド・ベースは最高でしたね。

普段なら「Jimmy」や「Private Lily」など、どこか退廃的な香り漂うしっとりとした曲で深遠な世界へ誘うモリアーティですが、この夜は新曲を交えながらアップテンポな曲を中心にした選曲でアグレッシヴにガンガン突っ走る。ある意味ロックモードですよ! そして前半のハイライトは「Motel」でしょう。怪し気なブルース臭とガレージなノリで観客を巻き込んでいく。ヴィンテージなマイクで魔女振りを発揮するローズマリーがまた良い! そしてトマのハープソロでは、それまで謎の鳴りものをシャンシャン振りながら踊っていたアルチュールがいきなりステージから飛び降りる。そのまま転んだようなかたちで視界から消え、そして起き上がっては転ぶを何度か繰り返し、あげくの果てにスピーカを引き倒し、観客に助け上げられながらステージに帰還。そして何故かギタリストのシャルルの頬へブチュー!とキス。それを観てハーピストのトマが缶ビールをブワッと開けて祝杯を上げ、ここぞとばかりに激ファンキーなブロウを決める。観客もやんやの拍手で盛り上がる。痺れましたね~。

中盤に入ると、ローズマリーが一旦奥へ引っ込み、なんと、真っ赤な水着に黒タイツというセクシーな衣装で再登場。観客達もヒュー!ヒュー!と大騒ぎ。正直、このローズマリーには驚きました。個人的にはクールな印象があったんですけど、はじけてましたね~。だいたいこの夜のモリアーティはみんな変でしたよ。普段はワイシャツを着てパリッとした印象のシャルルも何故かロングのコートを羽織り、その下は上半身裸にネクタイでしたし、他のステージでは真っ赤なシャツに黒いベストでビシッと決めていたトマも、胸がはだけてワイルドな胸毛が露になっていたり、始めは長ズボンを履いていたアルチュールもいつしか短パン(いや単なるパンツだったのかな?)になっていると言う、なんか怪しさ満載でしたね。

そしてフジロックのモリアーティとして、おそらく一番印象的な曲だったのではないかと思われるのが、ロボットのことを歌った新曲。サビで観客に「ロボット欲しい~!」と歌わせるんですけどね。次はこの曲をやりますと紹介された瞬間から観客達が「ロボット欲しい~!」と騒ぎ出してました。他のステージで観て、また苗場食堂に来たリピーターが結構居たってことですよね。なんか嬉しい!で、もちろんサビはみんなで「ロボット欲しい~!」と大合唱。観客達もかなりのハイテンションで、ステージとの一体感がまた堪らない雰囲気を醸していましたね。これは苗場食堂ならではでしょうね。そして最後にはアルチュールがぶっ壊れたようなロボットダンスで大暴れ。堪りません!

でも一番圧巻だったのはラストの「Whiteman's Ballad」。これはいつもモリアーティのラストで演奏される曲で、フジロックでも木道亭、アヴァロン、オレンジ、全て最後はこの曲で盛り上がりました。もちろん苗場食堂も最後はこの曲です。いわゆるカントリー・ロック的な曲ですけど、何と言っても後半に爆発するトマのハープ・ブロウが強力! どのステージもこの曲は最高でしたけど、やはり苗場食堂はその怪しい濃密度と、ワイルドなはじけ具合で圧倒的に凄かった! 軽快に歌うローズマリーにトマが徐々に近づいていき、さ~、俺の出番だ!と言わんばかりの絶妙のタイミングで彼女からマイクを奪い突如ハープソロを吹き始める。と同時にバンドはブレイク状態になり、トマのファンキーなハープをバックに思い思いに踊り出す。トマは喉をゴロゴロならしながらまるで火を噴くが如くにブロウしまくる。観客達も大盛り上がり!そして気がつけば食堂スペースでまったりしていた連中もみんな総立ちで踊りまくってる。なんか異様な熱気と興奮に包まれる中、トマのハープは留まる所を知らぬが如く。いや~、凄かった! そしてその熱気をバンドが引き継ぎ、高揚感溢れるなかエンディング。そしてシャルルが一言「僕たちはヘンタイです!」みたいなことを言って終了したように記憶しています。いやはや、ホント素敵なバンドです。

終了後もステージ後ろで盛り上がっていた人達と握手やハイタッチをしながら、その余韻はしばらく続いている感じ。私もすっかり苗場食堂の独特な雰囲気と、モリアーティの毒にやられた感じで、しばらく呆然としていました。グリーンのスケール感や、ヘヴンの幸福感とはまた違う、フジロックでしか味わえない、マニアックなディープさ。これぞ裏フジロック! 最高でした!




*かなり記憶が曖昧です。曲目等、間違いがあったらごめんなさいね。

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