第4位
SOLOMON BURKE & DE DIJK / HOLD ON TIGHT
キング・オブ・ソウル、ソロモン・バークの遺作。アムステルダムのDE DIJKというバンドとのコラボ作品。正直、これが無ければウィリー・ミッチェルとの「NOTHING'S IMPOSSIBLE」がもっと上位に来たはずなんですけど、これを聴いてしまうとね~。もちろん「NOTHING'S IMPOSSIBLE」も素晴らしい作品だと思いますよ。特にソロモン・バークのディープ・ソウルな面をあれほど堪能させてくれるアルバムは近年では無かったですからね。まさに「待ってました!」という作品でした。ですが、メロウに偏りすぎていたようにも思うんです。こちらの「What A Woman」なんかで弾けんばかりの大きな歌を聴かせるソロモン・バークを体験しちゃうと、これぞソロモン・バーク!と嬉しくなってしまう訳ですよ。と同時に遺作という悲しみも強くなってしまうんですけどね…。1曲目のタイトル曲「Hold On Tight」の哀愁溢れる歌声も良いですよね。DE DIJKのフォーキーなルーツ・ロックにオルガンとホーンがソウルフルに絡む感じもまた良い。このDE DIJKというバンド、正直よく知らないんですけど、本国オランダでは82年にアルバム・デビューした、結構なベテラン・バンドのようですね。ロック的なエッジと芳醇なルーツ指向が溶け合ったサウンドで、見事にソロモン・バークの歌声をバック・アップしています。そして全12曲、DE DIJKとソロモン・バーク共作によるオリジナル曲ですからね。強烈なブルース・ギターで始まる「No One」。これ良い曲ですよね~。サビのグワ~!と盛り上がる感じ、ブルージー且つエモーショナル爆発なソロモンの歌唱! こんな風に歌える人、他にいませんよね。これは泣けます。マンドリンの音色がトラッド的な郷愁を誘う「More Beauty」、この曲なんかも近年のソロモン・バークならではの陰影に引き込まれます。ブラス・ロックな「I Gotta Be With You」の爽快感も最高! 跳ねるピアノが秀逸な「Don't Despair」も凄まじく良い曲。ホーン・アレンジも特筆ものですが、大海原のようなソロモン・バークの歌声がまた堪らない。そして強烈なジャンプ・ナンバー「What A Woman」。これライヴで聴きたかったな~。一体感で攻めまくるバンドも良いですし、それに負けないソロモンの勢いも最高! 亡くなられたのは残念でなりませんが、最後にこんな素敵なアルバムを届けてくれたソロモン・バーク。素晴らしい!!合掌。
第5位
AARON NEVILLE / I KNOW I'V BEEN CHANGED
ご存知ニューオーリンズの至宝、アーロン・ネヴィルの最新作。プロデューサーはジョー・ヘンリー。とくればもちろんリズム隊はベルローズ&ピルチ。さらにアラン・トゥーサンのピアノ。しかも内容はゴスペル作品という、こんなの悪い訳がありませんよね~。まずなにはともあれアーロンの歌声ですよ! 確かに全盛期に比べれば衰えたかもしれません。ですがそれ故にこれまでに無いほど土っぽい響きを聴かせてくれる。冒頭「Stand By Me」での歌唱の素晴らしいこと! 天使のようなファルセットには絶妙な枯れが加わりえも言えぬ味わいを醸し出し、艶やかな地声はトロリとした甘さの中に円熟の旨味を滲ませる。そして“黒いヨーデル”と評される独特の喉まわしはまさに異次元の響き。敢えて生々しい声の質感を際立たせたようなジョー・ヘンリーの手腕も流石。アーロン節を心行くまで堪能出来ます。そして全編で軽やか且つ愛らしく響くアラン・トゥーサンのピアノが良い! 2010年の「ルーツな日記」的助演男優賞を選べと言われれば、迷わずこのアルバムのアラン・トゥーサンを選びますよ! いかにもトゥーサン流な鍵盤さばきが絶妙なアクセントになっていて、作品に一層の深みと輝きを与えています。流石はアラン・トゥーサン! って言うか、アーロンの作品をトゥーサンが全面的にバック・アップしているという事実が嬉しいですよね。楽曲も、オデッタで知られる「Meetin' At The Building」、フレッド・マクダウェルの「You've Got To Move」、マール・トラヴィスの「I Am A Pilgrim」など、見事な選曲。ベルローズ&ピルチの独特なスウィング感も素晴らしいですが、アーロンの歌うゴスペルに、土っぽいグレッグ・リーズのスライドを絡ませる辺り、流石はジョー・ヘンリー! 彼らしい楽器独自のタッチを捉えるような、素朴且つ奥行きの深いサウンドが、現在のアーロンの魅力を見事に浮き上がらせていますね。彼がプロデュースをすれば全てが傑作になってしまうような風潮もどうかと思いますが、これは間違いなく傑作。
第6位
CEDRIC WATSON ET BIJOU CREOLE / CLEOLE MOON: LIVE AT THE BLUE MOON SALOON
ケイジャン/ザディコ界の若きプリンス、セドリック・ワトソン。最新作はこちらのライヴ盤。もう最高ですよ! 前スタジオ作「L'ESPRIT CREOLE」もクレオールの伝統に根ざした味わいが素晴らしかったですが、ライヴはさらに凄い!いきなりローリングしまくるグラグラとしたノリで攻める「Afro Zydeco」からスタート。って言うかこれはヤバいですよ! 外出中にイヤホンなんかで聴いてても、思わず踊り出さずにいられませんからね。跳ねるドラム、うねるベース、ひたすら刻むギター、そしてグルーヴするアコーディオン。土着したノリならではの躍動感に溢れています。力強くハリのある歌声も良いですね。さらに特筆すべきは西アフリカの弦楽器、コラ奏者のMorikeba Kouyateの参加。ケイジャン/ザディコのリズムに乗るコラの音色。斬新ですね~。近年の若者らしく、ロック、ファンク、ヒップ・ホップ等とのクロスオーバーに走るのではなく、アフリカに目を向けるセドリック・ワトソン。クレオールの土着性を掘り下げながらも海を越えたルーツに遡るような姿勢に拍手ですね。またセドリックは、アコーディオンだけではなく、フィドルも弾く。その妙技はほぼフィドル独奏で披露される「Canray's Jig」で堪能出来ますが、フォーキーな哀愁を感じさせる「The Corner Post」や、それに続く寂れたスロー・ナンバー「Pa Janvier」の味わいも格別。またこの「Pa Janvier」での歌が良いんですよ~! まるで“侘び寂び”の世界。クレオールの言葉なのか何語なのか私にはよくわからないのですが、この語感というか響きが妙に滲みるんですよ。そして最後を締める「Juré」はトラッドらしいのですが、ケイジャンとアフリカだけではなく、マルディグラ・インディアンやカリブ的な雰囲気も混ざっているという、このミクスチャー感も素晴らしい。土地及びその文化に根ざした古き良き伝統と、若き探究心と冒険心に溢れたこの人、実はテキサスの出身らしくて、だからこそルイジアナ南部の音楽への真摯な探究心と、輝けんばかりに瑞々しい新鮮さが同居しているのかもしれませんね。
SOLOMON BURKE & DE DIJK / HOLD ON TIGHT
キング・オブ・ソウル、ソロモン・バークの遺作。アムステルダムのDE DIJKというバンドとのコラボ作品。正直、これが無ければウィリー・ミッチェルとの「NOTHING'S IMPOSSIBLE」がもっと上位に来たはずなんですけど、これを聴いてしまうとね~。もちろん「NOTHING'S IMPOSSIBLE」も素晴らしい作品だと思いますよ。特にソロモン・バークのディープ・ソウルな面をあれほど堪能させてくれるアルバムは近年では無かったですからね。まさに「待ってました!」という作品でした。ですが、メロウに偏りすぎていたようにも思うんです。こちらの「What A Woman」なんかで弾けんばかりの大きな歌を聴かせるソロモン・バークを体験しちゃうと、これぞソロモン・バーク!と嬉しくなってしまう訳ですよ。と同時に遺作という悲しみも強くなってしまうんですけどね…。1曲目のタイトル曲「Hold On Tight」の哀愁溢れる歌声も良いですよね。DE DIJKのフォーキーなルーツ・ロックにオルガンとホーンがソウルフルに絡む感じもまた良い。このDE DIJKというバンド、正直よく知らないんですけど、本国オランダでは82年にアルバム・デビューした、結構なベテラン・バンドのようですね。ロック的なエッジと芳醇なルーツ指向が溶け合ったサウンドで、見事にソロモン・バークの歌声をバック・アップしています。そして全12曲、DE DIJKとソロモン・バーク共作によるオリジナル曲ですからね。強烈なブルース・ギターで始まる「No One」。これ良い曲ですよね~。サビのグワ~!と盛り上がる感じ、ブルージー且つエモーショナル爆発なソロモンの歌唱! こんな風に歌える人、他にいませんよね。これは泣けます。マンドリンの音色がトラッド的な郷愁を誘う「More Beauty」、この曲なんかも近年のソロモン・バークならではの陰影に引き込まれます。ブラス・ロックな「I Gotta Be With You」の爽快感も最高! 跳ねるピアノが秀逸な「Don't Despair」も凄まじく良い曲。ホーン・アレンジも特筆ものですが、大海原のようなソロモン・バークの歌声がまた堪らない。そして強烈なジャンプ・ナンバー「What A Woman」。これライヴで聴きたかったな~。一体感で攻めまくるバンドも良いですし、それに負けないソロモンの勢いも最高! 亡くなられたのは残念でなりませんが、最後にこんな素敵なアルバムを届けてくれたソロモン・バーク。素晴らしい!!合掌。
第5位
AARON NEVILLE / I KNOW I'V BEEN CHANGED
ご存知ニューオーリンズの至宝、アーロン・ネヴィルの最新作。プロデューサーはジョー・ヘンリー。とくればもちろんリズム隊はベルローズ&ピルチ。さらにアラン・トゥーサンのピアノ。しかも内容はゴスペル作品という、こんなの悪い訳がありませんよね~。まずなにはともあれアーロンの歌声ですよ! 確かに全盛期に比べれば衰えたかもしれません。ですがそれ故にこれまでに無いほど土っぽい響きを聴かせてくれる。冒頭「Stand By Me」での歌唱の素晴らしいこと! 天使のようなファルセットには絶妙な枯れが加わりえも言えぬ味わいを醸し出し、艶やかな地声はトロリとした甘さの中に円熟の旨味を滲ませる。そして“黒いヨーデル”と評される独特の喉まわしはまさに異次元の響き。敢えて生々しい声の質感を際立たせたようなジョー・ヘンリーの手腕も流石。アーロン節を心行くまで堪能出来ます。そして全編で軽やか且つ愛らしく響くアラン・トゥーサンのピアノが良い! 2010年の「ルーツな日記」的助演男優賞を選べと言われれば、迷わずこのアルバムのアラン・トゥーサンを選びますよ! いかにもトゥーサン流な鍵盤さばきが絶妙なアクセントになっていて、作品に一層の深みと輝きを与えています。流石はアラン・トゥーサン! って言うか、アーロンの作品をトゥーサンが全面的にバック・アップしているという事実が嬉しいですよね。楽曲も、オデッタで知られる「Meetin' At The Building」、フレッド・マクダウェルの「You've Got To Move」、マール・トラヴィスの「I Am A Pilgrim」など、見事な選曲。ベルローズ&ピルチの独特なスウィング感も素晴らしいですが、アーロンの歌うゴスペルに、土っぽいグレッグ・リーズのスライドを絡ませる辺り、流石はジョー・ヘンリー! 彼らしい楽器独自のタッチを捉えるような、素朴且つ奥行きの深いサウンドが、現在のアーロンの魅力を見事に浮き上がらせていますね。彼がプロデュースをすれば全てが傑作になってしまうような風潮もどうかと思いますが、これは間違いなく傑作。
第6位
CEDRIC WATSON ET BIJOU CREOLE / CLEOLE MOON: LIVE AT THE BLUE MOON SALOON
ケイジャン/ザディコ界の若きプリンス、セドリック・ワトソン。最新作はこちらのライヴ盤。もう最高ですよ! 前スタジオ作「L'ESPRIT CREOLE」もクレオールの伝統に根ざした味わいが素晴らしかったですが、ライヴはさらに凄い!いきなりローリングしまくるグラグラとしたノリで攻める「Afro Zydeco」からスタート。って言うかこれはヤバいですよ! 外出中にイヤホンなんかで聴いてても、思わず踊り出さずにいられませんからね。跳ねるドラム、うねるベース、ひたすら刻むギター、そしてグルーヴするアコーディオン。土着したノリならではの躍動感に溢れています。力強くハリのある歌声も良いですね。さらに特筆すべきは西アフリカの弦楽器、コラ奏者のMorikeba Kouyateの参加。ケイジャン/ザディコのリズムに乗るコラの音色。斬新ですね~。近年の若者らしく、ロック、ファンク、ヒップ・ホップ等とのクロスオーバーに走るのではなく、アフリカに目を向けるセドリック・ワトソン。クレオールの土着性を掘り下げながらも海を越えたルーツに遡るような姿勢に拍手ですね。またセドリックは、アコーディオンだけではなく、フィドルも弾く。その妙技はほぼフィドル独奏で披露される「Canray's Jig」で堪能出来ますが、フォーキーな哀愁を感じさせる「The Corner Post」や、それに続く寂れたスロー・ナンバー「Pa Janvier」の味わいも格別。またこの「Pa Janvier」での歌が良いんですよ~! まるで“侘び寂び”の世界。クレオールの言葉なのか何語なのか私にはよくわからないのですが、この語感というか響きが妙に滲みるんですよ。そして最後を締める「Juré」はトラッドらしいのですが、ケイジャンとアフリカだけではなく、マルディグラ・インディアンやカリブ的な雰囲気も混ざっているという、このミクスチャー感も素晴らしい。土地及びその文化に根ざした古き良き伝統と、若き探究心と冒険心に溢れたこの人、実はテキサスの出身らしくて、だからこそルイジアナ南部の音楽への真摯な探究心と、輝けんばかりに瑞々しい新鮮さが同居しているのかもしれませんね。