60年代からソウル系のセッション・ミュージシャンとして数々の名作に携わり、いくつかのバンド活動や自身のソロ作でも高い評価を受け、日本にも何度も来日し人気を博している名ギタリスト、コーネル・デュプリーが、さる5月8日、ニューヨークで亡くなられました。近年は肺気腫を患っていたそうです。
決して派手なギターを弾く人ではありませんが、テキサス流の研ぎ澄まされた感性と独特のリズム感で、個性豊かなシンガーをバックアップし、そして自らもギターで歌いまくる。テキサス産の土っぽさと、ニューヨークで培った都会の洗練、玄人ウケする職人気質と果敢に切れ込む技の数々、そしてジャズ/ソウル/ブルースと自由にクロスオーヴァーしながらもワン&オンリーな魅力を放ち続け、ファンを魅了して止まなかったギタリスト、コーネル・デュプリー。彼が参加した膨大な作品の中からほんの一部をご紹介。
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SAM COOKE / ONE NIGHT STAND! SAM COOKE LIVE AT THE HARLEM SQUARE CLUB
サム・クック、63年の名演を収めた傑作ライヴ盤。まあ、特別コーネル・デュプリーのギター・プレイが楽しめる、というものではないかもしれませんが、ここにコーネル・デュプリーが居たという事実が凄い! 彼は1941年生まれですからこの時20歳そこそこ。このステージのバックを務めたキング・カーティスのバンド・メンバーとして参加。とは言え、おそらくカーティスのバンドにも入ったばかりの頃だったのではないでしょうか? ギタリストとしてはサム・クック側からクリフ・ホワイトも参加しています。
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LAURA NYRO / CHRISTMAS & BEADS OF SWEAT
女性シンガー・ソング・ライター、ローラ・ニーロの4作目、70年の作品。アナログA面がロジャー・ホーキンス(ds)、デヴィッド・フッド(b)、エディ・ヒントン(g)などマッスルショールズの面々、そしてB面がコーネル・デュプリー(g)、チャック・レイニー(b)、ラルフ・マクドナルド(per)といったニューヨーク系のセッション・マンが参加した作品。「Beads of Sweat」でのコーネル・デュプリーとチャック・レイニーによるファンキーなグルーヴが堪りません。しかもこの曲でリード・ギターを弾くのはデュアン・オールマン!
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KING CURTIS / LIVE AT FILLMORE WEST
キング・カーティス&キング・ピンズによる名ライヴ盤。71年3月にロックの殿堂であるフィルモア・ウェストにアレサ・フランクリンと共に出演。リズムを担うのはコーネル・デュプリー(G)、ジェリー・ジェモット(b)、バーナード・パーディー(ds)という鉄壁の布陣。「Ode To Billie Joe」あたりのバンド一体でつっこんでいくようなノリが堪りません。コーネル・デュプリーの職人的なプレイも冴え渡りますが、ジェリー・ジェモットのファンキーなベース・ラインも最高!
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DONNY HATHAWAY / LIVE
ニューソウルを代表するダニー・ハサウェイの名ライヴ盤。71年作。ロサンゼルスとニューヨークの2カ所で録音され、コーネル・デュプリーは後半ニューヨークに登場。13分越えの「Voices Inside (Everything is Everything)」ひたひたと滲みるファンクネスが圧巻。そしてダニーならではの空気感に呼応するかのように、徐々に高ぶっていくコーネル・デュプリーのブルージーなギター・ソロも素晴らしい!
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ARETHA FRANKLIN / YOUNG GIFTED AND BLACK
72年に発表されたアレサ・フランクリンの名盤。南部指向から都会派へハンドルを切り、ニューソウルの息吹も感じさせる傑作。何と言っても「Rock Steady」でしょう。コーネル・デュプリー(g)、チャック・レイニー(b)、バーナード・パーディー(ds)によるバックの格好良いこと!この時期にコネール・デュプリーがアレサのバックを務めたキング・カーティスとの「Live at Filmore West」や、ゴスペル・ライヴ「Amazing Grace」という2枚の傑作ライヴも秀逸。
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CORNEL DUPREE / TEASIN'
コーネル・デュプリー初のソロ・アルバム。74年の作品。チャック・レイニー(b)、バーナード・パーディー(ds)リチャード・ティー(kbd)など気心知れたメンバーが参加。極上のジャズ&ソウル&ブルースを展開。セッション・マンのリーダー作らしい、聴きやすさの中に深みがある名盤。コーネル・デュプリーのファンキーでありながらメロウなソロもたっぷり堪能出来ます。
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STUFF / LIVE AT MONTROUX
NYを代表する職人集団が結成した伝説的バンド、スタッフ。76年の1st作「STUFF」が有名ですが、こちらはそのデビュー作発売の直前にスイスのモントルー・ジャズ・フェスティヴァルに出演した際のライヴ盤。メンバーはコーネル・デュプリー(g)、エリック・ゲイル(g)、リチャード・ティー(kbd)、ゴードン・エドワーズ(b)、スティーヴ・ガッド(ds)。(もう一人のドラマー、クリス・パーカーはここには居ない模様)。スタジオ作では洗練された演奏を繰り広げるスタッフですが、ライヴではゴツゴツとして黒々としたグルーヴをまき散らす。「Signed, Sealed, Delivered I'm Yours」の前半でリードをとるコーネル・デュプリーの切れ味とスピード感は半端無い。ライヴならではのリズムの捉え方が凄い!スティーヴ・ガッドとリチャード・ティーも強烈!大名演! DVDもお勧め。
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CORNEL DUPREE / MR.2500-LIVE AT BIRDLAND
最近のアルバムも1枚ご紹介。最近と言っても10年前の録音ですけどね…。コーネル・デュプリーが単身ドイツに乗り込み、現地のミュージシャンとライヴ録音した物だそうです。「The Getto」「What's Going On」「Spirit In The Dark」「Memphis Soul Stew」など、興味深い楽曲が並び、なかなか面白いです。デュプリーのギターも絶好調。「What's Going On」のメロディーを、あの音色と、あのリズム感で綴るデュプリーに痺れます。
Steve Gadd - Stuff live 1976 Montreux ("Signed, Sealed, Delivered I'm Yours " FULL !)
例のモントルー・ジャズ・フェスティヴァルでのスタッフ「Signed, Sealed, Delivered I'm Yours」。何度聴いてもゾクゾクします!
私は一度だけコーネル・デュプリーのライヴを観たことがあります。メンバーはデュプリーの他、レス・マッキャン(key,vo)、ロニー・キューバー(sax)、ジェリー・ジェモット(b)、バディ・ウィリアムス(ds)という、豪華な布陣でした。特にキング・ピンズ時代を思わせるデュプリー&ジェリー・ジェモットのコンビにはやられましたね。デュプリーのブルージーにしてクール且つソウルフルなプレイは今でも心に残っています。
コーネル・デュプリーさん、安らかに。
決して派手なギターを弾く人ではありませんが、テキサス流の研ぎ澄まされた感性と独特のリズム感で、個性豊かなシンガーをバックアップし、そして自らもギターで歌いまくる。テキサス産の土っぽさと、ニューヨークで培った都会の洗練、玄人ウケする職人気質と果敢に切れ込む技の数々、そしてジャズ/ソウル/ブルースと自由にクロスオーヴァーしながらもワン&オンリーな魅力を放ち続け、ファンを魅了して止まなかったギタリスト、コーネル・デュプリー。彼が参加した膨大な作品の中からほんの一部をご紹介。
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SAM COOKE / ONE NIGHT STAND! SAM COOKE LIVE AT THE HARLEM SQUARE CLUB
サム・クック、63年の名演を収めた傑作ライヴ盤。まあ、特別コーネル・デュプリーのギター・プレイが楽しめる、というものではないかもしれませんが、ここにコーネル・デュプリーが居たという事実が凄い! 彼は1941年生まれですからこの時20歳そこそこ。このステージのバックを務めたキング・カーティスのバンド・メンバーとして参加。とは言え、おそらくカーティスのバンドにも入ったばかりの頃だったのではないでしょうか? ギタリストとしてはサム・クック側からクリフ・ホワイトも参加しています。
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LAURA NYRO / CHRISTMAS & BEADS OF SWEAT
女性シンガー・ソング・ライター、ローラ・ニーロの4作目、70年の作品。アナログA面がロジャー・ホーキンス(ds)、デヴィッド・フッド(b)、エディ・ヒントン(g)などマッスルショールズの面々、そしてB面がコーネル・デュプリー(g)、チャック・レイニー(b)、ラルフ・マクドナルド(per)といったニューヨーク系のセッション・マンが参加した作品。「Beads of Sweat」でのコーネル・デュプリーとチャック・レイニーによるファンキーなグルーヴが堪りません。しかもこの曲でリード・ギターを弾くのはデュアン・オールマン!
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KING CURTIS / LIVE AT FILLMORE WEST
キング・カーティス&キング・ピンズによる名ライヴ盤。71年3月にロックの殿堂であるフィルモア・ウェストにアレサ・フランクリンと共に出演。リズムを担うのはコーネル・デュプリー(G)、ジェリー・ジェモット(b)、バーナード・パーディー(ds)という鉄壁の布陣。「Ode To Billie Joe」あたりのバンド一体でつっこんでいくようなノリが堪りません。コーネル・デュプリーの職人的なプレイも冴え渡りますが、ジェリー・ジェモットのファンキーなベース・ラインも最高!
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DONNY HATHAWAY / LIVE
ニューソウルを代表するダニー・ハサウェイの名ライヴ盤。71年作。ロサンゼルスとニューヨークの2カ所で録音され、コーネル・デュプリーは後半ニューヨークに登場。13分越えの「Voices Inside (Everything is Everything)」ひたひたと滲みるファンクネスが圧巻。そしてダニーならではの空気感に呼応するかのように、徐々に高ぶっていくコーネル・デュプリーのブルージーなギター・ソロも素晴らしい!
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ARETHA FRANKLIN / YOUNG GIFTED AND BLACK
72年に発表されたアレサ・フランクリンの名盤。南部指向から都会派へハンドルを切り、ニューソウルの息吹も感じさせる傑作。何と言っても「Rock Steady」でしょう。コーネル・デュプリー(g)、チャック・レイニー(b)、バーナード・パーディー(ds)によるバックの格好良いこと!この時期にコネール・デュプリーがアレサのバックを務めたキング・カーティスとの「Live at Filmore West」や、ゴスペル・ライヴ「Amazing Grace」という2枚の傑作ライヴも秀逸。
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CORNEL DUPREE / TEASIN'
コーネル・デュプリー初のソロ・アルバム。74年の作品。チャック・レイニー(b)、バーナード・パーディー(ds)リチャード・ティー(kbd)など気心知れたメンバーが参加。極上のジャズ&ソウル&ブルースを展開。セッション・マンのリーダー作らしい、聴きやすさの中に深みがある名盤。コーネル・デュプリーのファンキーでありながらメロウなソロもたっぷり堪能出来ます。
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STUFF / LIVE AT MONTROUX
NYを代表する職人集団が結成した伝説的バンド、スタッフ。76年の1st作「STUFF」が有名ですが、こちらはそのデビュー作発売の直前にスイスのモントルー・ジャズ・フェスティヴァルに出演した際のライヴ盤。メンバーはコーネル・デュプリー(g)、エリック・ゲイル(g)、リチャード・ティー(kbd)、ゴードン・エドワーズ(b)、スティーヴ・ガッド(ds)。(もう一人のドラマー、クリス・パーカーはここには居ない模様)。スタジオ作では洗練された演奏を繰り広げるスタッフですが、ライヴではゴツゴツとして黒々としたグルーヴをまき散らす。「Signed, Sealed, Delivered I'm Yours」の前半でリードをとるコーネル・デュプリーの切れ味とスピード感は半端無い。ライヴならではのリズムの捉え方が凄い!スティーヴ・ガッドとリチャード・ティーも強烈!大名演! DVDもお勧め。
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CORNEL DUPREE / MR.2500-LIVE AT BIRDLAND
最近のアルバムも1枚ご紹介。最近と言っても10年前の録音ですけどね…。コーネル・デュプリーが単身ドイツに乗り込み、現地のミュージシャンとライヴ録音した物だそうです。「The Getto」「What's Going On」「Spirit In The Dark」「Memphis Soul Stew」など、興味深い楽曲が並び、なかなか面白いです。デュプリーのギターも絶好調。「What's Going On」のメロディーを、あの音色と、あのリズム感で綴るデュプリーに痺れます。
Steve Gadd - Stuff live 1976 Montreux ("Signed, Sealed, Delivered I'm Yours " FULL !)
例のモントルー・ジャズ・フェスティヴァルでのスタッフ「Signed, Sealed, Delivered I'm Yours」。何度聴いてもゾクゾクします!
私は一度だけコーネル・デュプリーのライヴを観たことがあります。メンバーはデュプリーの他、レス・マッキャン(key,vo)、ロニー・キューバー(sax)、ジェリー・ジェモット(b)、バディ・ウィリアムス(ds)という、豪華な布陣でした。特にキング・ピンズ時代を思わせるデュプリー&ジェリー・ジェモットのコンビにはやられましたね。デュプリーのブルージーにしてクール且つソウルフルなプレイは今でも心に残っています。
コーネル・デュプリーさん、安らかに。